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偽聖女と言われて婚約破棄されてうっかり竜王の封印を解いたら子竜になった竜王に懐かれました  作者: はるくうきなこ


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3これまでのアリシア


 アリシアは魔力が現れると養女にしたいと高位貴族から申し出があった。アリシアには選ぶ権利すらなかった。聖教会がロックフール公爵家の養女になる事を決めたのだ。

 アリシアの実父はノートン・ダルヴィンは男爵家の三男だったがキエナと言う女性と結婚した。生まれたアリシアが竜聖印を持っている事は有名だった。

 母のキエナの両親はノースライル北辺境のギルドを仕切っていると聞いていたがアリシアの両親は王都に住んでいてあった事はなかった。

 アリシアが生まれてしばらくすると聖教会から人がやって来たが母が幼い我が子を離したくないと言ったのでアリシアは幼い頃は両親と幸せに暮らした。だが、5歳の時母が竜呪熱にかかりあっけなく亡くなった。この国ではよくある病らしい。父はすっかり気落ちしてアリシアを聖教会に預けたのだ。それ以来父との音信は途絶えている。

 

 義理父となったヨーナン・ロックフールの家族は妻のカエラと娘のエリーシャだった。エリーシャはまだ11歳くらいだった。

 名ばかりの養女となったアリシアに三人は冷たかった。一度公爵邸に挨拶に行った時に3人を顔を合わせただけで、今日までエリーシャとは会った事も話をした事もなかった。

 アリシアは漆黒の髪に緑色の瞳をしていた。

 エリーシャは母親と同じ金色の髪色に濃い青色の瞳で父であるヨーナンに目元が似ていると思った。

 アリシアは養女となる意味もよくわからないまま暮らしは今までと変わる事はなかった。


 アリシアは5歳で教会に引き取られてから毎日魔力を引き出せるようになる為の訓練をさせられた。

 ある時は精神の集中のために一日中正座をして祈り、ある時は水の中に潜らされて息が詰まるまで頭を押さえ付けられた。

 また、ある時は高い位置に作られた細い棒の上を歩かされたり、逆立ちを一時間以上した事もあった。

 そんな苦行のおかげか13歳になる頃アリシアの力がやっと目覚めた。

 ひょっとしたら何もしなくてもその年齢がくれば魔力を使えるようになったのかも知れなかったが、教会関係者、いや、大司教は自慢げに自分の努力の賜物だと国王陛下に報告をしたらしい。

 そしてアリシアの後見となったロックフール公爵は喜んで養女の話を持って来た。

 そこからアリシアは聖女として教会から任命されてこの7年間毎日国の結界を維持し病人や怪我人の治癒をして国の平和を祈って来たのだ。

 それは教会関係者なら誰でも知っている事だった。

 だが、先日の王宮の夜会ではいつの間にかアリシアは偽物で本物の聖女はエリーシャだった事になっていた。

 そもそもアリシアが結界を張れるようになるまではどうしていたかと言うと、この国にも高位貴族たちには魔力が使えるものがいてその人達がいる騎士団が結界の維持をしていたと言われている。だが、それは数十人の魔力を使って何とか維持していたらしい。

 ちなみにエリオット殿下は風魔法が使える。結局の修復に同行した時に自慢げに皆んなの前で魔法を披露したのを見た。あまり大した魔力はないように思えた。他の騎士団員の魔力もアリシアが張っていた結界とは天と地ほどの差があるだろう。


 アリシアは思った。

 それでも自分を偽物として追放にすると言うのだからエリオット殿下のエリーシャへの愛は本物なのだろう。

 でも、はっきり言ってエリーシャが見せてくれたあの光魔法。あの魔力、陳皮としか言いようがないのでは?ほとんど飾り程度のあの力でどうやって結界を維持するつもりなのだろう?

 いや、そこは本物の愛があれば国の結界などどうにかなるのかも知れない。

 アリシアは追放されるひどく乗り心地の悪い馬車の中でそう思った。

 でも、考えれば今までいつも人のために生きて来た。自分だけの時間。自分の生活。そんなものは一切なかった。

 これからは何をするのも自由なのだ。

 でも、人に従うことしかなかったアリシアにはそれがひどく心細くもあった。












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