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第106話 守る距離と、面倒くさい
風が、住宅街の公園を斜めに撫でていた。
環象社のランクはC。
【06(ハリケーン)】は長槍を立て、気流を上へ逃がす。
遊具の下で、小動物が身を縮めている。
『怖かったね』
争いは好まない。
それでも牙が向けば、折る。
白の残響も、異形の取り込みも、彼女の位置は変わらない。
守るものが先で、敵は後だ。
槍を下ろし、壊れた柵を起こす。
英雄の仕事ではない。
風のあと始末だ。
別の夜、ビルの谷間で極光じみた光が降りる。
【07(オーロラ)】が双銃を回し、乱射する。
『えー、めんどくさい』
丁寧ではない。
足りる。
空の色が剥がれ、不自然な光が消える。
『終わった? じゃあ帰るね』
誰にも確認しない。
重い話も、集合も、もういらない。
必要なときだけ動き、終われば屋根を離れる。
環象社の拡声器が流れる。
「異常発光が収束に向かっています」
守る距離を選ぶ番号と、面倒くさがって収束させる番号が、同じ歪んだ空の下にいる。
青は、まだ戻っていない。
戻っていなくても、個別の仕事は続く。




