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異世界送魂師ヒルメ 〜葬儀社勤務だった私の送魂は、誰にも救えなかった魂を救っていく〜  作者: ケンボー


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62/66

守るべきもの

◇ ◇ ◇



ミラーク王国。



王都。



昼下がり。



大通りを。



一台の馬車が。



進んでいた。



黒い車体。



側面に。



刻まれた。



紋章。



帝国。



「……帝国?」



「なんで帝国の馬車が?」



「使者か?」



道行く民が。



足を止める。



馬車は。



その視線を。



気にすることなく。



真っ直ぐ。



王城へ。



向かっていった。



◇ ◇ ◇



ミラーク王城。



謁見の間。



国王。



レオン。



アリシア。



エルド。



重臣達。



騎士達。



その中央。



帝国から。



訪れた。



使者。



「帝国皇帝陛下より。」



「ミラーク国王陛下へ。」



使者が。



一通の。



書状を。



差し出す。



騎士が。



受け取り。



国王へ。



渡す。



「……。」



封を切る。



国王が。



読み進める。



そして。



表情が。



変わった。



「……何だ。」



「これは。」



「父上?」



レオンが。



書状を。



受け取る。



「……。」



レオンの。



表情も。



険しくなる。



書かれているのは。



要求。



ミラーク王国にいる。



少女。



ヒルメを。



帝国へ。



引き渡せ。



期限は。



三日。



要求に。



応じなければ。



帝国への。



敵対行為とみなし。



軍事行動を。



開始する。



「……ふざけるな。」



レオンが。



書状を。



握り締める。



「これは。」



「交渉でも。」



「要求でもない。」



「ただの脅迫ではないか!」



使者は。



表情一つ。



変えない。



「皇帝陛下の。」



「ご意思です。」



「ヒルメ嬢を。」



「帝国へ。」



「お引き渡しください。」



「そうすれば。」



「無用な争いは。」



「避けられましょう。」



「……無用な争い?」



アリシア。



その声に。



使者が。



顔を向ける。



「これは。」



「アリシア王女殿下。」



「お初に――」



「質問に答えなさい。」



「……。」



アリシアが。



使者を。



真っ直ぐ。



見据える。



「ヒルメ様を。」



「渡さなければ。」



「帝国は。」



「我が国へ。」



「攻め込むと?」



「そのように。」



「お考えいただいて。」



「結構です。」



「……。」



空気が。



変わる。



アリシアの。



周囲。



魔力が。



僅かに。



揺らぐ。



「アリシア。」



国王。



「……。」



アリシアが。



止まる。



使者は。



小さく。



頭を下げる。



「返答は。」



「三日以内に。」



「賢明な。」



「ご判断を。」



踵を返す。



「待て。」



レオン。



使者が。



振り返る。



「何故。」



「帝国は。」



「ヒルメを求める。」



「理由を聞かせろ。」



「……。」



使者が。



僅かに。



笑う。



「皇帝陛下が。」



「必要とされております。」



「理由としては。」



「それで十分かと。」



「貴様……!」



騎士達が。



剣へ。



手を伸ばす。



「やめろ。」



国王。



「使者に。」



「手を出すな。」



「……はっ。」



「では。」



使者が。



一礼。



「良き返答を。」



巨大な扉が。



閉じる。



沈黙。



そして。



「……ふざけるな!!」



レオンの。



怒声が。



謁見の間に。



響いた。



◇ ◇ ◇



その直後。



緊急会議が。



開かれた。



国王。



レオン。



アリシア。



エルド。



軍の上層部。



重臣達。



机の上。



広げられた。



大陸地図。



そこへ。



騎士が。



駆け込んでくる。



「報告!」



「帝国軍に。」



「大規模な移動を確認!」



「国境方面へ。」



「進軍を開始しております!」



「何!?」



国王が。



立ち上がる。



「返答まで。」



「三日ではなかったのか!」



「宣戦布告は。」



「まだありません。」



「しかし。」



「進路から見て。」



「目的地は。」



「間違いなく。」



「我がミラークかと。」



「……最初からか。」



レオンが。



拳を握る。



「最初から。」



「返答など。」



「待つつもりはなかった。」



「さらに。」



別の騎士が。



報告書を。



広げる。



「帝国軍には。」



「人族だけではなく。」



「獣人族。」



「そして。」



