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38 学園祭当日 1日目 7

昨日は更新できず申し訳ありませんでした。

 本来は14時から練習のはずだったが、吹奏楽部が13時に終わるということで、部室を利用できるようになっていた。


 音楽室は吹奏楽部が片づけを行っている。ひかりとコウはまだ来ていなかった。ふたりは音楽室前の壁に寄りかかって、吹部が終わるのと2人がくるのを待った。


 ほどなくして2人は来た。間を開けずに吹奏楽部の片付けも終わり、40人程度の部員が一斉に音楽室を出ていった。私たちは、中に入って楽器を取り出した。

 

 「やっと開いた!」


 全員が去っていったあと、コウは音楽室の中で叫んだ。まだ12時55分なので、「やっと」という言葉は違うんじゃないかと思ったが言えなかった。

 

 本来の練習時間は13時からだ。もう1度楽器をチューニングした。1時間後の本番に向けて、1曲目のコピー曲「荒野の朝」と、2曲目のオリジナル曲「始まりの街」の練習を始めていった。もう舞台は設営されている(吹奏楽部は、狭い中で練習をしていた。その点、私は彼ら彼女らを尊敬している)ので、本番に向かって練習するだけだ。


 15分という時間はあまりにも短い。1回通して練習を行うだけでもう過ぎてしまう時間だ。私たちは、それでも何もできないよりはいいよね、と笑いあった


 この次の15分で先輩のバンドが練習を行い、1時半からの10分で最終準備、そして2時から披露という流れになる。私たちは、限られている時間の中で一生懸命に練習を行った。


 今日は喉の調子もよい。今まで通りの調子で大丈夫そうだった。


 1回通すと、もう13時16分になっていた。私たちは楽器を片付け、音楽準備室に隠れた。先輩のバンド、Degree Celciusがやってくる。先輩方の練習が始まった。


 先輩方が演奏するのも2曲である。1曲は国民的アイドル「スイートラズベリー」の「世界は回る」のカバー曲、もう1つは先輩のバンドオリジナルの歌だ。


 「世界は回る」は「手のひらの地球儀を回せ!」の部分が印象的な歌詞だ。「月の(はて)の鳥は 何処へ逃げようとしてるのか?」や「今日はいつもよりも 重い空 よどむ雲」、「沈んだ 遠い夢 残った 枯れた声 だめだ だめだ 誰か 早く 話を聞いて!」という暗めの歌詞が特徴となっている。


 先輩方は、”カバー曲”(オリジナルにアレンジを加えて演奏)という形で演奏している。


 「荒野の朝」は、楽器の弾き方まで原曲とあまり変わらないように演奏している。だから難しいと思う人もいるかもしれないが、まだRIVAGEの色が決まってはいないので、少なくとも私たちにとってはコピーの方が簡単だという認識だった。


 私たちは、先輩方の練習を裏で見た。40分後に待ち受ける本番でも、同じように裏から見ることになる。


 「緊張してる? 特に高校からバンド始めたっていうショウに聞きたいんだけど」


 ひかりは小声でショウに問いただしていた。ショウは少し戸惑っていたようだが、一瞬の間をおいて話した。


 「2週間前のライヴで慣れたし、今回それより小規模なんでしょ? 大丈夫だと思ってる」


 正直なところ、私は全く緊張していない。中学生のころ、ヘリアンサスガールズの一員として活動した経験が間違いなく生きてきている。確か2019年の8月4日に行われたお披露目会、9月18日に行われたライブのときはそれなりに緊張した記憶がある。しかし、2年以上の活動を経て、私も少しずつではあるが慣れてきていた。


 私は軽くあくびをした。


  「RIVAGEのみんな、このパンフレット配って、外で宣伝してきてくれない? 準備は俺たちがやるから」


 1個上のバンドのメンバー黒木先輩のお願いを、私たちはわかりました、といって引き受けた。


  パンフレットの片面にはバンドのセットリストが、もう片面にはバンドオリジナル曲の歌詞が書かれている。Twitterでも一応歌詞は載せているのだが、全員が見てくれているとは限らない。仮に見てくれていたとしても、覚えてくれているとはかぎらないだろう。


 13時40分から入場は可能になるのだが、もう5人くらい並んでいる人がいた。私たちは、その5人に歌詞の書かれた紙を配った。 少しずつ人がやってきてはいるのだが、このペースだと、(宣伝しておいてはいたのだが)客席(約80席)はいっぱいにはならなさそうだ。


 「俺とひかりは人を集めておくから、なっちとショウは音楽室に戻っていいよ、どうせ準備しなきゃいけないだろうし」


 私たちは、音楽室に戻り、最後の準備を始めた。あと15分で始まる。私は、裏で楽器の音が出るかを確認した。ショウも、軽く音を確認していたが特に問題はなかったようだ。


 「失敗しないようにね、今回もうまくいくといいね」


 私はショウに声をかけた。彼は何も言わずに頷いてくれた。


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