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森の妖精と 戒縛の王  作者: にくきぅ


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38/60

38__フォルモーサの姫達 1

お久しぶりです。

余りにも久しぶりすぎて、前話をお忘れだと思います。

幼少期にラノイが隠れ住んでいた温泉地で 偶然 フォルモーサの姫-2人を見掛けたラノイ達は、翌日 その王女達を捜そうとする……そんな流れです。


全編 ラノイの視点になっております。


では、どうぞ。


___視点:〔獅子王〕- ラノイ=アシュリオン=ラッケンガルド___


翌日の朝、僕達は 温泉街の外(はず)れへ来ていた。

勿論、買い物の為でも 観光目的でもない。

昨日 見掛けた2人に会う為だ。

つまり、フォルモーサ王国の王女-2人に会う為だ。

「捜せる?」

僕は、リリィの背に声を掛けた。

少し前に竚(た)ってるリリィは、小さく頷いて返した。


《 緊張してるなぁ。》


無理もないけどね。

フォルモーサ王国の滅亡を知ってたリリィとしては、あの2人に会うのは 辣(つら)いだけだろう。

あの侵略で 沢山の人が死んだ。

その中には、リリィと親しかった人もいた筈だ。



  死を暗示する予見(よけん)を得たのに、それを防げなかった。



リリィは、それを気にしてる。

たぶん、贖罪の気持ちで一杯なんだと惟(おも)う。

僕としては、何も出来ないでいてくれて良かったけど。

だって、リリィが無理して あの未来を変えてたら、きっと リリィとは出会えなかった。

あんな沢山の人の未来を変えてたら、リリィも 無事じゃ済まない。

大国に住まう国民-全員の運命を変えるんだ。

絶対に 無事じゃ済まない。

もう どんな代償が発生したか判らないくらいだ。

もしも、侑(たす)けた人数分 リリィの寿命が縮む、とかだったら?

