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 わたしは鏡の前に立っている。その鏡に映るのは自分じゃないみたい。すごく着飾って、これから一生に一度の儀式に臨むような、そんな姿。

「ゆず」

 わたしを呼ぶ声。

「お父さん」

「きれいになったな。娘よ」

 花子お父さんは涙を流した。

「せっかく、これから結婚式だっていうのに、泣かないでよ」

 泣きたいのはこっちの方なのだ。

「すまないな。これからお前がお嫁に行くと思うと、つい」

 その言葉を聞いた瞬間。わたしはパパの胸に飛び込んでいた。

「パパ。わたし、お嫁になんか行きたくない。ずっとパパの娘でいたい」

「ゆず。キワムくんは人の心の痛みがわかるとってもいい子だ。だから、パパがいなくても大丈夫だよ。彼はきっとゆずを幸せにしてくれるはずだから」

 お父さんはそう言ってわたしの頭を優しく撫でた。


 お父さんに手を引かれてヴァージンロードを辿るわたしをみんなが祝福する。その中に彼女の姿はない。

 わたしの心は沈んでいる。でも、それを悟られないように、精一杯の造り物で答える。

 わたしが好きなのは、道の先に待っているその人ではない。


「新郎。あなたは永遠の愛を誓いますか?」

「誓います」

「新婦。あなたは永遠の愛を誓いますか?」

 わたしはためらう。この瞬間、答えてしまえばわたしはもう戻れなくなる。好きでもない人を愛さなければならない。

 もう、やめよう。あの人のことを想うのは。もう、今日で終わるのだ。わたしの愛は。

「誓います」

「では、誓いのキスを」

 ゆっくりとベールが取り払われる。肩を大きな手で包まれ、厚い唇が私の下へと進んでくる。そして――

「待て!」

 何度も聞き飽きたくらいなその声に私の心臓は歓喜の鼓動を刻む。

「お前なんかにゆずを渡さないぞ!」

「コロネ!」

 コロネは消火器を手に、来賓を白く染めながらわたしに近づいてくる。

 わたしは嬉しかった。嬉しすぎて泣きじゃくってしまいそうだった。でも――

「どうして来たの?もう、あなたとわたしは終わってしまったの」

「離れてみて分かった。ワタシにはゆずしかいないと。ずっとずっと諦めようとした。でも、諦めきれなかった。ゆずをワタシのものにしたい!それだけがワタシの生きる理由だ!」

 ゆずはどうなんだ、とコロネは聞いた。

「わたしだって、コロネとずっと一緒にいたい!好きでもない人と一緒になんてなりたくないもの。だけど、それはできない!」

 来賓の人々はコロネを取り押さえようと迫っていた。

「一緒に来い!ゆず!」

 コロネはわたしの手を無理矢理引っ張って、式場を出ようとする。人々を必死でかき分けながら。

「ありがとう。コロネ」

 わたしの目からは温かい涙があふれた。


「しかし、7月になったのに今さらジューンブライドネタってどうなんだ?」

「さっきまでの茶番が台無しね」

「いやぁ、感動しただろ?300%くらいパクリだがな」


 次回予告

 しかし、未だにわたしのイラスト化がないってどうなんだ?可愛くなくてもいいから、せめてわたしだけでもイラスト化してくれ!

『次回、悠木碧が声を当ててくれるのなら考えてやらんこともないぜ』

 絶対に無理でしょ。



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