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異世界送魂師ヒルメ 〜葬儀社勤務だった私の送魂は、誰にも救えなかった魂を救っていく〜  作者: ケンボー


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58/66

神器ヴェルディア

◇ ◇ ◇



世界樹の最深部。



『――始めよ。』



ドン!!



シロが。



消えた。



「――っ!」



次の瞬間。



真横。



鋭い爪。



「速っ――!」



ガキィィン!!



剣と。



爪。



激突。



「くっ!」



重い。



速い。



アリアナが。



剣を。



振る。



だが。



シロは。



既に。



そこにいない。



「後ろか!」



振り返る。



シロ。



飛びかかる。



「《シルフィード》!」



翠色の風。



剣へ。



纏わせる。



一閃。



だが。



シロは。



空中で。



身体を捻る。



紙一重。



避ける。



着地。



そのまま。



再び。



突進。



「相変わらず。」



「滅茶苦茶な。」


「動きをするな!」



剣を。



構える。



その時。



シロの身体が。



淡く。



輝いた。



「……?」



速さ。



さらに。



上がる。



「なっ――!」



ドン!!



「ぐっ!」



爪を。



剣で。



受ける。



身体が。



大きく。



後ろへ。



押される。



「今のは……。」



視線。



シロではない。



後方。



フェネクス。



杖を。



向けている。



「……。」



アリアナが。



顔を。



しかめる。



「そうだった。」



「お前は。」


「それが出来るんだったな。」



身体強化。



フェネクスが。



シロを。



支援している。



シロ。



攻撃。



フェネクス。



支援。



なら。



ヒルメは。



「……。」



さらに。



後方。



杖を。



構えたまま。



動かない。



攻撃する。



様子もない。



「何を――」



考える暇は。



なかった。



シロ。



再び。



突進。



「っ!」



ガキン!



ガキィン!



ガァン!!



爪。



牙。



身体。



全てを。



使って。



攻めてくる。



「くっ……!」



速い。



強化されている。



以前。



一緒に。



旅をしていた時より。



厄介に。



感じる。



いや。



違う。



「……。」



アリアナが。



シロの攻撃を。



受け流す。



「そういうことか。」



以前は。



シロが。



こちらを。



攻撃することなど。



なかった。



いつも。



同じ方向を。



向いて。



戦っていた。



だから。



気付かなかった。



「敵に回すと……。」



シロが。



消える。



「――!」



背後。



アリアナが。



振り返る。



ガキィン!!



「本当に。」


「やりにくいな!」



◇ ◇ ◇



アリアナが。



距離を。



取る。



「はぁ……。」



「はぁ……。」



三人を見る。



シロ。



前。



フェネクス。



後方。



ヒルメ。



さらに。



その後ろ。



「……。」



アリアナが。



考える。



シロは。



フェネクスによって。



強化されている。



なら。



先に。



支援役。



「フェネクス。」



アリアナが。



地面を。



蹴る。



「お前からだ!」



シロを。



避ける。



一気に。



フェネクスへ。



距離を。



詰める。



フェネクスは。



動かない。



杖を。



構える。



「もらった!」



剣。



振り下ろす。



その瞬間。



ヒルメ。



杖が。



僅かに。



動いた。



「――!」



ガァァァン!!



剣が。



止まる。



「なっ……。」



フェネクスの。



目の前。



透明な。



壁。



いや。



知っている。



「《ガーディアン・プリズン》……。」



アリアナが。



目を。



見開く。



直後。



背後。



「っ!」



シロ。



ドン!!



「ぐっ!」



アリアナが。



吹き飛ぶ。



床。



転がる。



すぐに。



立ち上がる。



「……。」



ヒルメを見る。



ヒルメは。



動かない。



追撃も。



しない。



ただ。



杖を。



構えている。



「なるほど。」



アリアナが。



理解する。



「お前は。」


「守るのか。」



◇ ◇ ◇



なら。



ヒルメから。



落とす。



アリアナが。



方向を。



変える。



「《シルフィード》!」



風。



身体を。



包む。



シロの。



横。



一気に。



抜ける。



ヒルメへ。



一直線。



「今度は。」


「お前だ!」



剣を。



振る。



ガァァァン!!



「……っ!」



また。



結界。



ヒルメ自身を。



包んでいる。



「硬い……!」



その背後。



フェネクス。



杖。



光。



「――!」



シロ。



身体。



さらに。



強化。



「まずい!」



振り返る。



遅い。



ドォン!!



