44新婚旅行
明日は最終話です。最後までよろしくお願いします。
ある日オディアスから一緒に出かけないかと誘われた。
「グリアダ王国とアクルート国を繋ぐ街道がやっと繋がったんだ。アリシアと一緒に見たい」
「ええ、もちろんいいわ。オディアスすごく頑張ってたもの。これでみんなが助かるわね」
「ああ、行こうか」
アリシアはオディアスと表に出た。てっきり馬車か馬で行くと思っていた。
「あれ?オディアス何でいくつもり?」
「ちょっとこっちへ」
二人で少し歩くと開けた場所に出た。オディアスがアリシアに厚手のマントを渡した。
「これを着て、それからアリシア少し下がって」
「何?」
アリシアはマントを羽織りながら首をかしげ後ろに下がる。
オディアスがいきなり竜化した。
「す、すごい…」
漆黒の鱗が光を受けて輝いている。振り返った顔は竜だけどその瞳は金色に紅の入ったアリシアを愛しそうに見るいつもの瞳だった。
『アリシア?恐がらせたか』
アリシア言葉でなくオディアスの首に抱きついた。
「すごくきれい!それにカッコいい」
『ホントか?竜化を見せるのは戸惑った、一度はアリシアが意識を失っていたからまだ完全体の竜化は見せたことがなかっただろう?だから…』
これが歴代一位の竜王だった男の言う事かと思えるほどオディアスは困ったような顔をしているように見える。
「そんな事、私がオディアスを嫌うことなんかあるはずないじゃない!大好き!」
アリシアはオディアスの竜化した口に口づけをした。
オディアスは前足でそっとアリシアの身体を包み込み口づけを返した。まあ、ほんのちょっと口の先を合わせただけのキスだったが。
『さあ、背中に乗って。首にしっかりつかまるんだ。上空から樹海に出来た街道を見よう。そのままグリアダ王国の上空を飛んで帰るつもりだ』
「わかった。何だかまるで新婚旅行みたい」
『新婚旅行?』
「ええ、夫婦になって初めて二人で旅行する事を新婚旅行って言うのよ。オディアスが初めて竜の姿を見せてくれて乗せてくれて、グリアダ王国を見せてくれるんでしょう?こんな素敵な新婚旅行をプレゼントしてくれてありがとう。すごくうれしい」
『アリシア‥ありがとう。私と結婚してくれて、これからも二人で一緒にあちこち出かけよう。そうだ。もし、恐くなったら叩いて知らせて。いいな』
「ええ、わかった」
それからオディアスはゆっくりと飛び立った。
アリシアを恐がらせないよう翼をゆっくり羽ばたかせ低空飛行で樹海の上を飛んでいく。
『どうだ?』
『すごい。私が再生した木もあんなに大きくなってる。オディアスみんなのためにありがとう。あなたは私の誇りよ』
『それは私の言う事だ、アリシアの竜力はこの世界のすべてを癒す力だ。すべての命を回復させる?君は本当に女神だ』
『オディアス、乗せてくれてありがとう』
『遅くなってごめん。でも、私の背中は君だけのものだから』
『うふっ、うれしい』
『アリシア君は私の最愛だ、番以上の存在なんだ。それを忘れないでくれ』
『あら、私だってオディアスは私の命より大切な人よ。愛してる』
オディアスの身体が傾いた。
『おい、いきなり!』
『オディアス、安全飛行でお願い。愛してるわ』
『アリシア、あまり私の心を揺さぶるんじゃない!』
オディアスはゆっくりグリアダ王国の上空を飛んだ。
下を見るとたくさんの竜人が地上から手を振っていた。
『オディアス竜王。お帰りなさい』
『最愛が見つかって良かった』
『お幸せに』
次々にお祝いの言葉が脳内に入ってくる。
アリシアは手を振って答えるとみんなが手を振り替えしてくれた。
『オディアス?アクルート国のしたこと許してもらえたのかな?』
『ああ、下を見てみろ』
『うーん?どうだろう』
確かに手を振ってくれているがアクルート国を許したかまではわからない。
『それにしてもアリシアの作るおにぎりはこっちでも人気らしい、商人の口は早いからな』
オディアスに話をすり替えられたが、いま夢中になっているおにぎりのことですぐに食いつく。
『えっ?私のおにぎりが?うれしい。みなさんぜひ、おにぎり食べに来てくださいね~』
『『『ああ、楽しみにしてるから〜』』』
たくさんの声が脳内に響いた。
アリシアは大きな声でお礼を言った。
「皆さん。ありがとう。私、オディアスと出会えてすごく幸せです。これからのグリアダ王国とアクルート国の平和が続くよう二人で頑張りますから〜。よろしくお願いしますー!!」
「「「「「こちらこそよろしくー!!」」」」」
たくさん人が手を振って二人に応えてくれた。
うわっ!
