59/107
第59話 消えないログ
アヤの私用メモは、雷の欄だけが濃くなっていた。
それでも今夜は、同じ決意を書き足すだけでは終わらなかった。
古い災害記録の申請が、一部だけ通る。
黒塗りの多いファイルの端に、消されきっていない文字列が残っていた。
『適合個体:外見提供済』
『雷域・優先観測』
『白き終焉後_再配置』
白き終焉。
初めて、社内資料の端でその四字を見た。
表の発表では使わない言葉だ。
なのに、内部の古いログには残っている。
アヤの指が、画面の上で止まる。
続けて、別の欠損ページに短い英数字が並んでいた。
意味は取れない。
ただ、末尾だけが読めた。
…-01 / LIGHT---
途中で切れている。
なのに、雷の現場で見た目隠しの女と、頭の中で繋がってしまう。
『01』
声に出さず、私用メモへ移す。
社用端末には残さない。
姉の提供記録。
白き終焉の語。
01と光を示す欠損ログ。
単独では弱い。
三つ重なると、もう広報の違和感では済まない。
アヤは姉の写真を閉じ、夜の窓を見る。
次に雷が立てば、規制の外で終わらせない。
根拠が、一つ増えた。
増えた分だけ、足が止められなくなっていた。




