第24話「強者」
近衛騎士部・屋外訓練場。
普段は騎士たちが汗を流す場所だが、今はマオとミルフィー、団長のレフォナが向かい合っているだけ。
「私に見せてくれ。ドラゴンを倒した実力を」
腰から剣を引き抜き構えるレフォナ。ただ剣を構えているだけなのに隙がない。
「準備はいい? ミルフィー」
「ええ」
マオは炎を掌に溜めながら、ミルフィーはレゾナンスしてレフォナに向かっていく。
(ほう。火属性と水属性か。一見すると二人の相性は最悪だ)
腋をグッと締めて剣を突く。当然、隙が生まれる。しかし、それはレフォナの罠だ。
マオは、がら空きになったレフォナの懐に飛び込んでいく――が、あっけなく地面へと叩きつけられてしまう。
(悪くはない。相手が見せた一瞬の隙を衝いたのは褒めていい)
ミルフィーは水の塊を放つが、そのせいで脚が留守になっている。相手と距離をとって戦うには命取りな隙だ。
レフォナは体勢を低くして素早く詰め寄ると、留守になっていたミルフィーの脚に蹴りを食らわせた。
(一人は接近、もう一人は遠距離。きちんと連携はとれているな。だが足りてない。圧倒的に経験が)
レフォナは剣を鞘に収めた。地面に倒れている二人に手を差し出して立たせる。
「オレたち、手も足も出なかった」
「ワタシたち、これが実戦なら死んでた」
「君たちは強い。だが未熟だ。ドラゴンを倒せたのは奇跡に近い。もう一度ドラゴンと戦えば間違いなく死ぬでしょう」
「そ、それは!?」
マオは証明したかった。自分たちはもっと強いと。強くなったと。今のは緊張で実力が出せなかっただけだと。
マオの訴えが顔に出ていたのだろう。レフォナは表情を厳しくし、あえて厳しい口調と声色で言い切った。
「自惚れるのも大概にしておけ。どんな状況状態であれ、実力を出しきれない時点で君たちは弱い。これが実戦なら、そうやって言い訳を並べる前に殺されるのだ。本物の強者は心技体を常に磨き、いついかなるときでも実力を出しきれる!!」
「「!!!?」」
マオとミルフィーは俯いた。何も言い返せなかった。ただ悔しさを噛み締めるのみ。
「どんなに魔術が強くても、魔術師そのものが貧弱では話にならんよ。実戦に大人だ子どもだは通用しない。君たちがドラゴンを倒せたのには、別の要因があったからではないか?」
「それは……」
「無理して言う必要はない。私に手合わせで負けたとはいえ、君たちがドラゴンを倒したことに変わりはない。改めて礼を言おう。ドラゴンの討伐、感謝する!」
姿勢を正して頭を下げる。年齢や立場は関係ない。一人の人間として素直に礼を言える彼女はまさしく騎士である。




