第15話「総攻撃」
黒いドラゴンが翼を羽ばたかせるたびに倒れる木々。森の中の生徒たちは当然それに巻き込まれている。
ドラゴンに向かって放たれる魔術。二年生と三年生による魔術攻撃は凄まじく、硬い鱗を持つドラゴンが攻撃を受けて動きを止めた。
「「うおおお――っ!!」」
生徒たちによる魔術の猛攻。その甲斐あってドラゴンの巨体を大地につけることに成功した。一斉に歓声が上がる。喜びを分かち合う――。
「どうやら、まだ喜ぶのは早いようだ」
学園長の一言に生徒たちは静まり返る。生徒たちが一斉に向いた先には、殺気を隠さないドラゴンの姿。
学園長だけでなく魔術学園の教師たちも冷静であった。常に一定の緊張感を持ち、突然の攻撃にも対処できるようにしている。
「学園長。生徒たちを下げましょう。この程度のことで浮かれているようでは危険です」
『3-A』の担任マリクが学園長に提案する。長い銀髪を後ろで結った彼の目付きは鋭い。目が合うだけで萎縮してしまう生徒は多い。
「生徒の安全が最優先だ。マリク先生の言う通りだろう。が、それは一年生を助けてからでも遅くはない」
「学園長自らが魔術をお使いに!?」
「当然だ。子どもを助けるのは大人の役目だ。早く戦いを終わらせて紅茶を飲みたいしな」
学園長は両手を大地に付けると、小声でブツブツと唱え始める。その間に隙が生じるのは分かっていた。マリクに目配せをする。
学園長からのを目配せの意味を察したマリクは、生徒たちに攻撃を命じた。
「「うおおお――っ!!」」
再びドラゴンに浴びせられる魔術の一斉攻撃。
その光景を見ていた学園長の口元が緩む。生徒たちの成長に喜びを感じる。生徒たちに攻撃をやめさせるよう再びマリクに目配せすると、その視線をドラゴンへと向けた。
「大人しくしてもらおうか!」
地面からツルが生えてドラゴンに絡みつく。ドラゴンによって倒された木々が地面より持ち上がり、身動きが取れなくなっていた一年生たちが安堵する。
二年生と三年生が救出に向かう。助ける方も恐怖でいっぱいのはずだ。それでもそれを一年生に見せることはしない。ほんのちょっとの強がりである。
「学園長。一年生の救出が完了しました!」
「うむ。ならば遠慮は要らんな」
マリクからの報告を受けた学園長は、ドラゴンに絡むツルをキツくする。メキメキとツルは軋み、ドラゴンは苦しみを隠せない。
その時、ドラゴンに意識を集中している学園長の隣にマオたちがテレポートで現れた。
「……学園長! 上手くいったよ!」
「流石はマオきゅん」
「信じてたぜマオっち」
「上出来だよ。担任として鼻が高い」
自分の側にいきなり現れたため一瞬驚いたものの、マオの姿を見て瞬時に理解した学園長は、ドラゴンに意識を集中しながらもマオに言葉を掛ける。
「君のその能力を私に貸してほしい。あの黒いのをもうちょっと静かにしたいのだ」
「オレが!?」
マオは目を丸くした。




