第19話 ミナト元帥は優勝したい?その9
キャラ紹介
ミナト・ナツメ
本作の主人公兼大部分の語り手。ひょんなことから下っ端→元帥になってしまう戦士。身長160センチ。体重45キロ。黒髪ショートボブ。本人曰くザ・平均的な見た目。あらゆる適正値がずば抜けて低い。かなりのオタクで、可愛いキャラクターが大好きな変態。アニメや漫画の見過ぎで心の声がめちゃくちゃ多い。
シノン・ソラキ
第36代 インターナショナル・アーミーズ元帥。くじ引き元帥決めの元凶。前例がないような突拍子もない思い付きによる改革で組織を指揮した天才。身長171センチ。体重49キロ。パープルヘアーのポニーテール。細身の絞られた身体。美人。低音ボイス。戦闘能力も組織においてずば抜けているとの噂。
※本作品は現実世界の未来寄りの世界観かつ別世界です。ゆえに登場する事象(用語・単位等)は、現実世界のものと同じ場合が多いです。
※本作品はキャラクターの独白やキャラクターの持つ主観が多い場合がありますので、予めご了承ください。
ぼふっ。
一体どのくらい落下したのかは不明だが、それなりのG(重力)を感じたのでそこそこの下層にいることは容易に想像できた。
着地点には某「人をダメにするクッション」の柔らかさをも上回るほどのマットが敷かれていたが、おそらくそれでも本来なら全身骨折しててもおかしくないはずだ。しかしそれでも私が無傷なのはシノンさんが張ってくれたシールドもどきの効果が持続していたからだろう。あれ? しかし一緒に落下していたはずの元帥チェアはいずこに?
あまりの急展開に何が何だか全く分からない状態だが、まずはどうにか現状把握をと真っ暗闇の中おそるおそる地面をさわさわする。すると手にかかったのはヒモ。シノンさんが間際に投げたリュックサックだ。
手探りでチャックの位置を特定し、中を開けそのまま手を突っ込んでいると何やら固いやら柔らかいやら色々入っていることだけしか分からない。
「明かりになりそうなもの……。そうだっ! 端末!」
再びふわふわとした地面を撫でるように触っていくと、隅の方で目的の感触を得た。
電源を入れると思ったより画面がまぶしく目が痛かったが、おかげで今いる場所の全貌が把握できた。
床や壁は一面クッション質で、広さとしては某ハ〇ーポ〇ターの住んでいた階段下の部屋といったところか。しかし真上を見上げると全く明かりがなく、その高さを物語っている。
リュックの中はというと、水、携帯食、魔法銃一丁と弾丸らしきもの、そして拙く細い線が幾多にも引かれている紙と電子チップの埋め込まれているカード、以上。
ピコンと音を出したのは端末で、画面上にはシノンさんが映っていた。
「君がこの映像を見ているということは私はもう……………………君のことを穴にぶん投げたということだろう」
なにこれ? 反省ビデオ?
「この穴は元帥用執務室に備え付けた有事の際の緊急脱出用BOXにつながっているものだ。今君がいるあちこちふかふかな一室がそれだ。この端末を使えばこの部屋を一つのBOX形状にさせ、軍の秘密地下通路内を移動できる。君にはこれから私の指示に従ってある場所に向かうようにして欲しい。まずはリュックサックの中から秘密地下通路の地図を取り出してほしい」
言われて思い当たるのは、先ほどの子どもが描いた超複雑なあみだくじのような紙だけだ。
「その中の黒い丸が現在地だから、赤い丸のところまで移動してほしい」
すると端末上に上下左右の矢印画面が出てきた。
「操作は簡単だ、このBOXの移動先は画面上の矢印にコマンド入力をすることで決まる。とりあえず
今回は〈上上下下左右左右……〉という風に」
それどっかで聞いたような隠しコマンドな気がするんだけど……。
「いいか、今言ったコマンドは軍の最重要機密事項を開くときのコマンドでもあって歴代の元帥しか知らない大切なものだから忘れないように……」
いやそれ変えようよ今すぐ。だからセキュリティ弱くて簡単に反乱起こされてるくない?
言われるがままにコマンドを入力すると箱を閉じるように天井が装着された。次の瞬間、私はその辺に散らばっているアイテムたちと共にふかふか壁に叩きつけられた、否、おそらくBOXが超高速で水平移動することによる物理現象を受けた。その時間およそ数十秒。
ジェットコースターでも覚悟できる時間があるってのに……。明らかに首をやった。
「到着だ。次はその紙の裏に書いてある地図の通りに移動してほしい。しかし、敵がいるようならそのままBOX内で待機だ。一応の水と食料は入れてあるし、武器としても君は魔法が使えないから、魔法を既に込めておいた弾丸付きの銃を置いてある。まあなんだその、使ってもアレかもしれんが……」
いちいち言うなよ……。
裏側に描いたという地図はーーオブラートに表現するなら、利き手でない方で書いたDNAの二重螺旋図のようであった。いちいち着色されているところが力の入れ具合を感じる。
「地下通路にはあらゆるところに通じている扉があるが、そのロックは電子キーで解除するようになっているから持ち歩いておくように。あとこの端末自体はこのメッセージが終了後自動的に消滅するようになってい……」
ここまでで急にノイズが走り映像は終わってしまった。
ぷしゅーと開く天井。
「お約束ばんざーい‼」
BOXから出た私は開口一番そう叫び、端末をぶん投げると、シンカー軌道で曲がったそれは壁にコンコンと当たり、高性能ドライヤーを凌駕する爆風を生んで、我が自慢の前髪をオールバックにしたのであった。
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