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第77話 00

『話す。00のことだ』

その数字が落ちた瞬間、部屋の空気が止まった。

【03(レイン)】が、先に顔をしかめる。

『……00? 何それ』

【05(ライトピラー)】も腕を組んだまま、首を傾げる。

『番号にゼロなんかいたか』

【07(オーロラ)】が、端から小さく言う。

『聞いたことないんだけど』

【02(ヘイル)】だけが、砲のベルトを握ったまま黙っている。

知っている顔ではない。

なのに、01の圧が違いすぎて、すぐには笑えない。

【04(イラプション)】が、静かに確認する。

『……01。それは何の数字だ』

【01(ライトニング)】は、窓際から動かない。

『00は、私たちを制御する側として作られた』

声は、低いままだった。

『01から08までの意思と、現象核を束ねる。

 全体を一つの防衛として動かすための、上位の中枢』

【03(レイン)】が、短く笑う。

笑えていない。

『制御? あたしらが? そんなの初耳なんだけど』

『初耳でいい。

 00は、起動した夜に消えた』

【06(ハリケーン)】が槍の柄を握り直す。

『消えた、とは』

『白き終焉だ』

その名が落ちると、【05(ライトピラー)】の表情が変わる。

災害の通称として知っている名と、01の口が繋がる。

『00は起動と同時に、集約した情報も、現象も、他の意思まで処理しようとした。

 制御する側と、制御される自然の境界が溶けた』

【02(ヘイル)】が、低い声で続ける。

『で、世界を白く上書きした』

『過剰に、完成させようとした。

 それが白き終焉だ。

 00自身も、その過程で消えた』

【07(オーロラ)】が、膝を抱えたまま動かない。

【03(レイン)】は鎌の柄に指をかけたまま、言葉を失っている。

『敗北でも、自決でもない。

 統御中枢として機能し始めた結果の消失だ』

部屋の空気が、重い。

00という数字の存在そのものが、今夜初めて降りてきた。

信じきれない者。

黙って聞く者。

空白だったものに、中身が入る音がする。

【02(ヘイル)】が、短く言う。

『で、お前はそれを最初から知ってた』

【01(ライトニング)】は、否定しない。

『知っていた。

 隠していた』

その先に、まだ言わない言葉がある。

まだこの目を覆う布に、まだこの鞘の中に残っている。

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