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第四作目 「もう遅い。女神の加護(レイズブレッシング)を受けた俺を連れ戻そうとした奴らにざまぁしてみた件について」

俺は独りが嫌いで、一人が好きで。

でも、それは独りよがりな考えで、

気づけば周りから人がいなくなっていた。


そんな俺が仲間や親友に囲まれて過ごす妄想を物語にした。

それが「最弱の俺、ガチャから出た最強の仲間に囲まれて俺を追い出した仲間に復讐を誓った件について」だった。


我地谷は俺が得られなかった幸せを享受し、

笑顔と愛に包まれて生きていた。


それを目の前で見せてくれた。


幸せを得られなかったんじゃなくて、

"見放した"が正しいのかもしれないけど。


我地谷、よかったな。クソが。


我地谷に対する嫉妬の炎で焼かれそうになった瞬間、

モニターから文字が飛び出してきた。


「もう遅い。女神の加護(レイズブレッシング)を受けた俺を連れ戻そうとした奴らにざまぁしてみた件について」


これは俺が書いた四作目のタイトルだ。

もう遅くて、女神の加護を受けて、

連れ戻そうとしてきた奴らにざまぁする内容の小説だ。


モニターから光が放たれ、視界が真っ白に染まる。


目の前には、布の面積が異常に少ない女神レイと、

主人公のヒロヤが立っていた。


「ヒロヤ、ここはいったいなんでしょう……?」

「さあね、あいつらの仕掛けた罠かな?」

「それにこの臭い……腐海の中かしら……私の浄化スキルが常に発動し続けてる」

「微かにだけど、海鮮の臭いもするね」

「俺が悪かったから、早く窓の外に出ていってくれ」


窓の外には案の定、大きな剣を持った赤髪の剣士と、

細身の刀を持った銀髪の剣士が立っていた。


「ヒロヤ! 俺らが悪かった! 許してくれ!」

「ボクら、そんなつもりじゃなかったんだ。ワガママ言わずに帰ってきてよ」

「皇帝の前でスキルのお披露目があるんだ! 頼む! 力を貸してくれ!」


赤髪の剣士 カルロス。

銀髪の剣士 イシュト。


この二人は元々ヒロヤの仲間だった。

三人で冒険している最中、

ヒロヤの力不足が原因で中級クエストに失敗してしまい、

長年の目標だった高難易度クエストに挑むことが出来なくなった。


だから、彼らはヒロヤに睡眠薬を飲ませ、

街に置き去りにした。


「ふふ、ヒロヤ、彼らがお呼びですよ」

「やれやれ、あいつらが僕を見捨てたのに、本当に身勝手な奴ら」

「も、もう遅い感じだ?」

「何言ってんの? おっさん」

「いや、すみません」

「行くよ、レイ」

「はい」


ヒロヤが窓のガラスを突き破り、道路に降り立つ。


「第11階層 アースリバウンド」


ヒロヤが魔法を唱えると同時に、

視界が上下に揺れ始めた。


「うお!? なんだっけあの魔法!?」


窓の外では地面が大きく隆起しようとしていた。

縦の揺れに合わせ、徐々に空へと"伸びていく地面"


窓からの光景が、"地面の側面"で埋め尽くされた後、

微かに聞こえてきた声で思い出した。


「解放(リリース)」


空に浮かぶ島は、解放(リリース)されなかったアースリバウンドが生み出した副産物。

つまり、雲の上まで地面を持ち上げ、

リリースによって"地面を地面に引っ張る"魔法だ。


空高く隆起した分、その反動で地面が地底に向かって"落ちていった"


あまりの光景に、俺は瞬きすら忘れていた。


まるで自分の部屋だけが浮いているような、

低くなった地平線だけが見える異様な光景。

建物も、道路も、何も無くなった。


窓からヒロヤとレイの声が小さく聞こえてくる。


「今さら命乞いをしたって、もう遅い」

「彼らも自分たちの愚かさに気付けたでしょうね」

「気付く前にくたばっちまったんじゃないか? ざまぁないな! ハハハ!」


ヒロヤとレイが光に包まれて消えていった。


自分の生み出した存在が、

邪悪な笑みで世界を満たしていた。


俺はこんな世界を作りたくて、この作品を書いたんだろうか。

ヒロヤの傍には女神がいるのに、まるで独りみたいだ。


ヒロヤ、ちゃんと見てたか?

お前の周りにはもう、誰もいないよ。


《目的達成、書籍化決定!》


これがお前の目的になってたんなら、ごめん。

ごめんな、ヒロヤ。


モニターの前に置いているキーボードの上には、見覚えのない本が乗っていた。

その本には大きくこう書かれていた。


著者 庭辺 隆司


「もう遅い。女神の加護(レイズブレッシング)を受けた俺を連れ戻そうとした奴らにざまぁしてみた件について」


主人公 ヒロヤ 16歳


ダンジョンに封印されていた水晶を掘り起こし、

魔力で封印を解いたヒロヤ。


そこには水晶に封印されていた女神レイが浮いていた。


「ヒロヤ、ありがとう。あなたに力を授けましょう」

「どのような力が望みですか?」


「僕を、僕を捨てたあいつらに復讐する」

「この世で最も偉大で、世界に恐れられる程の力をよこせ」


「わかりました。私の力をあなたに授けましょう」


「ククク……ハハハ! 最高の気分だ!」

「見てろカルロス、イシュト、俺を捨てたお前らに」


《地獄を見せてやる》

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