「ぐっ!」



吹き飛ぶ。



「……っ。」



アリアナが。



床へ。



剣を。



突く。



止まる。



「はぁ……。」



「はぁ……。」



三人。



誰も。



喋らない。



ただ。



役割を。



果たしている。



ヒルメが。



守る。



フェネクスが。



支える。



シロが。



攻める。



「……。」



アリアナの。



頬を。



冷や汗が。



伝う。



「こんなに。」



「完成された。」


「組み合わせだったのか……。」



旅を。



していた時。



考えたことなど。



なかった。



自然に。



そうなっていた。



ヒルメは。



誰かが。



傷つかないように。



守った。



フェネクスは。



仲間が。



戦えるように。



支えた。



シロは。



誰よりも。



前へ出て。



敵へ。



飛び込んだ。



「……。」



アリアナが。



苦笑する。



「一緒にいた時には。」


「気付かなかったな。」



◇ ◇ ◇



再び。



アリアナが。



走る。



シロ。



飛び込む。



避ける。



剣。



一閃。



ズバッ!



「――!」



初めて。



入った。



シロの。



身体へ。



傷。



「よし!」



だが。



直後。



淡い。



光。



フェネクス。



シロの。



傷が。



塞がる。



「……。」



アリアナが。



固まる。



「おい。」



もう一度。



シロへ。



斬撃。



当たる。



傷。



フェネクス。



光。



治る。



「……。」



アリアナの。



眉が。



ぴくりと。



動く。



「待て。」



フェネクスへ。



向かう。



ガァァァン!!



ヒルメ。



結界。



「……。」



ヒルメへ。



向かう。



ガァァァン!!



結界。



その間に。



シロ。



攻撃。



避ける。



シロへ。



反撃。



フェネクス。



回復。



「……。」



アリアナが。



三人を見る。



「どうしろと。」


「いうんだ!!」



当然。



返事は。



ない。



「分かっている!」



シロが。



飛び込む。



「お前たちに。」


「言っているわけではない!」



剣で。



受ける。



ガキィィン!!



◇ ◇ ◇



戦いは。



続く。



アリアナの。



傷。



増える。



だが。



三人は。



ほぼ。



無傷。



ダメージを。



与えても。



フェネクス。



狙えば。



ヒルメ。



そして。



考えている間にも。



シロ。



「っ!」



爪。



頬。



掠める。



血。



アリアナが。



距離を。



取る。



「……。」



三人を見る。



「焦るな。」



自分へ。



言い聞かせる。



「見ろ。」



シロ。



フェネクス。



ヒルメ。



「何か。」


「あるはずだ。」



シロが。



走る。



アリアナも。



走る。



攻撃。



避ける。



反撃は。



しない。



見る。



フェネクス。



シロへ。



強化。



ヒルメ。



動かない。



シロ。



再び。



攻撃。



「……。」



アリアナが。



少しずつ。



移動する。



ヒルメへ。



近付く。



シロは。



構わず。



追ってくる。



「……そうか。」



アリアナの。



目が。



細くなる。



「なら。」



さらに。



ヒルメへ。



近付く。



シロ。



飛びかかる。



「もう少し。」



爪。



迫る。



「まだ。」



アリアナ。



動かない。



ヒルメ。



すぐ。



後ろ。



「まだ……!」



シロの。



爪が。



目の前。



「今だ!」



風。



爆発。



ブワァァァッ!!



アリアナが。



真横へ。



消える。



シロの。



攻撃。



そのまま。



ヒルメへ。



向かう。



瞬間。



ガァァァン!!



結界。



ヒルメが。



自分を。



守る。



「そこだ!!」



アリアナが。



地面を。



蹴る。



狙いは。



ヒルメではない。



フェネクス。



ヒルメと。



距離が。



離れている。



フェネクスが。



杖を。



構える。



だが。



遅い。



「ようやく。」


「捕まえたぞ!」



剣。



一閃。



フェネクスの。



身体が。



大きく。



揺れる。



さらに。



二撃。



「《シルフィード》!!」



ズバァァァン!!



「――!」



フェネクスが。



吹き飛ぶ。



そして。



パァァァ……。



光。



消える。



「はぁ……。」



アリアナが。



振り返る。



「一人。」



◇ ◇ ◇



シロ。



ヒルメ。



二体。



だが。



フェネクスが。



消えた。



もう。



回復は。



ない。



「なら。」



アリアナが。



剣を。



構える。



「次は。」


「お前だ。」



シロ。



身を。



低くする。



身体強化は。



まだ。



残っている。



「……最後まで。」


「面倒を残してくれたな。」



シロ。



消える。



アリアナも。



消える。



ドン!!



中央。



激突。



ガキィン!!



