45二人の愛は永遠に不滅です
翌日銀色の竜が二頭が北辺境の街外れに降り立った。
竜人になった一人はグリアダ王国のカストリ王だった。もう一人は竜聖教会の最高権威のグリアダ法王のニコライだ。
二人はギルドの隣の弁当屋にやって来るとオディアスの前にひれ伏した。
「二人ともいきなりどうしたんです?」
オディアスは怪訝そうな顔で二人を見た。
「オディアス失礼よ。国王陛下。ニコライ法王。ようこそお越しくださいました。ですがいきなりどの様な用向きでしょうか?」
さすが元貴族令嬢。
「いや、昨日オディアスが民に見せたあの光は、歴代グリアダ王国でも今までにたった二人にしかなかった神の竜力。あれほどの竜力を持っているオディアス様を前にして私など国王の資格もない。よってオディアス様に王位を譲りたく」
国王の話を遮るように法王が前に出る。
「いや、国王よりぜひ竜聖教会の最高位の法王の座をお譲りしたい。オディアス様が法王になればグリアダ王国は竜神の国として益々の発展を遂げるはずですぞ」
「私はそんなものに興味はない。私はアリシアの夫であり、彼女が開く弁当屋の共同経営者だ。彼女を助け支えるのが夫である私の勤め。それ以外の事に私の時間を割く気はない!悪いが帰ってくれ!いいか、おかしな期待はやめてくれよ。カストリにもニコライにも不満はない。君たちでグリアダ王国を繁栄させてくれる事を私は切に願っている。わかたっらもう帰ってくれないか。今から仕込みがあるんだ。じゃ!」
オディアスは二人を外に追い出した。
グリアダ王国の最高権威の二人はとぼとぼ帰って行った。
「もう、オディアスったら、せっかく来てくれたのにあんな言い方しなくたって」
「なに、大丈夫だ。あいつらは私から見ればまだ子供みたいな物なんだ。私がはっきり断ればもう何も言わない。それより仕込みは大丈夫なのか?」
「ええ、オディアスがいてくれるもの。大丈夫に決まってるじゃない」
「そうか、何でも手伝うからな」
そんな会話を聞き耳を立てて遠くで聞きながら「全く!」
「いや、さすがはオディアス様、最愛をあそこまで大切に思っているとは恐れ入りました」
「もう、あきらめるしかありませんね」
「ああ、あの方は一度言い出したらテコでも動かん!」
二人は諦めて帰って行った。
ギルドの近くに出したお弁当屋は繁盛した。
あまりの客に二号店を出す事になりアクルート国とグリアダ王国の国境の峠にお弁当屋と休憩出来る場所を兼ねた店を出す事になった。
名前は【峠の茶屋】弁当だけでなく食堂も兼ねた店だ。
北辺境の店は父に任せ峠の茶屋をオディアスとアリシアでやる事にした。
オディアスはその半端ない竜力であちこちに仕入れに行き珍しい食べ物や薬草を手に入れて来た。
アリシアは次々に前世で食べていたメニューを再現。
ハンバーグ、スパゲッティナポリタンなど、そしてついに醤油に近い調味料を作る事に成功。そこからは快進撃の新メニュー続出!
しょうが焼き、焼き鳥、カツ丼、蒲焼き、肉じゃが、すき焼きなどなど!
