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運ぶ男
男から紹介された人と、会った。
その人から、別の人へ。
さらに、その先へ。
男を通らない糸が増えた。
ある席で。
男が知らない人から、声を掛けられた。
「先日はありがとうございました」
「こちらこそ」
「例の件、別の方にも話してあります」
「ありがとうございます」
その人が離れる。
男が、隣にいる。
「お知り合いだったんですね」
「はい」
「どちらで?」
説明した。
男が最初に紹介した人。
そこから伸びた人。
さらに、その先。
男は黙って聞いた。
「そういうことですか」
表情は変わらない。
でも。
初めて。
男の糸が、少し震えた気がした。
「随分、広がりましたね」
「そうですね」
「もう、紹介する必要もなさそうですね」
男を見る。
「そんなことないですよ」
男が、女を見る。
少し長い。
「そうですか」
笑った。
それだけ。
数日後。
男から、また名前が届いた。
新しい餌。
画面を見る。
男は、気づいたはずだった。
渡した糸を、
もう、
男を通さず増やせる。
男のやり方まで、使っている。
それでも。
運んでくる。
男は、逃げなかった。




