43 帰り道 3
(賛成まではいかなくても)反対はされなかったということ、そしてオーディションを無事通り抜け無事5人組が結成できたこと、その日から自分は変わり始めていったこと。私はオーディション当日からの流れを、覚えているとおりに話した。
「答えにくいかもしれないけど、振り返ってみて、思っていた自分に変われたと思う?」
ショウは質問をする。流れからして至極自然な質問だろう。
「うーん、」
私は数秒考えたのちに正直に思ったことを伝えた。
「思ってた通りの自分になれたかはわからないけど、少なくとも自分の生き方を変えるきっかけにはなったかな」
ショウはピンと来ていないようだ。私は話を続けた。
「やめたくなる時も何回かあったけど、私としてはね、それを耐えたから今の自分があると思ってる。だから、自分でいうけど、昔より強くなっているとは思うよ」
活動はまあまあきつかった記憶がある。やめたいと思うこともそんな頻繁ではないがあった。今思うとの話だが、私は耐えて正解だったと思っている。私の言葉を受けてショウは一つの質問を投げた。
「将来は何になりたいと思ってる?」
私は幼稚園児のころからケーキ屋さんになりたいと思っていた。一時期気持ちが揺らいだこともあったが、決意が戻ってきたのは、こっちに来てから、K駅近くの食べログ上位にあるケーキ屋さんを食べたときだった。
K駅の近くには、そこそこ有名なパティシエさんが経営しているケーキの店があり、食べログの評価は4を超えていることもある・洋菓子部門全国1位に入ったこともあるという評判を受けている。しかし、立地があまり良くない。クリスマスケーキは予約しないと買えないが、それ以外の時期であれば、基本的に並べば買うことができる。私は、月に2回程度の頻度でそこのケーキを食べている。
「女優になりたかったって思った時期もあるんだけど、子どものころから好きだったケーキ屋さんという職業のほうが今の自分にとっては魅力的に見えてきて。わかると思うけど、個人的に甘いものが好きだからね」
ただ、100%の決意があるかと言われればNOだ。また違う夢を追い求めているかもしれない。とりあえず高校卒業後は徳島に戻る。そのあとに決めようと思っている。そのことまで私はショウに話した。
徳島に戻ってからすぐケーキ屋さんで働くというよりかは、ヘリアンサスガールズを卒業した後に働くつもりだ、となっ。活動している間に女優を目指すという方向性に変わるかもしれない、とも言った。




