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第60話 端から
セレスティーヌの部屋で、風と光の点が同時に点滅していた。
「06が港寄り。07が屋根の連なり」
配下の報告に、彼女は短く頷く。
「端から行く。強い三体はまだ見ない」
白き終焉の名を口にした夜の続きだ。
思想は、もう配置に落ちている。
「取り込む。無理なら、道を開ける」
命じられた者が動く。
黒鋼のような回収袋ではない。
計測と、拘束と、白い信仰に寄せた器具。
同じ時刻、港では【06(ハリケーン)】が風の歪みを鎮めていた。
争いを急がない。
住処の崩れる前に、気流を上へ逃がす。
『……また、見てる』
黒鋼とも違う視線が、遠巻きにある。
退かせる風を送るが、相手はすぐに散らない。
別の街区で、【07(オーロラ)】が双銃を回す。
『めんどくさいのが増えてない?』
極光の歪みを乱射で打ち崩しながら、下の人影に舌打ちをする。
興味はない。
ないが、視線の質がいつもと違う。
セレスティーヌは、部屋の画面でその反応だけを見る。
「06は守る。07は軽い。
どちらも、純白の前では未整理よ」
「接触は」
「予兆が重なったとき。今夜はその前段」
本戦ではない。
手触りを知るための、端からの伸長だ。
表の街では、環象社が定型を流す。
「現在、大きな発令はありません」
発令のない夜に、白い思想の手が、06と07の背中へ確実に伸びていた。




