呪い4
少女とカフェにやってきた蓮は注文したコーヒーを飲みながら、話をしていた。
「それで……なんで俺なんかとお茶なんて?」
「じ、実は……蓮さんがよく女性にナンパをしているところを何度も見てまして」
「そ……そうなんですか」
蓮はアハハと苦笑するしかなかった。
「諦めず、ナンパし続けている姿を見ていたら……私、元気をもらって」
「元気?」
「はい……実は、ここ最近…うまくいかないことが多くて。でも……蓮さんが本気で女性とお付き合いしようとする姿を見ていたら…元気が出て」
まさかナンパをしているところを見て、元気が出たという人が現れるとは思わなかった蓮は呆然とした。
「その……変なことを言うと、そんなあなたのことを…好き…になったんです」
「そ…そうなんですか」
顔を真っ赤にする少女を見て、彼女が嘘を言っていないことは蓮にはわかった。
家族や友人以外で好きだと女性に言ってもらって蓮は―――、
「だから…私と……!」
少女は勇気を出してなにかを言おうとした。
しかし蓮の顔を見て、彼女は目を大きく見開き、口を閉じる。
「?どうしました」
黙り込む少女。
彼女は泣きそうな顔で俯き、拳をギュッと握り締める。
「……すみません。私と付き合うのは……嫌だったみたいですね」
震えた声で少女は言う。
蓮は目を見開き、椅子から立ち上がる。
「そんなことは―――!」
「そんなことありますよ。だって蓮さん……」
「恋愛に興味ないって顔をしていますよ?」
その言葉を聞いて、蓮は気付いた。
生まれて初めて、女の子に告白されたというのに喜びをまったく感じていないことに。
今までの蓮ならありえない。
ハーレムを目指している蓮ならありえない。
恋愛に興味がないなんて、絶対にありえない。
(ああ……そうか。妖魔武装の呪いで失ったのは……)
胸に穴が開いたような感覚の正体がなんなのか、蓮はようやくわかった。
違和感の正体がなんなのか理解した。
蓮が失ったもの、それは……、
恋愛感情だ。
「すみません。失礼します」
涙を流しながら、少女は去っていった。
そんな彼女の背を見つめながら、蓮は呆然とする。
呆然とすることしか……できなかった。