そんなの 幾ら魔法使いが長寿でも、死んじゃうくらいだ。


《 もし、リリィに会えなかったら………。》


冗談じゃない、絶対 厭(いや)だ。

リリィと出会わずに、リリィを知らないで生きる。

そんなの、今の僕には 考えられない事だ。 考えたくもない事だ。

この 清らかで不器用な女性(ひと)を 愛しいと想った時から、もう 人生に缼(か)かせなくなってる。

リリィ-無しの人生なんて、僕には苦痛でしかない。

失う様な事になったら、きっと 気が狂う。


《 稀(まれ)に見る兇王とか、世界史に残る暴君とかになっちゃうかも。》


割と簡単に そうなる(・・・・)未来が予想出来た。

まず被害を受けるのは、シズとクランツだろうなぁ。

でも、真っ先に実害を受けるのは 大臣・高官達だろうけど。

リリィがいなくなったのを いい事に『妃を娶(めと)れ』とか言われたら 惨殺しそうだ。


《 そうさせたくなかったら 協力してね。 特にクランツ。》


こんな感じで 僕の思考が脱線してる間に、リリィは 魔法を使ったみたいだ。

気付いたら、周りには 沢山の蝶がいた。

半透明の羽根に 蒼碧(あお)い筋の入った、白い蝶だった。

小さい蝶だ、左右の翅(はね)の幅でも 5センチはない。

そんな蝶が、地面を埋め尽くす程 留(と)まってた。

一眼(ひとめ)で 魔法生物だって判ったけど、余りの光景に 声が出なかった。

小さな蝶が、花に見えたんだ。

大地を埋め尽くす群れが、小さな花々の群生に。


《 …………凄い。》


ラッケンガルドの大地は、何処(どこ)も荒れてて 植物は尠(すくな)い。

それでも、国土の北は 大河から水を引き入れられるから、森もあるし 農作物も育つ。

でも、今は 春先だ。 碌(ろく)な植物は芽吹いてない。

特に この辺りは、北にある〔荒れ地〕から吹き込む冷気が強い。

春先の今時分は、時々 雪も舞うくらいに冷える。

つまり、この時期のラッケンガルドに花畑なんかある筈がないんだ。

いや、この時期じゃなくても、こんな広さの花畑なんか この国の何処(どこ)にもないんだけど。


《 –––––––綺麗だ。》


蝶達は 地面に留(と)まった状態で、ゆっくりと翅(はね)を開閉してる。

その僅(わず)かな動きで、仄(ほの)かな光りが立ち昇ってる様に視える。

僕は、こんなに綺麗な風景を見た事なんてない。

そもそも、僕は こんなに広範囲に咲き乱れる花々を見た事なんてない。

呼吸を忘れるくらい 幻想的な光景だった。

魅入ってる僕は、リリィの存在すら忘れそうになってた。

「捜して」

小さな蝶は、リリィの一言で 一斉に翔(と)び発(た)った。

沢山の白い花が宙に舞い拡がったみたいな……こんな幻想的な光景は 初めて見た。

足許(あしもと)から風が巻き起こって、白い花々を昊(そら)へ飛ばした様な光景だった。

小さな旋風を感じたけど、たぶん 微風も起きてなかったんじゃないかな。

羽音なんか聴こえる筈ないのに、沢山の涼やかな音が耳に残ってるくらいだ。

蝶達は、木々の葉を摩(す)り抜けて 四方へ散ってゆく。

見上げた昊(そら)は、一面の白から瓶覗色に変わる。

ほんの数秒の事だったと惟(おも)う。 僕には、とても長く感じたけど。

「 –––––––––––––………… 」

僕は、蝶が温泉街に散って 見えなくなっても、動けなかった。



   ✳︎   ✳︎   ✳︎   ✳︎   ✳︎



10分後、僕達は 小さな宿へ来てた。

