第91話 注がれた格
衝突が、本格に入る。
【02(ヘイル)】の砲が連続し、【03(レイン)】の鎌が雨を刃に変える。
セレスティーヌは異形の腕で受け、粒子で間合いを削る。
押せる。
押せるが、倒せない。
「やはり、三傑は別物ね」
セレスティーヌの声が、戦闘の合間に落ちる。
「端の番号とは、開発の段階から違う。
01、02、03——最初にリソースを集中した枠」
【03(レイン)】が、歯を剥く。
『番号の話、もういい』
「よくないわ。
現象核の純度、自我制御層の厚さ、出力の上限。
三傑には、他より多くが注がれた。
04以降は運用枠。あなたたちは本命」
雹の一発が、粒子の腕を砕きかける。
砕きかけても、白が再構成される。
【02(ヘイル)】が、低い声で返す。
『本命でも、兵器でも、やることは同じだ』
「同じに見えるだけ。
格が違うから、世界の側もあなたたちに合わせて歪む。
だから怖い。
だから、触れる価値がある」
【03(レイン)】が踏み込む。
感情が先に出る。
鎌の密度が上がり、セレスティーヌの頰を粒子ごと削る。
『触るな』
「触る。別格を、この身で測る」
次の瞬間、セレスティーヌの粒子が【03(レイン)】の側面を殴る。
回避は間に合う。
間に合うが、軌道がわずかに崩れる。
【02(ヘイル)】の砲が、その隙間を埋める。
03の前に、雹の壁が立つ。
『チビ、下がれ』
『下がらねえ』
『下がれ。お前が先に刈られる』
初めて、庇う形が戦場に出る。
明確な宣言ではない。
なのに、02の位置が03の損失を先に潰しに来ている。
セレスティーヌは、その配置を見て目を細める。
「……連携ではない。
それでも、守る」
雨と雹が、再び重なる。
互角の攻防が、庇う側の熱を帯び始める。