「霊獣族と思われる。」



「部隊も確認されています。」



「……。」



エルドの。



目が。



細くなる。



国王が。



問う。



「数は。」



「現在。」



「確認出来ているだけでも。」



「我が国の常備兵を。」



「大きく上回ります。」



「……。」



部屋が。



静まり返る。



「勝算は。」



国王。



軍の責任者が。



答えに。



詰まる。



「正直に申せ。」



「……現状の。」



「戦力差では。」



「厳しいかと。」



「……。」



「帝国軍だけでも。」



「我々を上回る。」



「そこへ。」



「獣人族。」



「霊獣族。」



「さらに。」



「別の勢力が。」



「加わる可能性もあります。」



重臣の。



一人が。



口を開く。



「陛下。」



「このまま戦えば。」



「国境だけでは済みません。」



「王都まで。」



「戦火が及ぶ可能性も。」



「分かっている。」



国王が。



低く答える。



別の。



重臣。



「……帝国が。」



「求めているのは。」



「ヒルメ嬢一人です。」



「……。」



レオンが。



睨む。



「何が言いたい。」



「私は。」



「引き渡せと。」



「申し上げているのではありません。」



「しかし。」



「王として。」



「何万。」



「何十万という。」



「民の命を。」



「考えなければならない。」



「……。」



誰も。



何も。



言えない。



ヒルメを。



渡したくない。



そんなことは。



全員。



同じ。



だが。



王国を。



背負う者には。



感情だけで。



決められない。



「……。」



国王が。



額に。



手を当てる。



レオンも。



地図を。



見つめる。



「父上。」



「ああ。」



「戦えば。」



「多くの民が。」



「死ぬ。」



「……。」



「だが。」



「ヒルメを。」



「差し出すなど……。」



二人とも。



答えを。



出せない。



その姿を。



アリシアが。



黙って。



見ていた。



「……。」



長い。



沈黙。



そして。



「……いつまで。」



小さな。



声。



全員が。



アリシアを見る。



「いつまで。」



「そのような話を。」



「続けるおつもりです?」



「アリシア。」



国王。



「これは。」



「国の存亡に。」



「関わる話だ。」



「だからこそ。」



アリシアが。



父を見る。



「決断が。」



「必要なのでしょう?」



「……。」



「ヒルメ様を。」



「差し出せば。」



「帝国が。」



「本当に帰ると。」



「お思いですか?」



「それは……。」



「帝国軍は。」



「既に動いています。」



「獣人族も。」



「霊獣族も。」



「取り込んでいる。」



「これだけの。」



「戦力を揃えて。」



「ヒルメ様お一人を。」



「受け取れば。」



「大人しく帰る?」



アリシアが。



首を。



横へ振る。



「あり得ません。」



「……。」



「奴らは。」



「最初から。」



「我が国を。」



「狙っています。」



国王も。



レオンも。



それは。



分かっている。



だからこそ。



苦しい。



アリシアが。



立ち上がる。



「……もう。」



「結構です。」



「アリシア?」



「どこへ行く。」



「答えを。」



「出しに。」



「待て。」



「まだ。」



「国としての結論は――」



アリシアが。



振り返る。



「でしたら。」



「早く。」



「お決めになってください。」



「お父様。」



「お兄様。」



「私は。」



「もう決めました。」



扉が。



閉じる。



「アリシア!」



レオンが。



立ち上がる。



国王が。



顔を。



引きつらせる。



「あいつ。」



「何をする気だ……。」



「ほっほ。」



エルド。



「エルド。」



「何がおかしい。」



「いや。」



エルドが。



立ち上がる。



「少し。」



「面白くなってきただけじゃ。」



◇ ◇ ◇



王城前。



巨大な広場。



帝国軍進軍の。



噂は。



既に。



王都へ。



広がっていた。



兵士。



騎士。



魔術師。



商人。



職人。



そして。



多くの民。



「戦争になるのか?」



「帝国と?」



「勝てるのかよ……。」



「子供達はどうなる……。」



不安。



恐怖。



ざわめき。



その時。



王城の。



大扉が。



開く。



一人の。



少女が。



姿を現した。



「……アリシア様?」



「王女殿下だ。」



アリシア。



誰にも。



声を掛けず。



階段を。



降りる。



そして。



広場を。



見渡せる。



高台へ。



立つ。



その後ろ。



慌てて。



国王。



レオン。