さっきいた場所から そう遠くない小さな宿だ。

此処は 長期の湯治客の為に解放された古い宿で、宿の庭に 小さな離れが幾つか建ってる。

その1っ1っが 湯治客の宿泊場所になってて、他の客と顔を併(あわ)せずにいる事が可能になってる。

宿のサービスは 最低限で、頼まなきゃ食事も出ないし 部屋の掃除すら自分達でやる方式だ。


《 隠れ住むには最適だな。》


ラッケンガルドでは安全とは云え、あの2人は 亡国の王女達だ。

身の危険が皆無って訳じゃない。

素性が知れれば、良くない思惑があって近付く者がいるかもしれない。

悪い思惑があって、生命(いのち)を狙ってくる奴だって いるかもしれない。

満足に動けない第一王女の事もある。

それを考えれば、此処を択(えら)んだ選択は正しいと惟(おも)う。

冷静に考える一方で、僕は 全く別の事に気が付いた。

それは こんな時に考える事じゃない 小さな事で、でも 僕には重要な発見だった。


《 そっか、こんな場所だったら いいんだ。》


他人(ひと)の睛(め)が尠(すくな)くて 長閑な環境で、それなりに街にも近い。

或る程度 便利さを残しながら、暢(のん)びり寛げる。

此処って、リリィと暢(のん)びりするには 最適じゃないか。

王都から近い街に こんな場所があれば、尚 いいね。

勿論、リリィの魔法を使えば隠れ家にだって すぐ往(い)けるけど、彼処(あそこ)は最終手段にしたい。

シズなら、僕の隠れ住んでた場所くらい 本気になれば数日で見付けるだろう。

だから、今回も 長居は出来ない。

だって、見付かっちゃったら 面白くない。

あの隠れ家は、僕とリリィだけが知ってればいいんだから。

その為にも、もっと他に、シズやクランツに見付からない場所って 必要だよね。

これから先は、特に必要だと惟(おも)うんだ。

偶(たま)には リリィと2人きりになりたいし、その時間を 誰かに邪魔されたくなんかない。

そう考えると、こう云う場所は 好都合なのかもしれない。

部下(クランツ)にも身内(シズ)にも邪魔されずに、リリィと2人きり………うん、凄く魅力的だ。

首都の近くに ないかな。


《 帰ったら、こっそり探してみよう。》


僕が そんな事を考えてる間、リリィは少し離れた処に佇んでる。

1っの扉の前に竚(た)ったまま、ずっと動かない。

昨日 リリィから聴いた譚(はなし)を惟(おも)えば、当然だ。



  『 フォルモーサ王国の滅亡を知っていて

    それを 防ぐ事が出来なかった 』



あの時、リリィは そう呟いたけど、あんなの どうにか出来るモノじゃない。

どんなに高位の魔法使いだって、あんな大規模な予見(よけん)に手出しなんか出来ない。

代価を要求して、予見(よけん)の ほんの一部を談(はな)す事だって不可能なくらいだ。

だって、ほんの一部だけでも 払い切れる代価じゃない筈なんだ。

フォルモーサ王国を 丸々 貰ったとしても、きっと足りない筈なんだ。

その事は、リリィだって ちゃんと判ってる。

譬(たと)え 国王であっても払い切れないと判断したから 談(はな)せなかったんだから。

でも、どんなに頭では判ってても 罪悪感は打ち消せないんだろう。

銀髪を隠す様に被(かぶ)ってる外套-越しにも、緲(かす)かに震えてるのが判った。


《 久しぶり、無事で良かった………じゃ 駄目なのかな。》


そもそも談(はな)してないんだから、予見(よけん)の事なんか すっぱり忘れてさ。

この際、そう云う対応でいいんじゃない?

