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42 帰り道 2

 自然のエネルギーは素晴らしく、わずか5分ほどで私たちは完全に回復した(気がする)。「疲れていない」といいながらも、体には疲労がたまっていたようで癒された。


 緑道を抜けると、広めの車道を有する道路沿いへ出た。スマートフォンで時間を確認すると18時20分。空が暗くなってきたことが明確に感じられる時間になっていた。

  

 車は何台も走っている。だいたいどっちの方向が家なのかはわかるが、目隠しで連れていかれたとしたら分からない気もする。私たちは、そんな車道のすぐ横の歩道を歩いて行った。


 向こう側にはドラッグストアや家系(いえけい)ラーメン屋、蕎麦屋があるが、こっち側の通りにはそれに比べると飲食店や雑貨店は少ない。私は、いつかは1回行ってみたい、と思った。


 K駅からH駅の方にまっすぐ歩き続けると、途中のスーパーマーケットやうどん屋など、色々なものが目に留まった。ここに来るのは初めてなので、すべてが新鮮に感じられた。


 「明日から、帰り道色々変えてみて、街探検してみない?」


 私はこの街をいろいろと散策したくなった。3年後にはまた徳島に戻っているだろうから、この2年で街を探し尽くしたいと思ったのだ。ショウはあっさりと承諾してくれた。


 K駅に出れば、あとはまっすぐ道なりに沿って歩けばH駅まで着くよ、とショウは話す。少しばかり坂が多いが、全体的に下り坂なのでそこまで大変でもなさそうだ。2人で話をしながら、私たちは坂道を下っていった。


 私はショウにアイドル時代のことをいろいろ話した。他の人にバレなければいい。ショウは他人にそういうことを言うような性格ではないということはわかっている。


 私は、ショウ以外には元アイドルだということを伝えていない。楓ちゃんであっても、ひかり・コウにも話していない。もうしっているかもしれないが、少なくとも言及されたことは1度もない。


 私たちが歌を務めたアニメ・ゲームはそこまで知名度があるのは多くない。コアなファンがいるものは多いが、全国的に知られているものは今のところは存在しない状況だ。


 ローカルアイドルで、地元ではある程度人気があるかもしれないが、遠い場所だとあまり知名度のないユニットが私がいたところだった。事実、Twitterで「ヘリアンサスガールズ」と検索してもあまり呟かれていない。その程度の無名さだ。


 私は帰り道、ちょっと寄り道をしたところにある公園のベンチに腰掛けた。周りに誰もいないことを確認して、私はゆっくりと話し始めた。


 私がアイドルを目指しはじめたのは、「自分を変えたかったから」だ。親にも、ファンとの接触イベント(握手会)がない、活動が(基本的に)地元の範囲内で収まるということで、受けるだけ受けてみたら、と言われていた。


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