21 学園祭準備 3
一休みしている途中、私たちは2階のテラスに向っていった。テラスから見えるビルの屋上には大きな観覧車があり、かなり目立つ。まだ暗くはないのだが、観覧車が緑色にライトアップされていた。
「もう17時半か、C北の観覧車はいつまで緑なんだろう?」
「あのビルの観覧車、色変わるの? ずっと緑じゃん」
観覧車の色が変わることを知って私は驚く。正直な感想をショウに伝えた。
「オレンジの観覧車とか、見たことない!」
「なっちさ、確か受験しにここに来た時、観覧車見なかったの?」
(当然)観覧車の存在自体には気づいていたが、時間帯的にまだライトアップされる前だった。ショウにそのことを伝えると、観覧車は季節によって夜の照明の色を変え、春・夏は緑、秋・冬はオレンジ色になることを教えてくれた。
話していると、チャイムが鳴り響く。気づいたら17時半になっていた。最終下校まであと30分。そろそろまずいな、と思って私たちは教室へ戻った。
「あ、前田と長谷川、どこいってたの?」
「ごめん、いやちょっと、休憩しにテラスにいってた」
ショウは言い訳をせずに答えた。私も、ごめんなさい、と言った。
「ずっと前から思ってるんだけどさ、前田と長谷川って、どういう関係なの?」
太田と私・ショウも割と仲が良く、どんなことでも話せるような関係にある。彼は、私たちふたりが付き合っていると思っているようだ。
よく仲いい人に、「前田と長谷川って付き合ってるの?」と聞かれるが、まだ告白していないので、私は適当にごまかしている。ショウは、聞かれたときは「2人の間では付き合ってないことになってる」と言っているようだ。
太田に言われたことに対してどう思っているかショウに聞かれたが、私としてもまだ付き合ってはいないと思っていることを正直に告げた。
正直、私はショウが好きだ。いつかはちゃんと付き合いたいと思っていたが、そのことについて聞き出す勇気は私にはなかった。結局当たり障りのない世間話をして、ふたりは家へと帰っていった。
親は共働きで今家にいない。私は冷蔵庫に入っていたそうめんをゆでて1人で食べた。
暗くなりつつあるがまだ明るい9月の帰り道。私たちは2人で家へと帰っていた。




