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70 誕生パーティー 4

 私自身、大学生活のことは全く想像できていない。四国に戻ってアイドル活動を継続する程度の見通しはあるものの、それ以上のプランを立てることは全くできていないのが現状だ。


「大学入っても軽音部つづけてると思う?」


 ひかりは私の大学の話を受けて返してきた。ショウ以外は中学時代から軽音部をつづけているが、反応を聞くかぎり、大学以降は意外と続けるつもりはない人が多そうだ。私自身、サークルがあればやるかもしれないくらいの認識でしかない。そしてそれは、コウとショウも同じようだ(ひかりは、たぶん続けてると思う、と言っていた)。


 このバンド自体、高校卒業後どうなるか、という方針はたっていない。ボーカルである私がいなくなってしまう可能性が高い以上、誰か違うメンバーを探す(あるいは、誰かがボーカルになる)必要があるだろう。継続が比較的困難になってしまう可能性は高い。


 元アイドルだということは隠すつもりなので、徳島の大学に進むということは話していない。コウとひかりには、「地方の国立大学の薬学部あたりに進もうと思っている」とだけ伝えている状況だ(ショウには、徳島で活動再開したいと思っているということを含め、今考えていることはだいたい伝えている)。


「2年後か、全然想像できないな」


 ショウは聞こえるように独り言を漏らす。私としても、実感としてはわいていない。そしてそれは、ふたりも同じようだった。


「でさ、そんな未来のことはともかくさ、なっち、新曲はできてるの?」


 コウは今までの話をあしらうように私に問いかける。いまのところ、Rivageの作詞作曲はだいたい私がおこなっている。2曲目にあたる曲も私が作っていた。


「あー、大体はできてるよ」


 コウは、聞いてみていい?と聞いてきた。私は3本のイヤホンがさせるようになっている中継器のようなものの端子部分を私のスマートフォンに差し込んだ。3人同時に音楽が聴けるように、私はいつもそれを持ち歩いていた。


「じゃあ、いくね」


 みんな有線のイヤフォンを用いているようで、それぞれが差し込んだのを確認したのち、私はスマートフォンを操作して新曲のデモ音源を流した。


 新曲は「遠くの紙飛行機」という歌だ。ヘリアンサスガールズにあってもおかしくなかった「始まりの街」という歌に比べ、少しRivage要素を加えて作詞した物になっている。長さは5分弱。少しばかり尺が長い印象は否めないが、長すぎるというほどではないだろう。


 


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