「くっ!」



離れる。



また。



激突。



ガキン!



ガキィン!!



速さ。



速さ。



シロが。



右。



アリアナ。



追う。



爪。



避ける。



剣。



避けられる。



「……。」



アリアナが。



笑う。



「そういえば。」



シロが。



突進。



「お前とは。」


「こんなふうに。」


「本気で。」


「やり合ったことは。」


「なかったな!」



風。



さらに。



強く。



アリアナの。



速度が。



上がる。



シロ。



横。



「見える!」



剣。



シロが。



避ける。



だが。



その先。



「そっちへ。」


「逃げるのも。」


「知っている!」



身体を。



回す。



二撃目。



ズバッ!!



シロの。



身体へ。



入る。



「まだだ!」



シロが。



着地するより。



先。



踏み込む。



「風を司る精霊よ。」



翠色の。



風。



剣へ。



集まる。



「我が剣へ集いて。」



シロが。



再び。



地面を。



蹴る。



正面。



「全てを断つ。」



シロ。



爪。



アリアナ。



剣。



「疾風となれ!」



激突。



「《シルフィード》!!」



ドォォォォン!!



翠色の。



風。



シロの。



身体を。



包む。



「くっ……!」



アリアナも。



押される。



それでも。



踏み込む。



「はぁぁぁぁっ!!」



振り抜く。



ズバァァァン!!



シロが。



吹き飛ぶ。



床へ。



落ちる。



「……。」



一瞬。



動かない。



そして。



パァァァ……。



光へ。



変わる。



消えた。



「……二人。」



◇ ◇ ◇



残る。



ヒルメ。



「……。」



アリアナが。



向き直る。



ヒルメ。



杖を。



構えている。



だが。



攻撃は。



してこない。



「最後は。」


「お前か。」



アリアナが。



歩く。



ヒルメの。



前。



剣を。



構える。



「悪いが。」



「これで。」


「終わりだ。」



踏み込む。



一閃。



ガァァァァン!!



「……。」



止まる。



透明な。



結界。



「……やはり。」



アリアナが。



剣を。



引く。



「硬いな。」



もう一度。



「《シルフィード》!」



ドォォォン!!



風。



爆発。



結界。



無傷。



「……。」



アリアナが。



目を。



細める。



さらに。



一撃。



ガァァン!!



二撃。



ドォン!!



三撃。



ドォォォン!!



「……嘘だろ。」



傷。



一つ。



つかない。



ヒルメは。



何も。



しない。



ただ。



結界の。



中から。



こちらを。



見ている。



「……。」



アリアナが。



剣を。



下ろす。



思い出す。



何度も。



見た。



光景。



魔物。



攻撃。



炎。



魔法。



そのたび。



ヒルメは。



これを。



張った。



自分たちの。



前に。



「お前……。」



アリアナが。



結界へ。



触れる。



「こんなものを。」



「ずっと。」


「私たちの前に。」


「張っていたのか。」



返事は。



ない。



「……。」



アリアナが。



小さく。



笑う。



「そうか。」



「私は。」


「随分と。」


「守られていたんだな。」



一歩。



下がる。



剣。



構える。



「だが。」



翠色の。



風。



集まる。



「ここで。」


「終わるわけには。」


「いかない。」



◇ ◇ ◇



風。



強く。



なる。



これまで。



何度も。



使った。



《シルフィード》。



風を。



剣へ。



纏わせ。



威力を。



高める。



だが。



それでは。



破れない。



「広げるから。」


「駄目なのか……?」



アリアナが。



剣を見る。



風。



刃。



全体。



ではなく。



「……一点。」



アリアナが。



目を閉じる。



風を。



集める。



剣へ。



さらに。



剣先へ。



「……っ。」



難しい。



風が。



暴れる。



逃げる。



「違う。」



もう一度。



集中。



「もっと。」



風。



細く。



鋭く。



「もっと。」



一点。



ただ。



一点。



剣先へ。



「……。」



目を。



開く。



剣先。



小さな。



翠色の光。



先ほどまでの。



派手な風は。



ない。



「これなら。」



踏み込む。



剣。



突き。



ガキィィン!!



結界。



「くっ……!」



止まる。



だが。



「……!」



ピシッ。



小さな。



音。



アリアナの。



目が。



見開かれる。



結界。



一点。



小さな。



ヒビ。



「……傷が。」



初めて。



ついた。



「いける。」



アリアナが。



剣を。



引く。



「これなら。」


「届く!」



全身。



魔力。



剣へ。



流す。



「風を司る精霊よ。」



風。



集まる。



「我が剣へ集いて。」



さらに。



一点。



「全てを断つ。」



剣先。



翠色の。



光。



「一条の。」



「疾風となれ――!」



アリアナが。



地面を。



蹴る。



「《シルフィード》!!」



ドン!!