『オディアス、私達仲良くしようね』
『ああ、もちろんだ』
『でも、言いたい事は何でも言い合いましょうね。それに秘密はなし。子供は二人は欲しいな。私には兄弟がいなかったからたくさん欲しい』
オディアスの体勢がまたしても崩れる。
『まあ、そこはゆっくり。私はまだアリシアと二人きりを楽しみたい。竜人は長生きだから焦らなくてもいい』
『でも、私は年を取るでしょう?』
『知らないのか?竜人は結ばれた相手も竜人と同じ寿命を得る事ができるんだ。私は竜力が強いから後1000年くらいは余裕で生きる。アリシアも同じくらい生きるから心配ない』
『えっ?』
アリシアはオディアスとの初めての夜を思い出して『もぉ、オディアスったら、それならそうと言ってくれれば!!』
『アリシアすごく可愛かった。お前に初めてになれた事すごく嬉しい。私だけのアリシア』
「キャァ〜」
黄色い悲鳴が沸き起こった。
『うわぁ、この会話聞かれたみたい。どうしよう、めちゃくちゃ恥ずかしい』
『大丈夫だ。竜人が仲のいい夫婦は好ましく思う。特に乙女の妻は』
『もぅ、やだぁ!ちょっと待ってオディアス、さっきに話では私1000年も生きるって事?うわ、この先の1000年なんて想像つかない。それに父さん達もいなくなってるわ』
『ああ、でも私がいる。それにアリシアと一緒ならきっと楽しいだろうな。アクルート国だけじゃなく色々な国に住んでみるのもいい。だからこれからの事はゆっくり考えていけばいい』
『うん、そうか。オディアス何でも一緒に考えて行きましょうね。この先1000年かぁ』
『ああ、死ぬまで愛すると誓うよ。竜の愛は一途なんだ。覚悟しておいてくれ』
『でも、もしも、もしも二人が別れるような事があったら、私は死ぬの?』
『いや、そんな事にはならない。絶対に。だからそんな心配をするな。いいな?』
『まあ、1000年も先の事は想像も付かないし、私、オディアスを信じてるから』
『ああ、期待に応えるから安心してアリシア』
アリシアはあまりの話に面食らったけど、オディアスの言う事なら信じれる気がした。
1000年先の事までは想像もつかないけど、でもオディアスと一緒なら大丈夫だと思えた。
『オディアス、旋回出来る?』
『いや、アリシア。1000回じゃない。1000年だぞ』
『違うの、くるりと回って欲しいって事』
『ああ、旋回な。いいぞ、しっかり掴まれ』
オディアスは空中でゆっくり大きな円を描く。何度も何度も大きく回った。
「見て、虹だ」
「あっ、ほんとだ」
地上から子供達が手を振っている。
声が聞こえて来た。
『竜王オディアス様の竜力が虹色に輝いているんだ。あれは竜人でも高い竜力のある竜にしか作れないんだぞ!』
『竜が最高に幸せな気持ちの時に漏れ出る竜力なんだ』
『オディアス王様はすごく幸せなんだね』
『ああ、そうだな。長い間封印されていたと聞いたが、オディアス様が幸せそうで良かった』
みんなが口々に叫んでいる。
「おーいみんなあれは聖凛の光じゃないか!!」
『オディアス、みんな何か叫んでるわ』
『私達を祝福しているんだ』
『ありがとうみなさん!私、最高に幸せです!』
アリシアは地上に向かって手を振った。ー
『ああ、私もこんな幸せが待っていたとは考えてもいなかった。アリシア、君のおかげだ。ありがとう。今から羽ばたくからしっかり掴まって!』
アリシアは更にオディアスにしっかり抱きついた。
オディアスはぐんと翼を広げるとゆっくり羽ばたきを繰り返す。
オディアスの翼から虹色の光が飛び散る。
まるで花火の様な光のシャワーが地上に降り注ぐ。
地上ではたくさんの人が手を上げて降り注ぐ光を受け止めている。
『アリシア愛してる』
『オディアス私も愛してる』
『私の愛は永遠に君に捧げる』
アリシアの涙が宙を舞った。
オディアスがその涙の下に回り込んで吹き上げた。
涙はオディアスの七色の光を纏い空の上で虹になった。
地上からは大歓声が沸き起こった。




