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卑劣! 勇者パーティに追い出されたので盗賊ギルドで成り上がることにした!  作者: 久我拓人


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~可憐! てらこやいずむ~

 テラコヤでは勉強が終わると、昼食になった。


「パルさんも食べていきます?」

「いいの!?」


 ひとりやふたり分くらいは余裕があるみたい。遠慮なくどうぞ、と先生に言われたので、遠慮なく食べていくことにした。


「お勉強してるご褒美ってことかな」


 そんな感じにつぶやいたら、まわりの子たちに首を傾げられた。

 あれ~?


「なんでお勉強したらご褒美になるの?」

「頑張ったら、ご褒美をもらえない?」

「あ、そっか。勉強って頑張った感じがないから、ご褒美って思わなかった」


 そういう感覚の違いみたい。

 ん~、あたしにとっては勉強も盗賊の修行も『頑張る』って感じなんだけどなぁ。

 でも倭国の子どもにとっては違うのかも。

 それともカミノトの子どもだけの感覚なのかな?

 文化というか、感覚が違い過ぎて、もうなにをどう考えていいのか分かんなくなってきそう。


「え~っと、頑張ってないとしたら……じゃぁ、お勉強ってどんな感じでしてるの」

「遊びかなぁ? 楽しいことって感じ」


 それはそれでどうなんだ、という気もするけど……

 でも師匠が言ってたっけ――


「楽しんでやるのが一番だからな。しんどい事とかつまらん事は続かん。好きなことってのは、案外楽に続けられるし、上達する上では役立つ」

「じゃぁ、師匠がロリコンを続けられるのも?」

「うむ。小さい子が好きだからだ」

「なるほど」

「なるほど、じゃないが? というか、なんだその悪ふざけな質問は。真面目にやりなさい。罰としてジックス街の周囲を一周」

「えー」

「ほら、いくぞ。俺もいっしょに走る」

「なんで師匠も?」

「いっしょに悪ふざけに乗ったからだ。弟子の罰は師匠も受けるものだろう」


 って言って、楽しく一周走ったのを思い出した。

 あれも楽しく修行できた、っていう感じかなぁ~。

 確かに、ご褒美が欲しい~、っていう感覚にはならない気がする。いっしょに走ってくれたのが嬉しいから、そこに見返りなんかいらない感じ。

 それとお勉強がいっしょっていうのは、なんというか、凄いレベルの高い感じはする。

 もしかしたら、カミノトの子どもはみんなレベルが高いのかもしれない。


「はい、パルさんも配膳を手伝ってくださいね」

「あ、はーい」


 大きなお鍋を運んできて、それをひとつひとつのお皿に入れていく。それをみんなの机の上に配っていくのを手伝った。


「パルちゃん、そんないっぱい持ったら危ないよ」

「平気へいき」


 あたし盗賊だもん。

 あと、絶対に食べ物は落としません。

 命に変えても落としません。


「さすが冒険者」


 と、みんなに褒めてもらいながら、お皿を運んでいった。

 今日のメニューは、お米を炊いたヤツに豚のおミソ汁。あと焼いたお魚もあって、緑のお茶も付いてた。

 豪華!


