64 12月のライブ 6
ライブが終わった後、私は待機室に隠れた。正直拓也さんあたりとは久しぶりに話したいという気持ちがあったが、それも難しいだろう。
「物販終わったら連絡して」
私はショウにLINEを送ったまま、待機室で待ち続けた。物販を見に行きたいとも思ったが、それはかなわなかった。
「終わった! どこ向かえばいい?」
ショウから連絡が来る。私は、すみません失礼します、ありがとうございました、とメンバーたちにいって公会堂を去り、2階のトイレへと向かっていった。
数分後、ショウがやってきた。私は彼を認識して、こう話しかけた。
「どうだった? 楽しかった?」
「まあ、一言で言えばめっちゃ楽しかった! でさ、しふぉんに長谷川って名前知られてたんだけど、なっちから何か話した? 結構びっくりしたんだけど」
私はやっぱり聞いてくるだろうな、と思って答えた。
「あー、あれね、うん、裏で話したよ。紫の服着てきてって言ったじゃん? あれはしふぉんがきみを見分けられるように、という意図なのね。身長とかの外的特徴を伝えれば、どんな人なのかはわかると思ってね。びっくりさせてみようってなって、苗字だけ教えちゃった。普通の苗字だから大丈夫だろうって思ってね」
ショウは安心したようだ。私は続けて話した。
「でもね、私もちょっとびっくりしたんだけど、しふぉんにショウの外見の特徴を伝えた時にね、3年前から夢で見ていたって言ったんだよね。予知夢なのかわからないけど、あの子結構そういうことがあるみたいでね。
名前はわからないって言ってたけど、ショウを夢で見たことがあるって言ってたよ。見せていいのかわからないけど、中1のころに『なっきぃが横浜に行って居なくなっちゃう夢見た』ってLINEで言ってきたことがあるんだよね。ほら、これ。」
そういって、私は当時のLINEをショウに見せた。
「それからも回数は多くないけど言われてた気がする。その時見た夢で、いつも私と一緒の知らない男子がいたって言ってた。それがきみだったんだろうね。私もそうだったけど、きみもしふぉんも、多分みんな驚いてるんじゃないかな?」
しふぉんの発言を聞いて驚いたのはショウだけではなく私も同じだ。彼女は予知能力者ではないといっていたが、それに近い能力を持っているのは間違いないだろう。
ショウは湯呑み一杯分程度のお茶を飲んだ。ある程度時間がたって、外はもう暗くなっている。もう帰ろうか、といって、ふたりは帰路についていった。