僕だったら、そうするんだけどなぁ。

でも………うん、リリィには きっと無理だね。


《 不器用だからなぁ。》


並み居る魔人や魔女を斥(しりぞ)け続けた 高位の魔法使いなのに、ちっとも魔法使いらしく(・・・・・・・)ない。

嘘も方便も 器用に使い、数多(あまた)の敵を撥(は)ね除(の)けて生きるのが魔法使いなのに、この先 どんなに時間を縣(か)けても 出来る様になる日はこない。

そんな想像をさせるくらい、リリィは 正直な女性(ひと)だ。

危なっかしく惟(おも)うのに、そう云う攸(ところ)にも惹かれてる自分がいる。

少し前の僕は、誰かに夢中になる日がくるなんて 惟(おも)いもしなかったのに。

今の僕は、リリィがいない日々なんか想像もしたくないくらいだ。


《 本当に 捕(つかま)っちゃったなぁ。》


苦笑いしたつもりだったけど、たぶん 失敗してる。

こんな時なのに、嬉しくて仕方ないんだ。

リリィの辣(つら)い心境だって理解してるけど、こんな時に不謹慎だって判ってるけど。

でも、僕は、どんな場所でも どんな状況でも、リリィに関わっていたいんだ。

譬(たと)え 何も出来なくても、この不器用な女性(ひと)を見守っていたい。

もし 哀しい事や辣(つら)い事があったなら、僕に縋(すが)って泣いてくれていい。

リリィが そうなった時に、いつでも傍(そば)にいてあげたい。

でも………これは、本当に 不謹慎な願いだ。

勿論、笑ってくれてるほうが 嬉しいんだけど。

でもでも、リリィが僕に縋(すが)り付いて 無防備に泣いてくれてる瞬間って、何とも云えないんだよねぇ。


《 ああ云う状態の事も『母性本能を擽(くすぐ)られる』って云うんだろうか。》


ちょっと莫迦(ばか)な事を考えてる間に、その扉は敞(ひら)かれた。



   ✳︎   ✳︎   ✳︎   ✳︎   ✳︎



凄く使い込まれた木の扉が 唐突に敞(ひら)いて、中から 2人の女が出て来た。

古ぼけ 手入れの悪い蝶番が、ぎい と音を発(た)てた事で、明後日の方角へ飛んでた僕の意識も 眼の前に戻された。

幅の狭い扉から出て来たのは、昨日 見掛けた あの王女達だ。

「 ––––––––––––アチェート様、ハルディナ様」

覚悟を決める前に出会っちゃったのかな。

出て来た2人に声を掛けたリリィの背中が 硬直してる。

対して 亡国の第一王女は、捷(すばや)く身構えた。

フォルモーサ王国の陥落から 数年が経ってる。

身に負(お)ってる怪我が その時のモノなら もう傷口が敞(ひら)く様な事はないだろうけど、歩行にも困難する程なのは 昨日 見た時に判ってた。

今も、昨日と同じ杖をつきながら出て来たくらいだ。

軽くはない怪我なんだと惟(おも)う。

それでも、第一王女-アチェートは 手にしてた杖を剣に見立てて構えをとった。

勿論、妹のハルディナを その背に祐(かば)った状態でだ。

意外と捷(すばや)い行動に驚かされた。

「だ、誰ですっ?」

誰何(すいか)したのは、第三王女だった。

そんな 警戒と緊張が色濃く現れた声に対して、リリィは無言で竚(た)ってる。

「 ………… 」

何も言わずに、変幻の倆(じゅつ)を使った。

リリィは 一瞬で光りに包まれたけど、1秒後には その光りも消えた。

淡い光りが消えた後に現れたのは、小柄で細身の 見た事もない少女だった。

18歳の美女(リリィ)は、12〜13歳くらいの 小さな少女に変現した。

癖のない白銀は 渋茶色に、腰まであった長さは 肩に届くくらいに、ストレートの髪は ふわふわに癖毛になってた。

身長は、僕の肩まであったのが 腹の辺りまで小さくなってる。

絶世としか表現出来なかった美貌は、平均値より やや可愛いくらいの容姿になってる。

これを見た 第一王女-アチェートが、驚愕を泛(う)かべた。

「なっ⁉︎ 」

知り合いの姿だったのか、アチェートは言葉もない程 驚いてる。

「まあ」

息を飲む程 驚いてるアチェートの隣で、第三王女-ハルディナが 驚きながらも笑顔になったのが印象的だった。

「お前か⁈ フェイリーン!」

即座に 衝撃から復活したアチェートが、呀鳴(がな)る様に叫んだ。

同時に、手にしてる杖を 横殴りに振り切った。

その睛(め)が、眉が、恚(いか)りに釣り上がってる。

ちょっと……いや だいぶ『王女』って感じじゃない。

確か 姫騎士の称号を持ってた筈だけど、何て云うか こう………イメージが。


《 いや、こんなモンかな。》


小さな頃から剣を把(と)り、王女でありながら 一軍を率いた傑物。

僅(わず)か20にも充(み)たない手勢で、国土に現れた猛獣の群れを蹴散らしたのが 14歳の頃だとか。

確か、そんな経歴の持ち主だって聴いた記憶がある。

將(まさ)に『傑物』だ。


《 ………うん、これは リリィと較(くら)べちゃ駄目なんだろうな。》


武芸者の多い あの国では珍しい事じゃないんだろうけど、何で王子(おとこ)に生まれなかったんだ? ってくらい、漢(おとこ)らしい。

