25__仮初めの妃の悩み
勿論、5日目です。まだ 5日目なんです。
そして、もう何話か 5日目が続くんです。
テンポが悪い!
___視点:官吏 - 4名 + 1名___
「聴いたかっ?」
「ああ、お妃様の譚だろ?」
王宮中、幼い魔法使いが外出を願い出た譚で 持ち切りだった。
北方の村の被災を知って どうしても見舞いたい、と進言した経緯が 執務室にいた官吏達の口から広まったのだ。
「本当に 独りで王宮を出るつもりなのかっ?」
「まさか、陛下が止めた って聴いたぜ?」
突然 現れた王妃に対し『気に食わない』と惟っている者達でも、王が 彼女を溺愛しているのは判る。
国内の混乱は治まったとは云え、怪しげな者達がいなくなった訳ではない。
見えない部分に、悪心を懐く者達はいる。
そうでなくとも、王妃に迎えられた女は 絶世と評しても良い程の美貌だ。
彼女を手許から離したくないと云う心理には、納得の容姿だった。
誰しもが、王に因って すぐ樣 説得されたと惟っていた。
「それが、尚も 説き伏せようとしてるんだと」
それだけに、この言葉に因る喫驚は深かった。
「あの陛下をか⁈ 」
「ああ」
「あの お妃様が⁉︎ 」
「そう 聴いたぞ」
驚きすぎると 言葉も出なくなる、と云うのは 万民に共通らしい。
官吏達は、茫然とした様子で竚ち尽くしている。
事態を把握し切れず 意識を飛ばす事 数秒、彼等は 問答を再開した。
「誰が言ってたんだよ⁈ 」
「エディン様だ」
「!」
宰相の補佐官であり 大臣の息子の1人でもあるエディンの名が出た事で、数人が 複雑な顔をした。
エディン=オスカリウスは、身元の知れぬ妃に対して 快く惟っていない人物の1人だった。
勿論、直接 譚をして悔悟しているが、それは あの時 執務室にいた者達しか知り得ない事だ。
故に、エディンは、1っの役目を担っていた。
「執務室から出るなり、酷く怒ってらした。『独りで出掛けて 何が出来るんだ』って」
王と妃の攻防を吹聴し、今後の妃の行動を予測させる。
この為に、未だに『反-妃派』であると惟わせる必要がある。
本人は、クランツの様に芸達者ではないと固辞していたが、結局 引き請けた。
資料室でも 官吏達の休憩所でも、妃への批判を繰り返した。
日頃からの仏頂面に加え 若干の緊張で渋った様な顔になっていたが、却って それが良かった。
如何にも『容認出来ない』と云った表情に見えており、彼の渾身の演技を見破る者はいなかった。
「まあ、確かにな」
エディンの様子を思い出して、他の官吏が 同意した。
そんな中、1人が 呟く様に疑問を零す。
「そもそも、何で 外出なんか………?」
答えを期待しているのか 啻の独白なのか。
会話をしていた官吏達から 少し離れた場所にいた彼は、やや俯いて独りごちた。
これに、他の官吏が 驚きを含んだ睛を向けた。
「知らなかったのか? 王妃様は、怪我をした者達を見舞いたいと仰有ってるそうだぞ」
「 ––––––––––––北の邨の、か……… 」
口の中で呟いた男は、信じられないと云った表情を泛かべた。
尤も、俯き気味だった彼を注視している者はない。
他の者達は、彼の表情の変化に気付いた様子もなく 会話を続けていた。
「あの人、見るからに お優しそうだしな」
「うん」
「何か、あの お妃様らしい感じだ」
この国へ来て日が浅いだろう王妃が、
災害を知って 居ても立っても
いられなくなった。
3人の官吏達は『容易に想像出来る』と、口々に呟いている。
しかし、同時に 無謀な行為だとも惟っているのだ。
国王が赦さないのも当然だ、とさえ 惟っていた。
溺愛している王妃の頼みでも、こればかりは 聆き入れられないだろう、と。
王妃の無謀さと 無知さに呆れ気味になっていた攸へ、別の官吏が この部屋へ入って来た。
「お妃様が提案したのが『これから出て 途中の街で 1泊して、明日 被災地へ入る』って予定だそうだ」
