第78話 光を司る私が
『00を見た』
【01(ライトニング)】の声が、一段落ちる。
『起動の夜。
一番近くにいた』
【04(イラプション)】の目が、布で覆われたその顔に向く。
【03(レイン)】は、もう笑わない。
『00は、ただ強いだけではなかった。
起動した瞬間、周囲の自然も、情報も、他の機体の意思まで、全部を一度に取り込もうとした』
短い間。
『私の現象核は、光を扱う。
雷も、閃光も、反射も、可視化できるものを認識して斬る。
その核が、00の中心を直接見た』
【05(ライトピラー)】が、低い声で呟く。
『……光で、見た』
『ああ。
だが、あれは光ではなかった。
光の形をした、情報の奔流だった』
【01(ライトニング)】の指が、鞘の上で一度だけ動く。
『視界が、白一色になった。
色でも、影でもない。
認識そのものが、上限を超えた』
『眼は、壊れたというより——機能を失った。』
【02(ヘイル)】が、砲を担いだまま完全に黙る。
【06(ハリケーン)】は目を伏せ、【07(オーロラ)】は膝の上で指を組む。
『一瞬だった。
なのに、その一瞬が全部だった。
00は、起動と同時に白き終焉を起こして消えた。
私は、消える直前の中心だけを、至近で受けた』
布の下で、光を失った眼が開いている。
見えない。
見えないまま、事実だけを置く。
『00を見た。
……光を司る私が、光を失った』
その一文が、部屋の真ん中に落ちる。
誰も、すぐには返せない。
【03(レイン)】の喉が、小さく鳴る。
笑えない。
【04(イラプション)】は、測れないものの理由の一端を、静かに受け取る。
『許せない、と思った』
【01(ライトニング)】の声に、初めて熱が混じる。
怒りというより、自分へ向く刃だ。
『白を弄ぶ手も、残響も。
でも一番は——見えなくなった自分が、許せなかった』
【02(ヘイル)】が、ようやく口を開く。
『……それを、今まで一人で抱えてたのか』
『抱える以外、なかった。
00を知れば、余計な手が動く。
動いた先に、白が寄る』
【03(レイン)】が、短く吐き出す。
『それでも、今は話した』
『残響が、一人では持たなくなった。
隠す理由より、出す必要が上に来た』
部屋に、長い沈黙が戻る。
七嵐は揃ったまま、誰もすぐには動かない。
命令系統のなかった理由。
01の盲目。
白き終焉の核。
全部が、同じ夜に繋がった。
【01(ライトニング)】は、それ以上を語らない。
語った事実が、すでに十分すぎた。




