93 帰り道 2
S線ともなるとさっきの喧騒が嘘みたいにガラガラ(は言い過ぎかもしれないが、座れる程度の混雑具合)である。私は座席に腰掛けた。
ここからH駅まで7駅。そこからG線に乗り込み、最寄りのH駅(奇しくも、乗る駅と降りる駅の名前が同じだが……)で降りて家まで向かうことになる。
私は、ショウに断ってLINEを確認した。しふぉんからは、今日自己採点するけど、その点数を送っていい?という確認のメッセージが届いていた。私は、いいよ、とおくっておいた。
「しふぉんも今日自己採点するんだって。ショウも自己採点したら、点数送って」
私はショウに頼んだ。彼は、わかった、と言ってくれた。
NCF試験の解答速報は20時に公開されるが、私は今日は自己採点をしない。明日まとめてする予定だ。
「薬学部行きたいって言ってたけど、忙しいらしいじゃん? 仮に戻れたとしても、活動再開できるの?」
ショウは薬学部(医学部も)忙しいという認識を持っているようだった。私は、そのことについては戻った後に考えようと思っている、と伝えた。今のところ、復帰後のことについてはそこまで考えていない。ただ、3年間のブランクは比較的すぐに取り戻せると、かなり楽観的に思っていた。
4期生までは定期的に行われるオーディションで募集が行われていたが、最近は申し込みがあった段階で面接が行われているようだ。この体制になってから1年以上たつ。新規加入したメンバーは3人だ。
1期生はしふぉんが卒業した。2期生はひぃたんが卒業・まりりんが卒業する可能性ありとしている。3期生・4期生は今のところ全員残っている(はずだ)。私が戻った後は、17人態勢での活動になるだろう。
人数が多い感はあるが、ベリー系アイドル(1ユニット30人~)に比べればそうでもないだろう。私は、今のところ思っていることを大体ショウに話した。
「なるほどね」
ショウは反応してくれた。それと同時に、車内放送は終点駅を告げる。窓の外は暗いが、見慣れた景色で少しずつH駅に近づいていることはわかった。
H駅に着く。外は凍えるように寒い。私は走って乗り換え場所の駅まで向かった。
ショウ・バンド仲間といられるのもあと2か月もない。四国での一人暮らしに加え、再加入のための手続きなど、いろいろ行わなければならないこともあるだろう。バンド、Rivageだってどうなるかわからない。解散になるか、別のボーカルを探すことになると思われるが、正直どうなるか全く想像がついていない状況だった。