入室するなりの発言に、室内にいた者達が 揃って息を飲んだ。
「なあっ⁈ 」
「そんなの、陛下が お赦しにならないだろう⁈ 」
驚きのまま零れた疑問に、最初から室内にいた者達が 賛同の意を示す。
「おまけに『どうしても と希むなら』って 陛下が折れて、供に 護衛を奨めてるのに、頑として 拒み続けてるとか」
後からやって来た官吏に因る 執務室内の『王と王妃の攻防戦』の追加情報に、室内にいた官吏達が声を揃えた。
「「「「 何で⁉︎ 」」」」
「自分の我儘に 誰かの手を煩わせたくない、って云うのが お妃様の言い分だそうだ」
北での災害に因って損害を受けた邨を見舞うのは、所謂 公務に属する行為だ。
公務であるのならば、護衛が附く事に不自然さはない。 寧ろ 当然の事だ。
それが 王妃であれば、尚の事である。
しかし、かの王妃は それを『自分の我儘』と言い、故に 護衛は不要と主張する。
「 …………本当に、誰も附けずに往くつもりなのか」
確かに、王が反対している事を推し進めようとしているのは 我儘に惟うだろう。
どうしても 自分が往くのだ、と主張し続けるのは 我儘に繋がるのかもしれない。
だが、これと 護衛の譚は別だ。
王妃である以上、外出には護衛が附くのも 特別な事ではない。
怕らく、王も 宰相も 側近も、そう説明しているだろう。
それでも、王妃は 納得しないのだろう。
首を縦に振らないからこそ、談し合いは長引いているのだろう。
そう察した官吏達は、呆然とした表情になっていた。
「無茶苦茶な妃だよな」
「あんなに美人なんだ。それだけでも 危ないだろうに」
「全くだ」
ぼそり と呟き合って、誰からともなく 苦笑いを零す。
「逆に、あのくらいの人でなきゃ 陛下の妃は勗まらないって事か?」
「あー……… 」
「うーん」
彼等は、自国の王の悚さを 身を以て知っていた。
ラノイに意見を述べるなど 自分達には出来ない事だ、と 自覚もしている。
それだけに、あの素性の知れない王妃の凄さを悟ってしまったのだ。
或る種の尊敬に似た感情を懐きながら、何となく 頷き合う。
「エディン様は、気に食わない様だったけど」
王と王妃の攻防を伝えに来た官吏の言葉に、他の4人の内-3人が 複雑な感情を口許に貼り付けた。
「あの方は、反-妃派だからな」
この科白を吐いた時点で、そして この言葉に頷いた時点で、彼等は『反-妃派』ではない。
その証明の様な言動だったと云う事を、怕らく 本人達は気付いていない。
これを受けて、1人の官吏は、俯いた姿勢のまま 捷く 4人へ視線を向けた。
「 ––––––––––––ああ、そうだな」
遅れて同意した その声は、事務的で 機械的で、感情の抜け落ちたモノだった。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
___視点:〔森の妖精〕- リーゼロッテ=サフィール___
執務室を辞した後、魔法使いは 正寝殿の厨房へ邀っていた。
王族-専用の厨房にいる ミラベルの様子を見に往く為だ。
当然、そのまま邀ったのでは 平素の様子は判り様もない。
その為、今の魔法使いは 不可視の障壁を紱った状態だ。
己れの姿を 周囲から見えない状態にして、誰にも見咎められる事なく、此処まで やって来たのである。
因みに、今日-午前中の休憩に合わせて 此処を通った時にも〈不可視障壁〉は張っていた。
勿論、ミラベルの様子を見に往く為だ。
しかし、戒縛の仂と併せて ラノイが具えている〈真眼〉の前に、瞞し系の魔法は 一切 効かない。
変幻していた彼女が視える 驚異の『眼』だ。
尤も〈不可視障壁〉を視透された事に 驚きはない。
怕らく、魔法使い同士の戦闘で使用される 結界で切り離した空間であっても、彼の〈真眼〉には 視えるのだろう。
