78 誕生パーティー後 5
涼しい風が吹き抜ける。この心地よい風も数か月すれば暑くて嫌な物に代わってしまうのかと考えると少しばかり鬱だ。
ショウは特に何も話そうとしていない。今のところ伝えるべきことは大体伝えた感がある。私は彼に、4期生の話題を振ってみた。
「4期生の活動、見た?」
4期生のイメージソングは「Go Fourth」だ。4期生のメンバーも5人。私もまだ完全には顔と名前は一致していない状況だ。
「見たよ! ふうちゃんだっけ?が1番好みだった」
ふうちゃんというのは確か村田風花ちゃんだったはずだ。確か4期生の中で1番背が高い子だ。イメージカラーは風色(エメラルドグリーン)。そろそろ色のネタがなくなって久しいが、プロデューサーは何とか絞り出しているようだった。
「てかさ、メンバー増えすぎじゃない? ベリー系アイドルみたいになってるじゃん」
ベリー系アイドルとは15年ほど前に鈴森久がプロデュースした国民的アイドルグループ「ベリージェリー」および公式ライバルグループ「スイートラズベリー」「スモールブルーベリー」の総称である。1グループが30人以上とかなり多くなっており、ファンですら全メンバーの名前を暗唱できるものは少ないといったグループだ。
アカギリかつよしも、5期生以降は個別にオーディションを行う可能性がある(常時募集をかけている状態で、5人まとめてではなくひとりずつ行う、ということ)とツイートしていた。
たぶんだが、20人目以降は増えないと思う。卒業・脱退ということもあるだろう。しふぉんもあと1年強で脱退するといっていた。
「なるほどね」
ショウは何とか納得してくれたようだ。暗い道を抜けるとドイツ企業の建物の前に出た。かなり大きい研究所のような見た目をしているが、何をしているかは今一つ分からない企業だ。
「ごめん、わかんない」
ショウは自分が何も知らないことを認めたようだった。私はまっすぐ向かい、ジョリーパスタを横切ってセブンイレブン・ガソリンスタンドのある大きな交差点へとたどり着いた。
この交差点を直進して坂を上ると市民プールのような場所に着くのだが、今日は家に帰るだけなので右折した。




