表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ファンタジーの投稿日記~初作品で1年間毎日投稿して灰になった男の記録~  作者: 三河三可


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/26

案2 異世界を生き残る力

 真っ暗な闇の中を落下し続けていたが、一転して視界が明るくなく。

 眩しい陽の光に、潮風の香り。待ち受けていた世界は、元に居た場所とは違う、温かく優しいものではなかった。


 熱気が充満し、草木は焼け、肉の焦げる嫌な臭いに満たされた世界。争いとは無縁の世界で暮らしていても、それだけでも荒んだ世界を感じとれる。


 そんな世界を、俺は見下ろしていた。


 眼下に広がる焼けた草原と、その周囲には何も見当たらない。


 目下、落下は継続中の俺。今も尚、加速度的に勢いは増している。


 ”どんな相手とも戦い、生き残る力”を願ったが、こんな形で転移させられることを知っていたならば、願いは変わっていた。

 戦う相手がいなければ抗うことは出来ない。俺の出来ることはただ一つ。


「うおぉぉぉぉーーーっ」


 世界の変化に対応する術はなく、ただ叫ぶしかない。存在を主張するでもなく、力を発揮するでもなく、ただの絶叫。

 ジェットコースターですら苦手で避けてきたのに、今は紐無しバンジージャンプ。このままの勢いで地面へと衝突すれば、痛みすら感じずに俺の第2の人生は数秒で終わる。


 精一杯の足掻きは、真っ逆さまに落ちる頭を庇う為に、両腕を広げることだけ。


 意味のない行動であったが、手を翳した瞬間に落下の勢いが和らいだ気がする。全く別の外力が働き、俺の体が少し減速する。

 それと同時に、襲いかかってくる熱気。眼下に見えていた草木は瞬時に焼炭となり、そして爆風によって崩れ去る。


 俺の落下を減速させたのは、熱気による上昇気流と爆風。それは、俺を木の葉のように舞い上げる。


 そして俺の視界に入ったのは、映画やゲームの世界でしか見たことのない存在。


 炎のブレスを放つ深紅のドラゴンは、宙に巨体を軽々と浮かばせ、それに向かって地上から放たれる無数の矢と魔法。


「いきなりドラゴンとの戦闘に巻き込まれるなんてっ」


 状況が分かったからといって、木の葉のように舞い上げられるだけの俺に出来ることはない。あわよくば、このまま退散するのが最善の方法だが、俺に意志決定の自由はなく、されるがまま。いずれかは再び落下を始めるが、無事に着地する方法なんてない。


 ただ今は、目の前のドラドンから遠ざかることだけを祈るが、異世界に来てドラゴンに遭遇する運の持ち主である俺なのだから、そんなに都合良く事は運ばない。


 ドラゴンに向かって飛んでいた無数の矢は、たった一度の翼の羽ばたきで方向を変えてしまう。もちろん、それは俺のいる方向に向けて!


 熱風で飛ばされながらも、次第に近付く矢。しかし、身を任せるだけの俺に出来ることは、やはり両手を前に翳し、”当たるな”と祈ることだけ。


 パキンッと、何かが砕けた音がする。


 無意識に目は瞑り、何が起こったかは分からないが、ゆっくりと目を開ければ勢いを失くした矢が力なく落ちてゆく。


 俺の前へと翳した手の先には、透明ではあるが薄っすらと青みがかった鱗状の盾が見える。そこから、幾つのも盾が放出されている。

 鱗のような盾は、弾幕となり次々と矢を落とす。しかし、衝突すれば盾は粉々に砕け、消滅してしまう。それでも、弾幕を潜り抜けてくる矢はない。


 これが、俺の願った”何者に対しても、戦い生き残る力”なのかと実感する。まさか、魔力切れなんてオチは無いだろうなと心配するが、体には何の変化も感じない。

 能力は申し分ない。初日から、ドラドンとの戦いに巻き込まれた事は最悪ではあるが、最悪に巻き込まれても生き残れそうな気がしてくる。


 しかし、その根拠の無い自信は一瞬で砕け散る。


「えっ、そんな筈はないだろっ」


 無数の弾幕となっていた鱗状の盾が、一斉に砕け散って消えてしまう。ドラゴンの咆哮が、一瞬で全てを崩壊させてしまった。

 唯一残されたのは、俺の翳した手の前にある盾のみ。形こそ残しているが、衝撃波を防いではくれない。


 今度は、ドラゴンの咆哮によって吹き飛ばさる。体は回転し、何が起こっているかは分からないが、再び地面が急接近していることだけは分かる。

 何が出来るんだと考えている内に、地面が近付く。幸いにも大きく飛ばされたせいで、地面には草木は残されている。後は、ただ幸運を祈るしかない。


 だが、草むらの中に人影が見える。ぶつかれば、無事では済まない。


「危ない、どいてくれーーっ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