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69 誕生パーティー 3

 まだコウやひかりも、私が元アイドルだということは知らないようだ(聞かれたことがない)。みんなに「秘密にしておいてね」と前置きして言っても悪くないとは思うのだが、少しばかり時期尚早な気がしなくもない。やっぱり、ショウ以外には秘密(というか、聞かれるまで答えない)というスタンスを貫いておこうと思っている。


 中学生だったころは、私がアイドルを始めたという噂はすぐに広まった記憶がある。中学校時代軽音部仲間だった子から質問攻めにあったりして結構大変だったことをはっきり覚えている。


「なっち、大丈夫?」


 考え事をしているとひかりが私に声をかけた。私は意識を戻して3人の話を聞いた。


 ショウはファンタのグレープを持ってきていた。私は炭酸があまり得意ではない(といっても、モンスターエナジーやレッドブルと言ったエナジードリンクはなぜか大丈夫)なので、炭酸の入っていないカルピスウォーターを持ってきていた。


 「今日はカルピスなんだ」


 コウは私の飲み物を見ていってくる。私は選ぶものを決めておらず、白ぶどうジュースや爽健美茶を持ってくることもある。今回も特に考えずに気分でカルピスを選んでいた。


 「そういえば、軽音部はじめてから1年か」


 コウはふと呟いた。1年という期間は短かった気がする。アイドル時代が懐かしくなってくるほど、日常は平穏ではあった。あの忙しかった日々は楽しかったと思う。そして、それと同じくらい、スケジュールが詰まっていない今みたいな生活も楽しいと思っている。


 大学生になったら四国に戻って活動を開始するつもりだ。そのときになったら、コウやひかりにもアイドル時代のことを話すことになるだろうと思っている。私は、高校生活の残りの2年間(受験を除いたら1年強)を全力で楽しみたいとふと思った。


 コウとひかりはもう1年と思っているようだが、ショウは「まだ1年しかたってないの!?」といった風な反応をしている。高校になってから軽音部を始めたせいなのか、私との関係がかかわっているのかはわからないが、濃い1年間だったと振り返っているようだ。


 私はカルピスをストローで吸い上げて飲んだ。そして、私はみんなに聞いてみた。


「みんなさ、大学受験のことって考えてる?」

 

 3人とも、何となく目標にしているところはあるようだが、具体的には全く考えてないという反応だ。ショウは、ここから乗り換え1回の理系単科の国立大学を(まだ決まっているわけではないものの)目指しているようだが、コウとひかりはまだ全く想像できていないようだった。

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