あの時は、声を掛けられた事で 厨房へ往く事は諦め、障壁を解いた。
今は、その仕切り直しをしているのだ。
正寝殿を歩きながら、今後の事を考える。
《 長期戦になる事は 覚悟の上、だけど………。》
強硬な策を使って 妃を排除しようとする者達を このまま放置するのは、やはり 害でしかない。
自分が狙われる分には 困る事もないが、どう云った状況であろうと 他を巻き込みかねない遣り方をとられる事には 困殆していた。
今-現在 巻き込まれているのは、この国の中心に立つ国王と その異母兄である。
自国の王族を巻き込むと云う 有り得ない行動に出るのだ。
多少 強引な手段を講じても、排除する事が肝要となってくる。
普段の魔法使いならば、こうなる前に 徹底的に排斥している。
しかし、末端とは云え 関わっている者の事を考えると、おいそれとは動けなかった。
《 あの高官達は 別の手段を講じていた………動くなら、そろそろの筈。》
3時間前の、午前の お茶の時間にも考えていた事だ。
魔法使いは、ベロニカに於いては 救う気がない。
女のプライドにしろ 嫉妬にしろ、妃を排除する手段に、手に入れんと希む者へ害を与える方法を選択したのだ。
更に、その方法として 何の関係もないミラベルを『嚇して従わせる』と云う手段を使っている。
自業自得、それ以外の何モノでもない。
厳しく叱責されようと 重い罪に問われようと、侑ける気などない。
一度 敵と認識した相手に容赦がないのは、彼女の生い立ちや〔森の妖精〕としての立場から形成された『価値観』だ。
生命を大切にする反面、切り捨てなければならないモノを 瞬時に切り捨てる事が出来てしまう。
護ると決めたモノを 傷付けんとする者は、
綜て敵。
その線引きが、彼女の中にあるのだ。
これは〔森の妖精〕として、確固たる意思で 魔法属へ発した警告でもある。
勿論、明言した事は 実行してきた。
〔森の妖精〕に 公然と刃迓える者は、ほぼ いない。
故に、彼女の守護する土地・者達の多くが 魔法使い達の戦乱からも護られてきた。
同様に、一般人であろうとも、彼女の公言を知る者は これに忤わない。
魔法使いであろうと なかろうと、特別扱いはされない事を知っている為だ。
《 いつが いいかしら。》
黒幕達が捕縛されてから、または その直前に、ベロニカとミラベルに接触するのが 希ましい。
ラノイ達に因る 聴き取り調査が始まる前に、2人の記憶を 改竄する必要がある為だ。
しかし、この改竄の時期が 難しい。
余り早すぎると、ベロニカの異変を 黒幕達に嗅ぎ付けられる可能性もある。
だが 遅すぎては、ラノイ達に ミラベルの存在が知れてしまう。
黒幕達が一網打尽に捕縛され 尋問を受ける段に至ってから ベロニカに接触する と云う案が、今-現在は有力だ。
しかし、問題もある。
《 捕縛される前に、記憶を改竄しておく必要が あるかしら。》
黒幕達が『女官の中に 協力者がいる』と シズやラノイに漏らせば、2人は 厳しくベロニカを追及する。
そうなれば、ベロニカは 必ずミラベルを巻き込む。
これは、魔法使いの希まぬ未来だ。
それを変える為に、彼女は『遠回り』を択んだのだ。
勿論、もっと簡単な方法もある。
相手の記憶の一部と 或る程度の感情を操作する手法だ。
一時的に 記憶を消す・または 偽の記憶を植え付ける魔法である。
これは 大概の魔法使いが具えるモノで、特殊な能力ではない。
恒久的に作用する魔法ではないが、効果が どれ程 続くかは、魔法使いの力量に因る。
数日で解けるか、数10年 解けずにいるかは、縣ける者の膊-次第である。
《 わたしの仂では、半年が限度だし………。》
これは、確かな情報だ。
ちょくちょく 弟に縣けている為、正確な測定だった。
縣ける事は 簡単に出来るが、解けた時に『縣けられていた間の記憶』が残るだけに 今回の件には不向きな方法と云える。
