89 1次試験 5
NCF試験は難関国公立の場合、基本的に8割は要求されるといっていい。聞いた話だが、東大の場合はNCF試験の配点が2割と、2次試験の方が重要ではあるものの1次試験も軽視はできないという配点になっている。
それに対して、1次試験が650点で足きりになり、2次試験は一本勝負(合否判定に1次試験は使われない)仕組みであるTK大学は、ショウにもしふぉんにも良いシステムだったようだ。
私は、つぎの国語の参考書を見ながらショウと話していた。
「今日自己採点する?」
NCF試験はマークシートであり、公式に発表される成績を見て自己採点を行い、その点数に基づいて志望校を決めるといった仕組みになっている。受験の心構えにもあるが、私は「1日目には自己採点するな」という忠告に従うつもりだった。
「何回も言ってるけど、NCFの比重がゼロだから、僕は答え合わせ・採点するつもりだけど」
正直自己採点したいという気持ちはなくはないのだが、メンタルが死んだ場合を思うとどうも採点する気にはなれなかった。
つぎは国語だ。ショウは英単語帳を確認している。国語などどうでもいいと思っているのだろう。私は漢文の句形を確認していた。
ショウは私の漢文のやつをのぞいてきた。彼も最低限の知識はあるようだが、それ以上の知識はないようだった。今までの模試や予想問題で足を引っ張っているのは古文であり、現代文・漢文は6割は安定して取れているようだ。
気づいたら13時になっていた。私は教室へと戻っていった。私は教室で、古文単語を確認した。たぶんこれが最後の古文単語を見る時間になるだろう。
「それでは携帯電話・参考書・筆箱をカバンの中にしまってください」
私は試験監督の指示に従い、鞄の中に参考書を入れた。社会の時間と同じように、試験監督はマークシートをひとりひとりに配布する。全員に配り終えた後、彼はこういった。
「マークシートに受験番号・試験会場番号・名前と、解答する科目にマークを行ってください」
私は指示に従い、番号をマークした。その後、スタッフは問題冊子を配布した。
社会とは違い、国語はビニール袋には入っていなかった。
「試験開始の合図があるまで、問題冊子は開かず、表紙に書いてある注意書きをよく読んで待っていてください」
私は、彼らの指示に従い、表紙の注意を何度も読みこんだ。試験官は顔写真を確認するために巡回している。試験官が顔写真確認のために私の前を通ったとき、私は先ほどと同じように試験官の方を向いた。
国語(英語もだけど)の戦略として、「設問を先に読む」のが有効だと言われることがあるが、私としては文章を読んでから設問に移った方が良いと思っていた。
「解答はじめ!」
試験官は威勢よく試験開始を告げる。私は、問題冊子をめくっていった。




