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卑劣! 勇者パーティに追い出されたので盗賊ギルドで成り上がることにした!  作者: 久我拓人


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~流麗! どすけべ話で盛り上がる~

 オイランのお手伝い、としてお城に入ってみる。

 本来はヒョーゴの地でやるべきことなのでしょうけど、一度エンゴの城で試しておかないといけないことがあります。

 それは、いわゆる『結界』と呼ばれる物の有無を確かめること。

 パーロナ国のお城でもそうだったように、魔法学院でも存在していたように、こういった場所では独自の結界が張られている可能性が高いです。

 そこに魔物種は侵入できるのかどうか。

 それを確かめておかなければなりません。

 エンゴのお城で大丈夫ならば、ヒョーゴでも大丈夫でしょう。という魂胆です。

 まさか国の中心より別の街のほうが強い、なんてことはあんまり無いでしょう。

 たぶん。

 というわけでお城が近づいてまいりました。

 独得なデザインで、木造ではありません。四角いお池の真ん中に建っているようなイメージですが、なんというか鋭利な印象を受けます。


「わたし、止められないでしょうか」

「大丈夫ですよ。みんな松風姐さまに夢中ですから」

「なるほど」


 ニナの言い分に納得してしまう程度には、マツカゼの魅力は高い。

 自動的にテンプテーションのスキルが発動しているような状態でしょうか。

 むしろ、ここまで艶やかですとギフトレベルとも言えるかもしれません。

 誰もが視線を向けてしまい、夢中になってしまう。

 なんとも支配者向けのギフトではありますが……あんまり魅力的に思えないのはわたしが吸血鬼だからでしょうか。

 やろうと思えばできてしまうんですよね。

 傀儡化で。

 ふ~む。

 ま、それはさておきお城です。

 島国で平和で、モンスターが少ないだけに、実は警備とかチェックが甘かったりするのかもしれませんわね。

 お池の一角、門へ続く橋のようなところへ差し掛かると、おサムライさんが止めることなく、道を開けてくれる。

 マジで素通りじゃないですか。

 もっとも――


「ギンギンに見られていますわね。誰も彼もオイランに夢中ではありませんわよ、ニナ」

「あはは……」


 チェックが甘いのは荷物検査とかしない程度で、おサムライさんの眼光は鋭い。

 それこそ、わたしめちゃくちゃ疑われている感じですけど?