必要なのは、全員の記憶を改竄し、他者にも 彼等の言動に違和感を与えず 事実との齟齬を悟らせず、そう簡単には解けない魔法である。
これ等の条件を 綜てクリアした方法が、1っだけある。
考え得る限り 最適な この方法は、生命を掌る妖精としての能力を 最大限に使った『法則介入』だ。
対象者の記憶を 消去・上書きをするのではなく、対象者の価値観を 変える方法だ。
ベロニカに この魔法を使えば『ミラベルに毒を混入させた』事を克明に憶えていながら、決して『弱者を陥れる』事が 出来なくなる。
〔森の妖精〕が具える 特殊能力だった。
すぐ樣 ベロニカを自首させる事も、彼女を唆した者達について 詳細に自白させる事も、簡単だった。
その際『毒は 自分が入れた』と嘘を誥かせる事でさえ、難しくはない。
たった一言、命ずるだけで良いのだ。
「 –––––––––––––………… 」
一言 命じれば、綜てが希む形で終結する。 そう判っている。
だが、その能力を使用するに當たり 躇う理由もある。
《 この際、個人的な理由など 主張している場合ではないのかもしれない………の だ、けれど。》
簡単に云って、不快感があるのだ。
使った者にしか判らない不快感は、使用された者にも 傍観者達にも判りようのないモノだ。
有るべき未来を捻じ曲げた時に受ける 罪悪感よりも、精神に堪えるダメージ。
最も觝れてはならない部分へ、他の どの魔法使いにも出来ない手出しをした……その罪悪感だ。
《 やりたく、ない。》
必要となれば使用する覚悟はしているが、率先して使う気は 皆無である。
所謂、最後の手段だった。
どれ程 面倒でも、別の方法を考慮し 行動する事になるだろう。
《 ラノイ様に お願いをしたら、聆いてくださる………? 》
説得出来る可能性は低い、と 察ていた。
ラノイもシズも、使えない臣下への対応は 冷徹にして辛辣なのだ。
この数日で 何人もの官吏が降格の憂き目に遭っている事を、魔法使いは知っている。
勿論、これは 今に始まった事ではない。
彼女が この王宮へ現れる前から変わらない光景なのだ。
つまりは、ラノイとシズの方針なのだろう。
そうと判断するだに、ラノイに直接 談す と云う『最善の筈の選択肢』が、どうしても 後回しになるのだ。
《 どうしたら いいのかしら。》
こうして、魔法使いは悩み続ける事となる。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
___視点:官吏 - 4名。 中年の武官・刀傷の武官・文官・最後に入室した男___
王宮の中には 幾つも建物がある。
後宮の様に 多数の建物がある区域の総称である場所もあれば、正寝殿の様に 王族の居住区を指し示す場合もある。
彼等がいるのは、この時間 人の尠い場所の1っ、官吏達の宿舎だった。
「聴いたか?」
最後に入って来た男は、扉を後ろ手に閉めるなり そう問い掛けた。
先に 室内にいたのは、3人。
「ああ」
最初に答えたのは、がっしりとした体格の男だ。
私服でいるが、軀付きからして 文官ではないと判る。
『ゴツい』と表現する事が適切な、中年の男だった。
「まさか、だろう?」
同意の言葉の中に 疑問を含めたのは、長身の男だ。
左額から 左睛の下まで 古い刀傷が残っており、左睛は 閇じられていた。
細身ではあるが、武官だろう事を物語っている。
背筋の伸びた 壮年の男だった。
「しかし、あの譚が本当なら ひょっとすると……… 」
言葉を濁しつつ 他の3人の顔色を俔ったのは、中肉中背の男だ。
一眼で文官である事が判る、脆弱そうな男だった。
人眼に付かない様 ばらばらに集まった彼等は、互いの顔を見併せる。
「流石に 単独は 有り得ないだろうが」
最後に入室した男は、肩を揺らしながら そう呟いて、改めて 長身の男を見る。
「準備は?」
