75 誕生パーティー後 2
ガラスの外に見渡せる景色はきれいのひとことに尽きる。C北・南は栄えており光っているが、少し離れたところ(N駅のあたりやK駅のあたり)は人が多くないのか、そこまで明るくない。私は、そのコントラストに見入られてしまった。
外は少しばかり風が吹いているようだ。私はベージュの首掛けポーチの位置を調整し、窓の外を眺めていた。他の3人も外に釘付けのようで、特に何も話してこなかった。
観覧車での12分間が終わりを告げようとしている。観覧車ももう3π/2以上回転しているようだった。ショウも、もうすぐ終わりだね、って言っていた。
観覧車はゆっくり出口へと向かっていく。そのたびに、私はどこか寂しい気持ちへと運ばれていく気がした。
気づいたら飛び降りても大丈夫そうな高さまで来ていた。スタッフさんが観覧車の扉を開けるためにスタンバイしている。観覧車が地面に接したと同時に、私たちはドアを開けてもらい外に出た。
外に出ると春の涼しい風が身体にあたった。花粉を除けば本当に快適な気候だ。私は、店員さんにありがとうと伝えてエレベーターの方へと向かっていった。
5階にはフードコートがあるが、特に気にせずに私はエレベーターに乗り込んだ。
「めっちゃ綺麗だった!」
ショウは声を抑えつつも興奮したことがわかるトーンで話した。私も他の3人も、また乗りたいと思ったようだった。私はエレベーターを降りて、M-モールの駅前出口から外に出た。
「じゃあね」
コウ・ひかりは電車で学校まで来ている(最寄りは乗り換え1回のS駅)。私も、じゃあまた明日、といって、ショウと歩いて帰路へと着いていった。
駅前はいつも通りにぎわっており、色々な年代の人が来ているようだ。そんな喧噪の中をふたりは抜けていった。
M-Mallから左に出てまっすぐ進むと橋がある。その橋を渡った瞬間、さっきまでの喧騒が嘘だったかのような暗闇へと出た。私は暗いところは昔は苦手だったが、慣れてきた感がある。
「アイドル時代の誕生パーティーってどんな感じだったの?」
ショウは私に問いかける。私は、本来は誕生パーティーが予定されていたが、1回はコロナウイルスの影響で中止になってしまったこと、その分2021年のものは感動的だったことを話した。
地方アイドルということもあり特に広い会場を使ったとかはなく、ファンの方と交流したくらいだ。それでも、深い思い出を作ることができたのは間違いなかった。
「そうか、コロナのせいで1回つぶれたのか」
私の活動期間が2019年8月~2022年3月くらいだったので、4月19日があったのは2020年と2021年の2回。そしてそのうち1回はつぶれてしまっていたのだ。