重臣達も。



出てくる。



「アリシア!」



「待て!」



だが。



アリシアは。



止まらない。



広場を。



見渡す。



そして。



口を開いた。



「ミラークの民よ。」



ざわめきが。



消えていく。



「帝国より。」



「我が国へ。」



「要求がありました。」



「我が国で。」



「暮らす。」



「一人の少女を。」



「帝国へ。」



「差し出せと。」



ざわっ。



「その名は。」



「ヒルメ。」



「拒めば。」



「帝国は。」



「我が国へ。」



「兵を向けるそうです。」



不安。



恐怖。



広場へ。



広がる。



アリシアは。



その全てを。



見渡す。



「怖いですか?」



「……。」



「帝国が。」



「恐ろしいですか?」



誰も。



答えない。



「私は。」



「恐ろしくなどありません。」



アリシアが。



一歩。



前へ。



「何故なら。」



「私は。」



「知っているからです。」



「この国が。」



「強いことを。」



「そして。」



「この国に生きる。」



「貴方達が。」



「決して。」



「弱くなどないことを!!」



兵士達が。



顔を上げる。



「騎士達よ!!」



アリシアの。



声が。



響く。



「その手に。」



「握る剣は!!」



「何のために。」



「あるのです!!」



「腰に飾るためですか!」



「己の地位を。」



「示すためですか!」



「王に。」



「見せるためだけの。」



「飾りですか!!」



「――否!!」



ビリッ。



空気が。



震える。



「その剣は!!」



「ミラークを。」



「守るための剣!!」



「家族を!!」



「友を!!」



「隣に立つ。」



「仲間を!!」



「守るための。」



「力です!!」



騎士達の。



手に。



力が入る。



「魔術師達よ!!」



今度は。



杖を持つ。



者達へ。



「貴方達の。」



「使える魔法は!!」



「生活を。」



「便利にするだけの。」



「ものですか!!」



「己の才能を。」



「誇るためだけの。」



「ものですか!!」



「――否!!」



「炎も!!」



「水も!!」



「風も!!」



「大地も!!」



「人を癒す。」



「その力も!!」



「全て!!」



「ミラークを。」



「守る力!!」



「大切な仲間を。」



「守る力です!!」



一つ。



杖が。



上がる。



そして。



また一つ。



「ミラークの民よ!!」



アリシアが。



全ての。



民を見る。



「帝国は。」



「我々へ。」



「言いました。」



「ヒルメ様を。」



「差し出せと!!」



一拍。



「――ふざけるな。」



静寂。



国王が。



目を見開く。



レオンも。



妹を見る。



「ヒルメ様は。」



「物ではない!!」



「帝国が。」



「欲しいと言えば。」



「差し出すような。」



「物ではない!!」



「ヒルメ様は。」



「この国で笑い。」



「この国で学び。」



「この国で友を作り。」



「私達と。」



「共に生きている!!」



「ならば!!」



「ヒルメ様も!!」



「我らと同じ!!」



「ミラークの民です!!」



ざわっ!!



「帝国が。」



「我が国の民を。」



「一人。」



「差し出せと言うのなら!!」



「私は。」



「こう答えます!!」



アリシアが。



腕を。



振り上げる。



「――断る!!」



『ウォッ!!』



兵士達から。



声が上がる。



「ヒルメ様は。」



「渡しません!!」



「いいえ!!」



「ヒルメ様だけではありません!!」



「我が国の民は!!」



「ただの一人も!!」



「帝国になど。」



「渡しません!!」



『ウォォォォォォッ!!』



声が。



大きくなる。



「今日!!」



「ヒルメ様を。」



「差し出したなら!!」



「明日は誰です!!」



「十人なら!!」



「百人なら!!」



「貴方の友なら!!」



「貴方の家族なら!!」



「帝国に。」



「要求されるたび!!」



「我々は。」



「大切な仲間を。」



「差し出すのですか!!」



『違う!!』



誰かが。



叫ぶ。



「そうです!!」



「違う!!」



「そのようなものを!!」



「国とは呼びません!!」



アリシアの。



声が。



さらに。



強くなる。



「国とは!!」



「そこに生きる!!」



「民があってこそ!!」



「守るべきは。」



「土地ではない!!」



「城ではない!!」



「王冠でもない!!」



「ここに生きる!!」



「一人一人です!!」



国王が。



息を呑む。



レオンも。



何も。



言えない。



「立ち上がれ!!」



アリシアが。



腕を。



振り上げる。



「ミラークの民よ!!」



「剣を取れ!!」



ガシャァァァン!!