「オディアス、今日の配達は100人分のグリアダ王国の王妃の誕生日の大量注文よ。本当に大丈夫?」
『しかし王妃にしょうが焼き弁当なんて大丈夫なのかな?』
「アリシア、王妃からの直々の注文だ。心配するな」
さすがは脳内の呟きも聞き逃さない。
「うん、気をつけて」
「ああ、急いで帰る」
オディアスは配達用に特別に作った豪華弁当を入れた籠を前足で掴むとゆっくり飛び立った。
「行ってらっしゃい」
「行ってくる。土産を買ってくる」
「うん、楽しみにしてる」
オディアスの竜化した顔がデレデレになる。
いつものように上空で一度大きく旋回して飛び去って行った。
一時間もするとオディアスが帰って来た。お土産はグリアダ王妃から貰ったスパイスセット。
「うわっ、これ欲しかったやつ。もう、オディアスったら愛してる。チュッ」
アリシア‥」
「おい、お前ら表でイチャつくんじゃねぇよ。ったくよ。オディアスさんよ。あんた少しは人目ってもんを考えてもらわなくちゃ困る。うちのアリシアがおかしな目で見られたらどうすんだ?」
父さんがやって来た。
「はい、すみません父上。二度と人前でいちゃつきません!」
「それで、その、なんだ。そんだけいちゃついてりゃそろそろ‥」
「もう、父さんったら、そんなの」
「アリシアどうした?顔が赤いぞ」
「だって、赤ちゃんが出来たかって聞くから」
オディアスがつんのめった。
「はっ?アリシア、まさか!そうなのか?」
「オディアスまで、そんなわけないじゃない!」
アリシアは真っ赤になりながらオディアスに腕を叩く。
「アリシア、早速で悪いが頼む」
「ええ、これから作るから父さんも一緒に」
アリシアは醤油味の新作メニューを次々に作って行く。父はそれを見ながら器用に同じ物を作る。
父さんは新作メニューの作り方を教わりに来たのだった。
「それと、スパイスが手に入ったからカレーも作ろうと思うの」
「何だそりゃ?」
アリシアは玉ねぎをみじん切りにして炒める。そこにスパイスを入れてチキンと水を加えて煮込めば出来上がり。
二人の前にカレーを出した。
「どう?」
「おい、アリシアおめぇ、一体どうやってこんな物を?」
「父さん、どうなの?おいしいの?オディアスはどう?もう、黙って食べてないで何とか言ってよ!」
「「アリシア、お前は天才だ!」」
「何だ?この何度も口に入れたくなるたまらないうまさは?」
「ああ、米とカレーが絶妙にマッチしていくらでも食べれる。こりゃ、絶対売れるぞ!」
父の読み通り、峠の茶屋な連日満員。ギルドの隣の弁当屋はカレーチャーハン弁当として販売を開始して一時間もしないうちに完売だった。
アリシアの作る料理は爆発的に大陸中に広がり醤油は万能調味料として広まった。
この世界は今に日本の料理で溢れるに違いない。
アリシアはオディアスにだけは自分が異世界から来た事を打ち明けた。
オディアスは言った。
「どんなアリシアでも愛してる」
アリシアは前世では幸せではなかった。この世界でも婚約者に捨てられた。それでもオディアスと出会った。
「オディアス、私この世界に来て本当に良かった。あなたに出会えて本当に幸せ」
「私こそ、あの日封印を解いてくれたのが君で良かった。愛してる」
「私もあなたに出会えて最高に幸せ」
「ああ、二人の愛は永遠に不滅だからな!!」
「そんな事よりオディアス、この唐揚げを盛り付けて」
「任せろ!」
オディアスは出来立ての唐揚げを一つ口に頬張る。
「はふっ、熱い、でも、うまい。私の妻は最高だ!」
「オディアス!つまみ食いはダメよ。さあ、急ぐんだからちゃちゃっとしてよ」
「分かってる」
オディアスは自慢の最速魔法を駆使して弁当を仕上げて行く。
「いいのかしら?あなたの魔法をこんな事に使って」
「いいに決まってる!」
「アリシアだって弁当に回復魔法や保護魔法使ってるじゃないか」
「あれは必要な魔法だもの」
「だったらこれも同じだ。でもアリシアが嫌ならやめる」
オディアスがしょんぼり言う。
「違うの。ごめんオディアス。私が間違ってた」
オディアスの顔が花が開くように満面の笑みに変わる。
「いいんだ。君は私を心配したんだろう?」
「気付いてたの?もう、やだ!」
「アリシア可愛い!チュッ‥」
♡♡♡タイム
二人は今日も弁当作りに忙しい。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!




