42新国王と会う
新国王との謁見は図書館の執務室で行われた。国王は台座の上の玉座に座っていた。
「この度は前国王、並びにエリオットが迷惑をかけた。竜王オディアス殿、あなたには500年もの間この国に封印すると言う大変な苦行を強いた事深く詫びる。溶岩流の事でも魔物を絶滅、並びに竜毒の排除をして頂き心からお礼申し上げる。我が国はあなたには最大限の慰謝料を支払うつもりだ。どうかどうかお許しを頂きたい」
新国王アーノルドは玉座から降りて頭を下げた。
「国王陛下。500年前の封印の事。許す事は出来ません。私の最愛の番を犠牲にしそして番であったアリアはあの後殺されました。どんなに頭を下げられた所で許すとは言えません」
アーノルド国王の顔が歪みそのままでオディアスを見る。
「私は封印を解かれました。解いてくれたアリシアはこの国の人でした。彼女には感謝しても仕切れません。でも、内心ではこの国に復讐しようと思っていました」
「オディアス様、やっぱり。でもあなたはしなかったじゃないですか!」
アリシアもそんな不安を持っていた。オディアスから復讐という言葉を聞いて驚いたが、でも、彼はそんな事はしなかったと思った。
「ああ、アリシア、私の話を最後まで聞いてくれないか」
「ごめんなさい。わかった」
オディアスは話を戻した。
「私は、まず奪われた宝珠を取り戻そうと思いました。一人でも出来たかも知れません。ですが長い間の孤独のせいかアリシアといる事がひどく心地よかったんです。それで私はアリシアに従属魔法をかけて離れられないようにしました。そして一緒に宝珠を取り戻す旅に出ました。アリシアは見ていてとても楽しい人でした。おまけに料理上手で困っている人を放っておけなくて私はそんなアリシアに惹かれて行きました。そして人間にもこんな素晴らしい人がいる事に気づきました。中には私を貶めたような嫌な人間もいました。でも、全てがそんな人間ではない事も知りました。エリオットと国王の策略に嵌り命の危機の時でさえアリシアは私を助けてくれました。そんなアリシアを人質に取られて傷付けられて私の理性は崩壊しました。そして火山を噴火させた。でも、思い出したんです。アリシアがどんなに優しかったかこの国の人をどんなに愛しているか。だから私は最小限の被害で済むように溶岩流を操り竜人が解き放った過ちである魔物を倒しました。そして私の今の一番の願いはアリシアと結婚する事です。私はこの国とグリアダ王国の架け橋となり二度と二つの国が引き裂かれないような関係を築いて行きたいのです。どうか国王陛下、あなたに見届けて欲しい」
「オディアス殿、あなたの気持ちはよくわかりました。どうぞこの場で求婚を」
アーノルド国王がそう言うとオディアスはいきなりアリシアの前に跪いた。
「アリシア、突然すまない。私はずっとあなたを見て来た。初めて封印が解けてあなたを見た瞬間から私はあなたに恋をしたと思う。それでも番以外の女を好きになれるなんて信じれなかった。でも、私はアリシアあなたを心から愛していると気づいた。もう、君のいない人生なんて考えられないんだ。どうか、これからの人生をあなたと共に歩ませて欲しい。どうだろうか。私と結婚してくれないか?」
オディアスの手には5色の色の宝石が輝く指輪があった。
「オディアス本気なの。私は番でもないし人間だし‥それにその指輪は?」
「私の逆鱗を使って作った。魂の片割れとしてこれを受け取って欲しい」
「あなた一体いつの間に?ずっとあなたが気になっていた。好きだってはっきり確信したのはあなたが魔道具で苦しむ姿を見てあなたを失いたくないって思った時だった。でも、そんな気持ちに気づいたら恐くなったの。あなたは国に帰ってしまうかも知れない。今日この時まで怖くて仕方がなかったのに!そう言う事なら早く行ってよ。もちろんオッケーよ。あなたと結婚する!」
アリシアの緊張は一気にほぐれて引き締めた唇から微笑みがこぼれ落ちた。
「アリシア、ありがとう、愛してる」
「私も愛してるわ。オディアス!」
二人は抱き合いそしてアリシアにオディアスから指輪が贈られた。
二人はノートン達と北辺境に帰った。帰る途中うっかりアリシアが溶岩流に魔力を流した。すると溶岩から小さな芽が出た。そこにまた魔力を流すとスルスルっと緑色の茎が伸びて花が開いた。
「オディアス見て花が咲いたわ!父さんもドクさんも見て!」
「こりゃすげぇ」
「これなら樹海も森に戻せるかも知れないわ」
北辺境に戻るとノースライル北辺境伯が訪れアリシアに対して行った事を深く詫びられた。
オディアスには魔物を退治してくれた事に深く感謝された。
アリシアはここに住む事を伝え聖女ではなく治癒の出来る者としてギルドに登録をした。
それからオディアスとアリシアは父や祖父母、ドクさんルナ、エドガーさん、オリルさん、コルノさん達に見守られ結婚をした。周りはまだ早いと反対したがオディアスが譲らなかった。
オディアスはアリシアに言った。
「アリシアと出会うために私は500年水晶球の中で君を待っていた。だからもう一分一秒だって待てない」
アリシアはこれを聞いて覚悟を決めた。
披露宴はギルドの仲間達が参加して賑やかに行われた。
特別でなく、ありふれた結婚式だったけどアリシアに取ったら何よりもうれしい結婚式だった。
父とバージンロードを歩いて愛しい人の待が祭壇の前で待っていた。誓いの言葉。誓いのキス。最高に幸せだった。