騎士達が。



一斉に。



剣を抜く。



「杖を取れ!!」



魔術師達が。



杖を掲げる。



「守るのです!!」



「国を!!」



「家族を!!」



「友を!!」



「仲間を!!」



「帝国が。」



「十万で来るのなら!!」



「十万を退ければよい!!」



「百万で来るのなら!!」



「百万を退ければよい!!」



「我らの。」



「大切なものを。」



「奪うために!!」



「この国へ。」



「一歩でも。」



「踏み込むというのなら!!」



ゴォォォォォォッ!!!



膨大な。



魔力。



アリシアから。



溢れ出す。



風が。



吹き荒れる。



大地が。



震える。



兵士達が。



息を呑む。



ミラーク王国。



最高戦力。



この国。



最強の魔術師。



第一王女。



アリシア。



「恐れるな!!」



「貴方達の。」



「先頭には!!」



一拍。



「――私がいる!!」



『……!!』



「帝国が。」



「どれほど強大であろうと!!」



「どれほど。」



「多くの兵を。」



「揃えようと!!」



「私が!!」



「道を切り開きます!!」



「ですから!!」



「顔を上げなさい!!」



「胸を張りなさい!!」



「我々は。」



「奪うのではない!!」



「侵略するのでもない!!」



「ただ!!」



「守るのです!!」



「我らの国を!!」



「我らの民を!!」



「我らの仲間を!!」



アリシアが。



帝国の。



方角を。



見据える。



「ミラークの民よ!!」



「私に!!」



「ついてきなさい!!」



一瞬。



静寂。



直後。



『ウォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!』



地響き。



剣。



杖。



拳。



一斉に。



掲げられる。



『アリシア様!!』



『アリシア様!!』



『ミラークを守れ!!』



『仲間を守れ!!』



『ヒルメを渡すな!!』



巨大な。



歓声。



帝国の。



熱狂とは。



違う。



魔道具に。



植え付けられた。



感情ではない。



誰かに。



作られた。



憎しみでもない。



国を。



家族を。



友を。



仲間を。



守りたい。



その意思から。



生まれた。



声だった。



◇ ◇ ◇



「……。」



国王が。



娘を。



見ている。



レオンも。



同じ。



エルドが。



腕を組む。



そして。



小さく。



笑った。



「見事。」



「……。」



「あれが。」



「ミラークの。」



「第一王女じゃ。」



「器が。」



「違うのう。」



◇ ◇ ◇



アリシアが。



振り返る。



国王。



レオン。



二人を。



真っ直ぐ。



見る。



「お父様。」



「お兄様。」



「私は。」



「決断しました。」



「次は。」



「お二人です。」



一歩。



近付く。



「民を。」



「守るのですか。」



「それとも。」



「帝国に怯え。」



「大切な民を。」



「差し出すのですか。」



「……。」



「――決断を。」



「なさい。」



長い。



沈黙。



レオンが。



目を閉じる。



そして。



笑った。



「……参ったな。」



「レオン?」



「父上。」



レオンが。



妹を見る。



「どうやら。」



「我々は。」



「随分と。」



「情けない姿を。」



「見せてしまったらしい。」



「……。」



国王も。



アリシアを見る。



かつて。



病に伏せ。



人との関わりすら。



避けていた。



娘。



その娘が。



今。



何千もの。



民を。



奮い立たせた。



「……まったく。」



国王が。



苦笑する。



「誰に似たのだ。」



「少なくとも。」



レオンも。



笑う。



「今の我々では。」



「なさそうですね。」



「言ってくれる。」



国王が。



剣を抜く。



「全軍へ!!」



「通達せよ!!」



「帝国の要求を!!」



「拒否する!!」



「我がミラークは!!」



「我が国の民を!!」



「誰一人として!!」



「帝国へ。」



「差し出さない!!」



「全軍!!」



「迎撃準備に入れ!!」



『はっ!!』



レオンも。



前へ。



出る。



「国境の全部隊へ。」



「民の避難を最優先。」



「無理に敵を。」



「押し返す必要はない。」



「時間を稼げ。」



「王都より。」



「援軍を送る!!」



『はっ!!』



アリシアが。



二人を見る。



そして。



ようやく。



笑う。



「それでこそ。」



「お父様。」



「お兄様です。」



「お前が言うのか……。」



