25 学園祭準備3
太田が、ショウに雑用として物資(ガムテープと光沢のある布)の調達を頼んでいた。学園祭2日前なのに、ちょうどなくなってしまったようだった。
「わかった」
彼が承諾すると、私はまた「私もついていくね」と言っておいた。彼は頼りないので、一緒に行かないとどこか心もとないと思っていたのはあるが、ついていきたかったという思いもある。
「ここのアイス、新作出たらしいんだけど、ちょっと食べてみない?」
必要な物資を購入し終えた後、私は提案した。駅の近くにある建物”Nポート”の中にある百円均一ショップの下にはアイスクリームの全国チェーン店がある。(根拠はないが)私とショウの味覚は似通っていると思っているので、私が美味しいと思ったものはショウにとっても美味しいと思ってくれるようだ。
8月の頭にショウにスターバックス(大手チェーンのカフェ)の新作の「そば茶ラテ」を勧めたことがある。彼は絶対美味しくないでしょ!と言って飲むのをかたくなに拒んだが、一度「飲んでみて!」と進めて飲ませてみたところ、表情を変えて「美味しい!」と叫んだのを今でも覚えている。
他にも色々ドーナツやコーヒー・カップめんなど色々勧めてきたが、今のところ彼にとってはずれは1つもなかったようだ。
「あ、これこれ」
そう言って私は「わさびバニラアイス」と書いてあるプラカードを指さした。
「僕、わさび無理なんだけど」
ショウがわさび嫌いなのは重々承知している。別に彼が苦しんでいる顔が見たいというわけではない。すすめておきながらおかしな話と思うかもしれないが、私もわさびはあまり好きではない。私も楓ちゃんに勧められて食べたら美味しいと思ったという経緯がある。
「ごめん、もう1度言うけど。僕、本当にわさび無理なんだけど」
やっぱり言うとは思った。私もわさび苦手だけど食べられたから大丈夫だよ、と言っても彼のいまいちな表情は変わらなかった。
「本当に悪いんだけど、なっちが買って、それを少し分けてもらってもいい? 美味しかったら自分の分買って、ちょっと返すから。僕本当にわさび無理」
私は、わかった、と言った。正直無理もない反応だろう。私はアイスを買って、少しショウに食べさせてみた。




