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偽聖女と言われて婚約破棄されてうっかり竜王の封印を解いたら子竜になった竜王に懐かれました  作者: はるくうきなこ


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5孫娘がやって来る


 その頃北辺境では、アリシアの祖父であるグエンと祖母であるクレアがやってくる孫の為にと張り切っていた。

 グエンは北辺境のギルドで会長をしている。かつては鉱山人夫として働いていた。北辺境の領主はユリウス・ノースライルという男でこの貧しい領地を治める為に色々尽力を惜しまない男だった。

 ギルドが出来たのも魔物討伐に必要な人材を集めるためだった。

 北辺境は知っての通り500年前の竜王の封印以来、樹海での魔物の出現、そして竜人の竜力で生み出された竜毒の発生。竜毒は瘴気の一種で樹海で作り出される。魔物もその竜毒吸い込み更に凶暴化して竜毒を撒き散らす。その毒は竜呪熱を発病させる。

 そして元々北辺境の土地は痩せて作物も育ちにくい。そんな領地でも鉱山では竜力を含んだ魔石が採れる。魔物を倒せば魔石が手に入る。この領地はそうやって何とか生活を維持して来たような場所だった。

 グエンはそんな北辺境に生まれ育った。娘は王都に仕事に行きたがり仕方なく許した。すると王都で好きなやつが出来たと結婚して子供まで生まれた。その孫が竜聖印を持っていたと知って絶対北辺境には来させるべきではないと思った。

 ここには竜王が封印されている。今では皆アクリート国がやった事を正当化しているが、はっきり言って500年前の封印は竜王を利用した卑怯なやり方だったって事だ。


 *〜*〜*


 北辺境には古くからの言い伝えが今も残っていた。


 〜500年前の聖女アリア様は竜王の番だった。だからアクリート王はアリア様を囮にして竜王をこの地に誘き出し竜力を奪って封印した。

 アリア様も国王から言いくるめられたのか脅されたのか判らないが竜王の力を削ぐことに力を貸した。アリア様は張り付けにされた姿で竜王に助けてと言うだけで良かった。竜王は我が身を犠牲にしてもアリア様を助けると分かっていたからだ。

 そして簡単に竜王は神殿の水晶球に封印された。竜王から奪った5つの宝珠は聖教会が奪って行った。

 アリア様は竜王封印に成功したが王家はアリア様は助ける事はしなかった。アリア様もその事が最初から分かっていたのか最後にこう言ったそうだ。

 『何百年か先に私の生まれ変わりが現れる。その時私は裏切った竜王を自らの手で解き放つ。封印が解けた時アクリート国は最後の審判を受ける。一体どちらが正しかったのか見届けるがいい』

 そう言ってアリア様は処刑され命を落とした。

 アリア様は竜王を封印した竜神殿のそばの木に下に葬られた。その木の側に小さな石碑があると言われている。

 その100年ほどのちに聖女が誕生した。そして聖女には竜力が宿るという宝珠が与えられた。竜王を封印した事で竜毒が発生するようになったこの国を守るために。


 そう言う言い伝えが北辺境にはあった。もちろん今のアクリート国の人々はそんな経緯がったことなど知らないしこの言い伝えが真実かどうかも分からない。

 グエンはアリシアに会える事はすごくうれしかった。でも、この言い伝えがどうしても気になって仕方がなかった。そうかと言ってアリシアがその聖女と決まった訳ではないしむしろアリシアは聖女でなくなったからここに来るのだから何も心配はしなくていいと何度も自分に言い聞かせた。そしてこの事は誰にも話していなかった。妻のクレアにさえもだ。




 そして待ちに待った瞬間がやって来た。

 「あんた、馬車が北辺境の門をくぐったって」

 北辺境の街キルハンは魔物からみんなを守るため大きな城壁で囲まれている。入り口は2つ南門と東門だ。西は樹海側なので城壁が頑丈で北は崖になっている。

 こんな要塞のような場所を見たらアリシアは驚くだろうな。グエンはそんな事を思いながら「おお、もう着くぞ。おい、お前ら準備は出来てるんだろうな?」

 グエンの仲間が声を上げた。

 グエンはかなり柄が悪いが仲間も同じ様に柄が悪い。言葉遣いも着ている物も。

 クレアは呆れた様な顔をして文句を言う。

 「あんたみたいな喋り方じゃアリシアが驚くだろう。もっと、こう上品にアリシアが来ましたよとか言えないのかい」

 「はっ、そう言うお前だって。そんな上品な事言えるか。アリシアに会ったら思いっきりご馳走を食わせて‥それから、そうだ!首飾りでも指輪でも何でも好きな物を買ってやるって言う。そうすりゃアリシアだって喜ぶに決まってる。だろ!」

 「ったく、あんたって人は女には首飾りさえ買っときゃいいと思ってるんだから、あたしに買ってくれたのは結婚を申し込んだ時だけだっただろ。ったく。いいかい、アリシアは傷ついてるんだ。そう言う時には暖かい部屋に、気の利いた料理、そしてあったかい寝床を用意するもんだ。真綿で包むように優しく包み込んでやるんだよ。分かったのかい!」

 「まったく、女ってのはどうしてこうめんどくせぇんだ」

 「何言ってるんだい。あんたの可愛い孫娘だろ、優しくしてやらなくてどうするんだい!」

 「ああ、わかった、わかった。お前の言う通りにすればいいんだろう!」

 グエンはもちろんうれしかった。だが、戸惑う気持ちもあった。うまく気持ちを伝えたいが自信はなかった。








 

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