レオンが。



苦笑した。



◇ ◇ ◇



その日の。



夕方。



学院。



「すごいね……。」



ミアが。



窓の外を。



見ている。



王都では。



既に。



戦いへの。



準備が。



始まっていた。



武器を。



運ぶ兵士。



魔道具を。



点検する。



魔術師。



食料。



治療用品。



次々と。



運ばれていく。



「本当に。」



「戦争になるんだね。」



リナが。



呟く。



「うん……。」



ヒルメも。



窓の外を。



見ていた。



「……。」



ミアが。



そんな。



ヒルメを見る。



「ヒルメ。」



「ん?」



「変なこと。」



「考えてない?」



「変なこと?」



「自分のせいだとか。」



「そういうの。」



「……。」



ヒルメが。



目を逸らす。



「あ。」



ミアが。



指を差す。



「今。」



「目逸らした。」



「逸らしてないよ。」



「逸らした。」



「逸らしてないって。」



「絶対逸らした。」



リナが。



くすっと。



笑う。



「逸らしてたね。」



「リナまで!」



「二対一。」



ミアが。



笑う。



「私達の勝ち。」



「何の勝負なの。」



ヒルメも。



少し。



笑う。



「でも。」



ミアが。



ヒルメを見る。



「本当に。」



「ヒルメのせいじゃないからね。」



「帝国が。」



「勝手に。」



「ヒルメを欲しがって。」



「勝手に。」



「攻めてきてるだけ。」



リナも。



頷く。



「悪いのは。」



「帝国だよ。」



「……。」



ヒルメが。



二人を見る。



「うん。」



「分かってる。」



ミアが。



少し。



疑うように。



見る。



「本当に?」



「本当だって。」



「ならいいけど。」



「もう。」



「心配しすぎ。」



「するよ。」



ミアが。



即答。



「友達なんだから。」



リナも。



笑う。



「そうだよ。」



「一人で。」



「何かしようとしたら。」



「怒るからね。」



「二人とも。」



「怖いなぁ。」



「ワウ!」



シロが。



ヒルメの。



足元から。



鳴く。



「シロまで?」



「ワウ♪」



「もう。」



三人の。



笑い声。



いつもと。



同じ。



だけど。



ヒルメは。



窓の外へ。



もう一度。



目を向けた。



◇ ◇ ◇



夜。



王都。



戦争への。



準備は。



まだ。



続いていた。



ヒルメ。



シロ。



二人で。



歩いている。



「……。」



少し。



先。



一人の。



兵士。



その兵士へ。



小さな子供が。



抱きついていた。



「お父さん。」



「行っちゃうの?」



「……大丈夫だ。」



父親が。



しゃがみ。



子供の。



頭を撫でる。



「すぐ帰ってくる。」



「本当?」



「ああ。」



「約束する。」



隣では。



妻が。



泣くのを。



堪えている。



「……。」



ヒルメが。



足を止める。



シロも。



止まる。



「……シロ。」



「ワウ。」



「ミアとリナに。」



「怒られちゃったね。」



「ワウ。」



「私のせいじゃないって。」



ヒルメが。



少し。



笑う。



「アリシアも。」



「私もミラークの民だって。」



「言ってくれた。」



「王様も。」



「レオンも。」



「みんな。」



「私を守るって。」



「……。」



ヒルメが。



兵士の。



家族を見る。



「嬉しかった。」



「すごく。」



「嬉しかったよ。」



シロが。



ヒルメを。



見上げる。



「でも……。」



「私が。」



「帝国に行ったら。」



「この人達。」



「戦わなくて済むのかな。」



「ワウ……。」



「分かってるよ。」



ヒルメが。



しゃがむ。



シロの。



頭を撫でる。



「ミアに。」



「怒られるよね。」



「リナにも。」



「アリシアにも。」



「……。」



「でも。」



ヒルメが。



もう一度。



家族を見る。



「誰かが。」



「死ぬのは嫌だよ。」



「私のために。」



「誰かが死ぬのは。」



「もっと嫌。」



帝国は。



最初から。



ヒルメだけを。



求めているわけではない。



ミラークを。



落とすことも。



最初から。



決めている。



そして。



その先。



国境の。



向こう。



既に。



無数の。



帝国兵が。



ミラークへ。



向け。



進軍を。



続けていた。



◇ ◇ ◇

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