怪我してても、長年 身に付いた動きってのがある。

足運び・腕の振り方とかは、特に判り易い部分だ。

そう云う動きに至る綜(すべ)てが、女性のモノじゃない。

隣にいる第三王女(ハルディナ)は、王侯貴族-特有の洗練された女性の動きなのに。


《 同じ条件で育っても、個人で違うモンなんだなぁ。》


眼の前の遣り取り-そっちのけで、僕は そんな事を考えてた。

「お久しぶりです」

杖に因(よ)る横薙ぎの攻撃を軽く躱(かわ)したリリィは、そう言って 深々と頭を下げた。

ゆったりとした お辞儀は低頭に近かったのに、睛(め)を簒(うば)われる程 優雅だった。

でも、どうやら アチェートの癇(かん)には障(さわ)ったらしい。

「頭を下げるなっ、その姿で!」

怒気を匿(かく)しもせずに、アチェートが声を荒(あら)らげた。

勿論、杖での攻撃も忘れない。

今度は叩き衝(つ)ける様に振り下ろしてる。

「アチェート様におきましては、相変わらず 怒りんぼで……… 」

「っ!」

「 ––––––––––––口よりも、手を出すほうが お得意なのですね」

受け答えをしながら攻撃を避けたリリィに、アチェートの舌打ちが浴びせられた。

盛大な舌打ちだった。

うん、この人とリリィを較(くら)べちゃ駄目だな。

僕は、こんな失敬な事を 割と真面目に考えてた。

「〈複写(コピー)〉か⁈ 」

コピー………そう云えば、師匠が言ってたな。

魔法使いの使用する変幻には 制限があるって。

見ただけのモノ・または 見た事もないモノに変幻する事は出来ないって。

複写する倆(じゅつ)を使用しながら 対象に觝(ふ)れる必要があるって。

そうして変幻するのは、完璧な現し身。

対象の身体特徴を完全に模写し、対象の運動能力を有する……それが 俗に変幻と云われる魔法の真髄だって。

勿論、記憶や 内包する魔力は元の魔法使いのままだけど。

変わって、幻倆(げんじゅつ)は 幻を投影してるだけだ。

まぁ、どっちも 僕の眼(・)には半透明に視えちゃうんだけど。


《 ひょっとして、僕の〈複写(コピー)〉とかも してるのかな?》


この国にいる間なら、使い勝手はいい………とは 言えないか。

僕の姿で 王宮を歩いてたら、無能な大臣とかに捕(つかま)って 要らない譚(はなし)をされるかもしれない。

呼んでもないのに綢(まと)わり附(つ)いて 変に色目を使ってくる女官達に煩(わずら)わされるかもしれない。

剰(あまつさ)え、シズやクランツに捕(つかま)って 仕事とかさせられるかもしれない。


《 うん、ないな。》


僕なら、そんな面倒な人物に変幻するのは 絶対に御免だ。

もっと目立たなくて、もっと動き易い人物(ひと)にする。

小鳥になってたほうが、自由に動き廻れそうだし。

惟(おも)えば、内乱を治(おさ)めてから数年、凄く頑張ってきたよね。

碌(ろく)に休みもなかった……って云うか、休ませてもらえなかったし。

あの2人を出し抜いて出来る事って云えば、偶(たま)に城下へ視察(・・)に往(い)くくらいだったし。


《 考えてみれば、僕って自由のない生活してたんだなぁ。》


少し乾いた嗤(わら)いを零(こぼ)す僕を余所(よそ)に、フォルモーサの第一王女-アチェートとリリィの会話は進んでた。

3人から 数歩 離れてる僕の存在なんか構う事なく、アチェートは 杖を振り回してる。

「いつの間に〈複写(コピー)〉した⁈ 」

「初めて握手をした時です」

「何の為にだ⁉︎ 」

「お勍(つよ)かったので、姿を詭(いつわ)る時 役に立つかと惟(おも)いまして」

そう答えたリリィは、ゆったりと エスファニア式の お辞儀をした。

上体を倒す事なく腰を下げる このお辞儀は、西側諸国の所作だ。

僕には新鮮な このお辞儀も、アチェート達にしたら懐かしいモノなのかもしれない。

事実、この時 アチェートは怒り出さなかった。

「実際、エスファニアでは このお姿を お借りしています」

「何ィ⁈ 」

「とても重宝しております、ありがとうございます」

リリィが、また 深々と お辞儀をした。

今度は ラッケンガルド式の、頭を下げる お辞儀だった。

これを見たアチェートの怒気が、一瞬で 膨れ上がった。

いや、今までも怒ってたんだけど 数段 撥(は)ね上がったんだ。

顔なんか 悪鬼みたいで、まるで誰か(・・)みたいになってる。

「っ––––––– わたしの姿で頭を下げるなと言っている‼︎ 」

アチェートは、叫ぶより先に リリィに殴り掛かってた。

でも、僕は、直前に受けたショックで 眼の前の光景が見えてなかった。

余りにも長くなりそうだったので、半分に切りました。

結果、いつもより短くなりましたが ご容赦ください。

後半も頑張って書いております。

何とか 今年中に投稿する事が出来たら、と考えております。


もちょっと待っててくださいね〜。T_T

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