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先生の揺れ

先生に会った。


配信ではない。


昼間。


先生は、 目の前にいる女を知っている。

最近読んだもの。


会った人。

考えたこと。


話す。


先生が、 途中から少し静かになった。


「なんか、変わったな」


「そうですか」


「前より話が深い」


嬉しかった。


「先生のおかげです」


先生が笑った。


「いや」


少し間があった。


「俺だけちゃうやろ」


胸の奥が、 動いた。


「どうしてですか」


「分かるよ。それくらい」


先生は、 それ以上言わなかった。


聞きたかった。

何が分かるのか。


誰かいると思っているのか。

男のことを知っているのか。


でも、 聞かなかった。


少しして、 先生の方から言った。


「最近、仕事でよう動いてるらしいな」


先生を見た。


「誰から聞いたんですか」


「まあ、色々」


男。


そう思った。根拠はない。


でも。


糸が、 震えた。


「無理してへん?」


「してません」


「ならええけど」


それだけ。


先生は、 いつもの先生だった。


なのに。


帰り道。


何度も思い出した。


――俺だけちゃうやろ。


――無理してへん?


先生は、 こちらを見ている。


そう思うと、 嬉しかった。


その嬉しさが、 何なのか。


分からなかった。



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