 カムロっぽく見えてないんでしょうね……

 まぁ、止められることなくお城に入ることを許されたみたいですが。


「本番も有効かしら?」


 もしもヤツルギの屋敷でもオイランを呼ぶことがあれば……それに同行すれば問題なく侵入できそうですわね。

 やるかどうかは別として、方法のひとつとして覚えておきましょう。

 それとは別として。


「普通に入れましたわね」


 結界のようなものに弾かれることなく、お城の敷地内に入れました。これもまた、なぁんだ、という感じではあります。

 まぁ、強力な結界が張ってあるより、よっぽどマシですけどね。

 門を通ると、狭い通路のように先が続いていて、建物にはまだ向かわずに、遠回りするように続いている。

 面倒な造りになっていますわね。

 あと坂道。

 ちょっと登り坂になっているんでしょうか。


「ここが大変なんでありんす」


 厚底の履物では、なかなか歩きにくいのでしょう。マツカゼの歩く速度が極端に落ちました。

 まぁ、人目が無くなりましたので素が出ているのでしょう。

 少し本来の彼女の性格が見えた気がしました。

 オイランでなければ、元気に働いていたような娘だったのかもしれませんわね。


「おんぶしましょうか?」

「冗談はよしておくんなし。松風はひとりで歩けん女と、若様に笑われてしまいますえ」

「女に苦労させる男など、勝手に笑わせておけばいいのですわ」

「ふふ。るびぃは強い女でありんすなぁ。普段はそれでもいいんすが、お城では『いい女』にならないといけんせん。わっちの行動に遊郭の今後が関わるかも、でありんすから」


 お殿様に気に入られれば、それだけユーカクの価値が上がる。

 そうなれば、同じユーカクに所属している者や、ニナ、他のカムロも安心して今後もユージョを続けられる。

 という算段ですわね。


「人を背負っていると大変ですわね」

「軽いもんでありんすよ」


 なるほど。

 いい女ですわ。

 手助けされることなく坂道を登り切ったマツカゼは汗ひとつ見せずお城に到着した。

 もちろんそこには別のおサムライさんがいて、ぎろり、とわたし達を見る。


「ようこそ松風殿。どうぞ、こちらへ。若がお待ちになっておられます。お付きの禿殿らは、こちらへ」


 どうやらここでお別れのようです。

 廊下の奥へ進んでいくマツカゼに頭を深く下げるニナ。

 それに習って、わたしも頭を下げました。

 なんというか……首を切り落とされるポーズに思えてくるのは、おサムライさんが隣でわたしを見下ろしているから、でしょうか。

 おぉ、こわいこわい。

 死にはしませんが、やっぱり首を落とされるのは怖いです。

 マツカゼはこれから仕事ですので、わたし達は待機部屋へ案内される。

 手土産はそこで渡せばいいかしら。

 待機部屋はこじんまりとした部屋でタタミだけがあるような感じ。一応、窓というか、ドアというか、白いスライド式のドアっぽいのがあるんですけど、この先はなんでしょうか?

 とりあえず案内してくださったおサムライさんに手土産を渡す。


「こちら、どうぞお納めください」

「ふむ。これは?」


 えっと……?


「有名なお茶菓子が手に入りましたので、おすそ分けです。若様にお出し頂ければ喜ばれるかと思いまして、持参しました」

「そうか。ではそのように伝えよう」


 おサムライさんはそれを受け取って部屋から出て行った。


「ふぅ」


 ニナが大きく息を吐いたので、どうやら安心して良いようですわね。


「ねぇねぇねぇ、ニナ。この紙の扉はなんですの?」

「それは障子です。外国の人から見たら、紙の扉なんですね」


 くすくすと笑われる。


「突っつくと穴が空きますわよね? いいんですの?」


 なんというか、そこはかとなく穴を開けたくなる誘惑にかられる。なんという罠。こんなの我慢できないじゃないですか。


「やめてください。怒られるどころじゃ済まなくなりますよ」


 ニナに止められてしまいました。

 ぐぅ。

 開けたい。

 穴を開けたい。


「でもぶつかって穴が開いちゃうこともあるでしょう?」

「定期的に張り替えます。あと、紙を花の形にして上から張って飾り付けのようにしたり……って、ダメですからるびーさん!」


 再び止められてしまいました。

 残念。

 まぁ、わたしは大人ですから。

 これくらい我慢はできますけどね。

 倭国から帰る前に、一度は穴を開けておきたいですが。

 七星護剣が、このショージだらけの部屋に保管されていたりしないでしょうか。

 ならば、合法的に穴を開けても許されます。

 ……まぁ、その時にはお屋敷が大爆発してるかもしれませんけど。


「はい、るびーさん。大人しく待機です」

「どれくらい待機しますの?」

「若様のお遊びが終わるまでですから……長くて夜まで?」

「あら。盛り上がって一晩、とかは有り得ないんですの?」

「いえいえ。そうなると、がっつく男、としてダメなんですよ。節度をもって付き合うのが良い男の証とされるので。いくらお殿様でも笑われてしまいます」

「節度を持つ……ウチの師匠さんみたいですわね」

「るびーさんの師匠? 冒険者のですか」

「いえ。正妻さんの師匠です。わたし愛人ですの」

「はい?」

「公認で浮気をしてもらってるのですが、なかなか手を出してくださらなくて。わたし、年齢が年齢でしょ? 躊躇されてるのでしょうか……」


 もう自分の年齢など覚えていませんが、少なくとも師匠さんよりかなり年上です。

 師匠さんは本物のロリコンですからね。

 実際のところ、わたしではダメな可能性が高いんですのよねぇ~……それを隠して付き合ってくださってるとは思いませんが……

 万が一、万が一ということがあります。

 いざという時にダメでしたら、ちょっと泣いちゃってわたしが二代目の魔王になっちゃうかもしれませんので。

 そうならないためにも、師匠さんにはロリババァでもイケるということを示してもらわないといけません。


「外国だと、えと、大変若い女の子と結婚しても……大丈夫なの?」

「いいえ? ぜんぜん」

「え?」

「ロリコンという変態の名を欲しいままにしますわ。周囲の人からさげすんだ目で見られること間違いなしです」

「……その、師匠さん、っていう人は?」

「安心してください」

「あ、そうですよね」

「ロリコンです」

「……えぇ~」


 というわけで。

 マツカゼの『お仕事』が終わるまでの間、ニナと楽しく会話をして過ごしました。


「初めては痛いみたいだけど、私だいじょうぶかなぁ」

「女は痛みに強いみたいですわよ。なにせ、赤ん坊のほうが殿方のアレより大きいじゃないですか」

「師匠さんってどれくらい?」

「これくらいでした」

「ほほ~」


 出会ったばかりの女の子と、どすけべ会話で盛り上がれる貴重な体験。

 素晴らしい一時でしたわ!

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