剣先。



結界。



激突。



ガァァァァァン!!



「ぐっ……!」



止まる。



アリアナの。



腕。



震える。



「まだ……!」



ヒビ。



広がる。



ピシッ。



ピシピシッ。



「まだだ!!」



魔力。



全て。



注ぎ込む。



バキィィィン!!



「――!」



結界。



砕ける。



剣先が。



通る。



その先。



ヒルメ。



「はぁぁぁぁぁっ!!」



一閃。



ズバァァァン!!



「……。」



ヒルメの。



身体が。



止まる。



そして。



静かに。



光へ。



変わっていく。



「……。」



アリアナが。



剣を。



下ろす。



ヒルメ。



シロ。



フェネクス。



三人。



全て。



消えた。



「はぁ……。」



「はぁ……。」



アリアナが。



その場へ。



座り込む。



「……強かった。」



天井を。



見上げる。



「いや。」



少し。



笑う。



「知っていたか。」



自分は。



ずっと。



あの三人と。



一緒に。



旅をしていたのだから。



◇ ◇ ◇



静寂。



世界樹は。



何も。



語らない。



「……。」



アリアナが。



立ち上がる。



「終わったのか?」



返事は。



ない。



その時。



ゴゴゴゴゴ……。



巨大な。



世界樹の根。



動く。



ゆっくり。



左右へ。



開いていく。



「……。」



その奥。



暗闇。



そして。



中央。



一本の。



剣。



「……剣?」



古びては。



いない。



だが。



新しくも。



見えない。



いつから。



そこに。



存在しているのか。



分からない。



淡い。



翠色。



細身の。



美しい剣。



柄には。



見たこともない。



紋様。



「……。」



アリアナが。



ゆっくり。



近付く。



世界樹は。



何も。



言わない。



剣も。



何も。



起こさない。



「これを。」



「私に。」



返事。



なし。



「……本当に。」


「何も教えてくれないんだな。」



アリアナが。



苦笑する。



剣の。



前へ。



立つ。



手を。



伸ばす。



柄。



触れる。



その瞬間。



ドクン。



「――っ!?」



アリアナの。



身体が。



震える。



頭の中。



何かが。



流れ込む。



記憶ではない。



言葉でも。



ない。



声も。



聞こえない。



なのに。



分かる。



目の前の。



剣。



いや。



自分が。



今。



握っている。



存在。



これは。



ただの。



剣ではない。



「……神器。」



アリアナの。



口から。



自然に。



言葉が。



漏れる。



そして。



もう一つ。



知っている。



知らなかった。



はずなのに。



知っている。



その名。



「……。」



アリアナが。



剣を。



見つめる。



「ヴェルディア……。」



ヴゥン……。



剣が。



微かに。



震えた。



「……!」



アリアナの。



目が。



見開かれる。



風。



どこからともなく。



吹く。



アリアナの。



髪を。



優しく。



揺らす。



「今のは……。」



剣を。



見つめる。



不思議な。



感覚。



言葉は。



聞こえない。



それなのに。



何かが。



伝わった。



「……。」



アリアナが。



柄を。



握り直す。



剣が。



再び。



僅かに。



震える。



「お前。」



少し。



間。



「意思が。」


「あるのか……?」



答えは。



ない。



だが。



アリアナには。



何故か。



分かった。



「……そうか。」



静かに。



笑う。



「私を。」


「選んでくれたのか。」



ヴェルディアが。



淡い。



翠色の光を。



放つ。



それだけ。



だが。



十分だった。



「なら。」



アリアナが。



神器。



《ヴェルディア》を。



構える。



「これから。」


「よろしく頼む。」



その瞬間。



ゴォォォォォッ!!



「なっ!?」



凄まじい。



風。



最深部。



全体へ。



吹き荒れる。



だが。



アリアナの。



身体には。



不思議と。



優しい。



「……。」



アリアナが。



目を。



見開く。



分かる。



今まで。



使っていた。



剣とは。



違う。



まるで。



自分の。



腕。



そのもの。



いや。



それ以上。



「……すごい。」



思わず。



言葉が。



漏れる。



そして。



アリアナが。



笑った。



「ヒルメ。」



神器を。



見つめる。



「今度こそ。」



「少しくらいは。」


「驚かせられそうだ。」



世界樹の。



葉が。



遥か。



頭上で。



静かに。



揺れた。



◇ ◇ ◇

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