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その夜。
配信で、 恋愛の話になった。
誰かのコメントを、 先生が読んだ。
離れていった相手を追うか。
先生が笑った。
「俺は追わんなあ」
コメントが流れる。
「離れたいなら、どうぞって思う」
先生は軽く笑う。
「だって、俺から離れる方がもったいないやろ」
また笑う。
「まあ、そのうち戻ってくるんちゃう」
動かなかった。
先生は、 こちらに言っていない。
見ていることすら、 知らない。
分かっている。
それなのに。
もし。
先生から離れたら。
先生は、 どう思うのだろう。
追わない。
当然。
では。
戻ると、 思うのだろうか。
胸の奥が、 ざわついた。
その時。
男からメッセージが来た。
一人の名前。
また、 新しい人。
画面の上には、 男。
イヤホンからは、 先生の声。
男のメッセージを開いた。
「来週、この方と会います。ご興味ありますか」
以前なら、 すぐ返した。
今は、 少し置く。
男は、 それを教えたつもりなのだろう。
違う。
見て覚えた。
数分後。
「内容次第では、ぜひ」
送る。
すぐ既読になった。
「そう言うと思いました」
少し笑った。
男も、 たぶん笑っている。
自分の手の上で、 上手くなっていると思って。
配信では、 先生が別の話を始めていた。
また先生を見る。
どうして。
男がいる。
男から、 十分に得られる。
人も。
知識も。
考え方も。
先生が担っていたものまで、 少しずつ、 男から得られるようになった。
なのに。
なぜ、 まだここへ戻る。
恋。
その言葉が、 また浮かんだ。
これなら。
やっぱり、 恋なのかもしれない。




