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40 学園祭当日 1日目 9

 複雑なメロディーやコード進行もなく、曲としては比較的シンプルなものを作ったつもりだ。素直なメロディー・歌詞になるように作曲をした。そういう意味で、あまり印象には残らない音楽かもしれない。


 楽器未経験だったショウも、比較的すぐに演奏できるようになったようだった。ベースラインも基本的にコードのルート音(Cなら、ドミソのド)を鳴らすだけにしてあるので、みんな簡単だといっていた。



晴れたこの空 冬の寒さに 駅前広場 目に見える息

指でなぞって 空に描いて でも届かない 遠い希望へ


想いにあふれた この声を 風に乗せ 

次の世代まで響かせて行けるなら


花が咲いて 最後は枯れてしまっても 

その笑顔 この道で  

きっとまたいつか見る日が来る

やがて来るべきその日まで

ここで私たちは待ってるよ




 歌詞自体、ヘリアンサスガールズと価値観を共有している。過去の曲、”道端花”のMVで言われたことをまだ覚えている。


「枯れない花はないが、だからこそ花は美しい」


 授業はちゃんと聞いていなかったが、古典か何かでもこんな話があった記憶がある。私たちの曲も、それをイメージして書かれたものである。


 私はアイドルのときに歌っていた調子で、1曲をそのまま歌い上げた。間を置かず、観客から拍手が聞こえてくる。


 本来、歌詞的にはこの曲は冬に演奏するべき曲である。ただ、爽やかなメロディーのため夏でもそこそこ盛り上がるだろう、とは思っている。


 「アンコール!」「アンコール!」「アンコール!」


 オーディエンスの方からはアンコールを求める声が聞こえてくる。申し訳ないが、用意していない。私はこういった。


 「非常に申し訳ないのですが、時間の都合上、アンコールはありません。この2曲で終わりになります。短い時間ですが聞いてくださって本当にありがとうございました! パンフレットに乗っているQRコードまたはTwitterID @Rivageから、私たちのバンドRivageのアカウントをフォローしてくれると嬉しいです!」


 観客からは、「えー」という声が聞こえてくるが、すぐに収まった。私は、申し訳ないような顔をしながら舞台を降りていった。今は14時13分。舞台の裏から先輩方のバンドのライヴを見ることになる。


 軽音楽部はここ数年不憫な扱いを受けている感が否めない(私の学校も例外ではない)。(生まれる前、生まれた直後なので詳しくないし、見てもいないが)2006年ごろ、軽音部をテーマにしたアニメがあった、と聞いたことがある。そのときは、軽音部に入る、という人も多かったようだ。


 しかし、時は流れアニメも(すたれてはいないが)新しいものがどんどん増えてくる。5年ほど前だったか、カルタ部の映画が大流行したことがあった。そのときにも。カルタ部の人口が増えた、と聞いたことがある。しかし今(2022年)は、そう言ったブームも下火になってしまった感がどうしてもあるようだ。


 今年に入ってから、吹奏楽部を舞台とした映画が流行した。隠れた才能に気が付いていない主人公の高島君が、吹奏楽部で活躍していく話だ。実際、その映画の流行で吹部人口も増えたと聞いている。しかし、今後どうなるかは誰にも分からないだろう。


 私は、舞台裏に隠れて先輩方の演奏を見ながら、考え事をしていた。


 終了後は片付けとなる。そこまで重い物は無いので、そんな苦ではなく、30分もあれば十分終わる程度だ。


 学園祭は15時までであるが、片付けをしていると校内放送で「もう終わりです」という放送が流れてくるのが聞こえた。私たちは、一緒に教室まで向かっていった。


 3組の教室はほぼ全員いるが、まだ数人いないようだ。大阪先生は、後ろの番号の人がいることの確認を促す。誰が不在なのかを確認した結果、山村くんと楓ちゃんがいないということがわかった。


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