「予定変更の可能性は 報せてある。待機している者達もいる」
長身の男は、感情の機微を俔わせない声で 淡々と答えた。
「外なら 襲い易いだろう」
「理由も 簡単だしな」
「そうだな」
これに、がっしり体型の男が 首肯と共に賛同した。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
___視点:高官 - 3名。 小太り・髭・小柄___
「聴いたな?」
「ああ」
3人が集まっているのは、池の滸にある四阿だ。
ベロニカを唆し 毒を盛らせた、あの男達である。
「どうする?」
髭の男が発した 主語のない問いに、小柄な男が 小さく首を振った。
「流石に、有り得ないだろう」
彼等も また、執務室での譚を聴いて 事後の相談の為に集まったのだ。
王妃が 単独で王宮を出る。
この可能性があったからこそ、人気のない この場所へやって来たのである。
召集をかけたのは、小太りの男だった。
「だが、準備だけはしたほうが」
そう惟えばこそ、こっそりと呼び出したのである。
しかし、同志の返答は 惟いも因らないモノだった。
「いや、必要ない」
小柄な男が、思案の間も無く そう処断した。
勿論、彼は『王妃が 王を説き伏せる可能性』を否定したのではない。
王が 王妃に弱い事は周知の事実だし、最小限の護衛を附ける事で 双方が妥協する事も、視野には おいている。
しかし、自分達が動く事はないと言いたいのだ。
「 …………そうだな。これが 本当なら、罠だろう」
王妃の失脚を狙う者は、彼等だけではない。
実際に 襲撃されたとは聴かないが、凶行に走りそうな連中の陰は 同等の事を考えている彼等だから 感じ取る事が出来た。
故に、小太りの男は 焦っていたのだ。
「しかし、すぐに策を打たなければ、他の連中に 先を越されて……… 」
この惟いが根底にあったが故に、人眼に付く危険を冒して 同志の意見を問う為に 呼び出したのである。
尤も問うとは 建前で、内心は 同意されるものだと確信していた。
それだけに、驚きも強かったらしい。
「なのに、何故…………?」
心の声が そのまま零れたかの如き呟きに、小柄な男が 先程よりも詳しい理由を口にした。
「吾々の目的は『妃の失墜』だ。それが叶うなら、実行者は 誰であっても構わない」
何かの容疑で 妃が追い出されようとも、誰かに襲撃されて生命を殞とそうとも、結果としては 変わらない。
要は、王の寵愛を一心に集める者さえいなくなれば それで良いのだ。
「ああ、同じ事だ」
「他の連中が殺ってくれるなら 手間が省ける」
2人の言葉に、漸く 小太りの男が納得を示した。
「そ、うか」
落ち着いて考えられる様になったのか、小太りの男は 肩の力を抜く様に息を咐く。
「今 やるべき事があるとすれば、後の為に 準備をする、くらいか……… 」
髭の男が、独白の様に呟いた。
彼が 示唆しているのは、妃が 外出しなかった場合の事であり、また 外へ出たとしても、その襲撃が失敗に終わり 妃が王宮へ帰還した後の事でもある。
外出を赦されたとしても、護衛が多ければ 襲撃犯達は諦めるか 失敗するだろう。
また、王が 外出を赦さなければ、そもそも 襲われる事はないだろう。
彼等は、王宮へ 不審者を招き入れる事の難しさを知っているだけに そう考えていた。
「そ、そう だな……… 」
小太りの男は 神妙な顔で頷き、髭の男と 小柄な男を見た。
同志達は、酷く落ち着いている様に見えた。
自分ばかりが焦っていたと察て、焦燥を恥じつつも 平静を保とうと努力する。
「外にも、この旨を伝えてくれ」
「ああ」
彼等は、自分達の方針を確認し合った後、其々の部署へと戻って往った。
名前のない人々が 何人も出てきて、訳が判らなくなると思いますが、何とか 付いてきてください。
それにしても、月1ペースになってしまうのは 何とかしたい(汗)