「美味しそう!」


 うへへ~、と配られたのを見てると、みんなにクスクスと笑われた。


「それでは頂きましょう。手を合わせて――」

「いただきまーす」


 食事の前の挨拶は大陸と同じみたい。

 手を合わせるのは、倭国の文化かな。神さまに祈るときのポーズとか、そういうのにも似ている。


「パルちゃんは、普段どんなの食べてる?」

「えっとね、こんなのだよ」


 あたしは持ってた干し肉を取り出して、女の子に手渡した。


「わぁ、カッチカチだ。こんなの食べられる?」

「スープに入れて、ガジガジって噛む感じ」

「豚汁に合うかな?」

「干し肉ってかなりしょっぱいから、入れないほうがいいかも」


 トン汁っていうんだ、これ。

 おミソ汁に豚が入ったら、トンの汁になるらしい。これも、それなりにしょっぱいので。干し肉を入れちゃったら、飲めなくなっちゃう程しょっぱくなるかも。


「そっか~。うわっ、かったい……!」

「オレもオレも。噛んでみたい」

「いいよ~、んぎぎ……! 切れない……」


 女の子が半分にちぎろうとするけど、干し肉は切れなかった。


「貸して」


 というわけで、干し肉を返してもらって、投げナイフを取り出すと、サクっと半分に切った。


「わぁ。パルちゃん、どこから出したの?」

「えへへ、秘密」


 いろいろ仕込んであります。

 さっきのは背中から取り出したので、後ろから見てる子からは丸見えだったけど。


「くすくす」


 後ろで笑ってるので、し~、と振り返って言っておいた。

 ごはんはとても美味しくて温かったので、テラコヤの中でわざわざ作ってるみたい。台所があるんだって。

 こんなにも大量に作ってるんだから、仕入れとかお金とか大変そう。


「お殿様が出してくださっています」

「おトノさまって、ヤツルギの?」


 先生は、はい、とうなずいた。


「ヤツルギさまって領主みたいな感じでしょ。なんでテラコヤにお金を出してくれるんだろう?」


 よく分かんないな。


「教育ですね。別の部屋では赤ちゃんも預かっています。赤ちゃんを預かると、どうなるか分かりますか、パルさん」

「え? え~っと、親に捨てられることがなくなる……?」

「そんな親がいるものですか」


 怒られた。

 いるよぉ……あたし、捨てられたもん……

 って言ったら話がややこしくなりそうなので黙っておいた。


「赤ちゃんを預かると、その分、親は仕事ができますし、休むことができます。仕事ができるということは、お金儲けができるということ。つまり、巡り巡ってお殿様の収入になります」

「おぉ、なるほど」


 税金の仕組み、みたいな感じ、かな。

 ちゃんとメリットがあるみたいで、テラコヤってみんなに都合が良いのかも。


「パルちゃんはどうして冒険者になったの?」

「え~っとね」


 まさか孤児で路地裏から逃げ出したい一心でロリコンの師匠にブラフで勝ったから、なんて言えないので……


「師匠に出会ってお願いして。それで訓練を始めたよ」

「師匠がいるんだ。どんな人?」

「めちゃくちゃカッコイイ」


 え、いいな~!

 って女の子たちが盛り上がった。男の子はちょっとつまんない感じの子もいて、ちょっと面白かった。

 でもこんなところは師匠には見せられない。

 ぜったいデレデレに喜ぶもん。

 ロリコンだってバラしたくなっちゃう。


「やめてください、社会的に死んでしまいます」


 って、師匠は言いそう。

 たぶん言う。

 ぜったい言う。

 師匠のことなら、なんでも分かるもん。


「それではお片付けの時間です。パルさんもごはんを食べたのであれば手伝うのが義務です」

「もちろんです」


 家でも後片付けはしている。

 あと、冒険中の野営でも、しっかりと後片付けをしないといけない。じゃないと、お皿とかお鍋とかが汚れてて、きちゃないきちゃない。

 ルビーが水を操る魔法を使ってくれるから、とっても便利。すごく便利な魔導書をもらえたので、アルマさまに感謝しないとね。

 ごはんが美味しく食べられるから!

 みんなといっしょに食器を運んで、井戸水で洗う。全部洗い終わったら、ごちそうさまでした、と挨拶をして休憩時間となった。


「赤ちゃん見に行きたいけど、いいかな」

「あまり大きな声を出しちゃダメですよ」


 先生に許可をもらって、赤ちゃん達がいる部屋に行ってみる。あたしの後ろにぞろぞろとみんなが付いてくるので、迷惑になっちゃいそう。

 できるだけ静かに窓から中を覗くと――まだ四つん這いをして歩いてる赤ちゃん達がいた。


「可愛い……」


 思わずつぶやいちゃうくらいには、赤ちゃんって可愛い。


「あたしも赤ちゃん欲しい」

「パルちゃん、お母さんになるの?」

「なりたいよね。あなたも?」

「うんうん。お母さんになりたい。赤ちゃん、欲しいよね」


 ね~、なんて話をしてると、真っ赤になってる女の子とモジモジしてる男の子がいた。

 赤ちゃんの作り方をしっているらしい。

 そういうのって、テラコヤで教えてもらったりしないのかな。


「実践練習とかあると面白いかも」

「なにいってるのパルちゃん!?」

「冗談だよぅ。にひひ」

「ダメだからね。ほら、騒がしくしたら怒られるから。もう行くよ!」

「あ~ん、もうちょっと赤ちゃん見てたい~」


 というわけで。

 ちょっぴり仲良しになれた気がする。


「パルちゃん、あんまりそういうこと言ってると男子が調子に乗るんだから」

「調子に乗るって?」

「えっちなこと言ってからかってくるの。最低よね」


 そうよそうよ、と女の子たちが盛り上がってる。

 それを聞いて男の子たちは、べーっ、と意地悪な顔をして笑ってた。

 仲良しだなぁ~。


「あたしの仲間にも、そんな人がいるよ。すぐえっちなこと言ってくる」


 人じゃなくて吸血鬼だけど。


「えぇ~。そんな男の子とよく仲間になれるわね。冒険者ってそういうものなのかしら」

「女の子だよ」

「え? なんで?」

「『なんで』!? さ、さぁ? え、ルビーってなんで女の子なんだろう……?」


 ルビーが女の子の理由なんて考えたこともなかった。

 確かに吸血鬼でえっちで飽きっぽくて、すぐふざけるのって、男の子っぽいかも。

 さすが倭国の子ども達。

 物事の本質を見抜けるお勉強とかしてるのかもしれない!

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