第13話「不穏」
青空に舞う黒い生物。その鋭い目に捉えるは羽熊。必死に飛んでいる羽熊に向けて巨大な口を開く。巨大な両翼を羽ばたかせ急接近すると、そのまま羽熊を飲み込んだ。
「なんじゃありゃあ!?」
ジャンは、上空を飛ぶ生物に口をあんぐりさせる。驚きのあまり立ち止まってしまう。
「これは一大事だよ。私らじゃ手に負えん」
もしものためと持参していた救援の煙を空に撃ち上げる。ピンク色の煙に生物が反応して動き出す。
「先生、何やってんだ!」
「助けを呼ぶには必要だ。どうにか隠れてやり過ごす」
「隠れるったってどこに!?」
「適当にだ」
「ちゃんと隠れられるか?」
「知らん。私も初めて見る生物だ」
サツキは眼鏡をかけなおす。少しでも平静を保つために。
※ ※ ※
ほかの生徒たちも混乱していた。それはマオたちも例外ではなかった。
「あれは何だ!?」
「アタシが知るわけないでしょう! なんだか不気味ね」
「怖いです」
「ヴィーネ。あの黒いのに覚えは?」
「…………」
「ヴィーネ?」
「……あれは……っ!? この記憶は……っ!?」
頭を抱えたままうずくまるヴィーネ。目を見開いて動揺している。身体を震わせ恐怖している。
「どこから現れたのかも分からない。あんなの見たことないよ」
「記憶? 何か思い出せそうなの?」
「み、みんなが倒れていて……!?」
ヴィーネの状態は悪化していく。顔面蒼白になり声も出せなくなる。
「こんなところで立ち止まっていたらエサになるだけだわ! 早く距離を取らないと」
「バカ言わないで! ヴィーネを置いていけるわけないでしょ」
「あの黒いのにアタシたちは見えないはず。だから大丈夫」
「その確証はある!?」
「確証はないわ」
「なら従えない」
「二人共冷静になるんだよ。オレのテレポートで先生と合流する」
マオたちは、サツキのところへテレポートする。
黒い生物の視線が僅かに動いた。




