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異世界送魂師ヒルメ 〜葬儀社勤務だった私の送魂は、誰にも救えなかった魂を救っていく〜  作者: ケンボー


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51/66

覚醒

◇ ◇ ◇



セレスティアの魔力が。


弾けた。



ドォン!!



「っ!?」


空気が。


震える。


ヒルメが。


反射的に杖を構えた。


「《ガーディアン・プリズン》!」


ガァン!!


三人の正面。


光壁。


だが。


「違う!」


リナが叫ぶ。


「上!」


「え?」


見上げる。


無数の氷槍。


「《アイス・レイン》。」


降る。


「ヒルメ!」


「うん!」


杖を。


上へ。


「《ガーディアン・プリズン》!」


ガァァン!!


巨大な光壁。


ガガガガガガガガッ!!


氷槍が。


次々と。


叩きつけられる。


「……っ!」


ヒルメが。


杖を握る。


「ミア!」


「うん!」


リナと。


ミア。


同時に。


左右へ飛び出した。


「《ファイア・ボール》!」


「《ウィンド・ランス》!」


炎。


風。


左右から。


セレスティアへ。


「……。」


セレスティアが。


杖を振る。


「《アクア・ウォール》。」


ザァァァン!!


炎。


消える。


そのまま。


もう一度。


杖。


「《エア・バースト》。」


ドン!!


風槍。


弾ける。


「くっ!」


ミアが。


着地する。


「まだ!」


リナ。


走る。


「《ファイア・ボール》!」


もう一発。


「遅いですわ。」


水弾。


バシュッ!!


炎。


消える。


「……っ。」


リナが。


歯を食いしばる。


強い。


分かっていた。


だが。


ここまでとは。


「リナ!」


ヒルメの声。


「右!」


「!」


雷。


「《ライトニング・ボルト》。」


バチィィィッ!!


ガァン!!


リナの前。


光壁。


「ありがとう!」


「うん!」


「ミア!」


「行く!」


ミアが。


地面を蹴る。


風を纏う。


一気に。


距離を詰める。


「《ウィンド・ショット》!」


至近距離。


「……。」


セレスティアが。


身体を傾ける。


風。


頬を掠める。


「!」


ミアの目が。


見開かれる。


避けた。


その距離で。


「近付きすぎですわ。」


「え?」


杖。


ミアの腹部へ。


「《エア・バースト》。」


ドンッ!!


「きゃあっ!!」


「ミア!」


ミアの身体が。


吹き飛ぶ。


ゴロゴロッ!!


「……っ!」


地面を転がる。


「ミア!」


リナが。


駆け出そうとする。


「大丈夫!」


ミアが。


片膝をつきながら。


叫ぶ。


「まだいける!」


「……。」


セレスティアが。


その姿を見る。


そして。


視線を。


リナへ。


「……。」


一瞬。


何かを考えるように。


目を細めた。



◇ ◇ ◇



「ヒルメ。」


リナが。


小さく呼ぶ。


「何?」


「このままじゃ駄目。」


「……うん。」


「三人で。」


セレスティアを見る。


「同時に行く。」


「分かった。」


「ミア。」


「いける。」


ミアが。


立ち上がる。


「やろう。」


三人。


散る。


ヒルメ。


正面。


リナ。


左。


ミア。


右。


「行くわよ!」


リナが。


杖を振る。


「《ファイア・ボール》!」


炎。


「《ウィンド・ランス》!」


風。


セレスティアへ。


同時。


「《アクア・ウォール》!」


水壁。


炎を。


防ぐ。


「今!」


ヒルメ。


「《セイクリッド・レイ》!」


シュン!!


光。


水壁を抜ける。


「!」


セレスティアが。


横へ飛ぶ。


光。


僅かに。


肩を掠める。


「……。」


着地。


「ミア!」


「うん!」


すでに。


背後。


「《ウィンド・ショット》!」


「っ。」


セレスティア。


杖を振る。


「《アース・ウォール》。」


ゴゴッ!!


岩壁。


風。


防ぐ。


その瞬間。


「そこ!」


リナ。


死角。


「《ファイア・ボール》!」


ボンッ!!


「……!」


ドォン!!


爆発。


「当たった!」


ミアが叫ぶ。


煙。


三人が。


構える。


「……。」


煙の向こう。


人影。


「……。」


セレスティア。


立っている。


制服の袖。


僅かに。


焦げていた。


「……。」


リナが。


息を吐く。


「いける。」


「うん!」


ヒルメが。


笑う。


「三人なら――」


その時。


セレスティアが。


杖を上げた。


「《ライトニング・ボルト》。」


「!」


狙い。


ミア。


「ミア!」


ガァン!!


ヒルメ。


防ぐ。


「ありがとう!」


「……。」


セレスティアが。


また。


杖を動かす。


「《アイス・ランス》。」


「!」


また。


ミア。


「《ガーディアン・プリズン》!」


ガキィン!!


防ぐ。


「……。」


リナが。


眉を寄せる。


「ミアばっかり……?」


「え?」


セレスティア。


もう一度。


「《アース・バレット》。」


ドドドドッ!!


「きゃっ!」


ミアが。


走る。


「ミア!」


ヒルメが。


小さな光壁を。


次々と。


軌道上へ出す。


ガン!


ガン!


ガン!


岩弾。


弾く。


「……。」


リナが。


セレスティアを見る。


その目。


こちらを。


見ている。


「……まさか。」


リナが。


呟いた。



◇ ◇ ◇



「ヒルメ!」


リナが叫ぶ。


「ミアから離れて!」


「え?」


「早く!」


だが。


遅い。


「《ライトニング・ボルト》。」


雷。


今度は。


ヒルメ。


「!」


ガァン!!


自分の前。


結界。


防ぐ。


「《アイス・ランス》。」


「え?」


別方向。


「ヒルメ!」


ガン!!


二枚目。


「《アース・バレット》。」


「っ!」


三枚目。


ガガガン!!


「ちょっと……!」


ヒルメが。


後ろへ下がる。


「何で急に私ばっかり!」


「ヒルメ!」


リナが。


駆け寄ろうとする。


その前。


ドォン!!


炎。


地面へ。


「っ!」


リナの足が。


止まる。


「邪魔……!」


セレスティアが。


リナを見る。


「……。」


何も言わない。


ただ。


僅かに。


笑った。


「……っ。」


リナの顔が。


変わる。


分かった。


「こいつ……。」


自分を。


狙っていない。


わざと。


ヒルメと。


ミアを。


「やめなさい。」


セレスティアは。


答えない。


杖。


今度は。


ミア。


「《アイス・ランス》。」


「ミア!」


「分かってる!」


避ける。


一本。


二本。


三本。


「くっ!」


四本目。


肩。


掠める。


ブゥン!


保護術式。


光る。


「……っ!」


「ミア!」


「来ないで!」


ミアが叫ぶ。


「リナは攻撃して!」


「でも!」


「いいから!」


「……っ。」


リナが。


杖を向ける。


「《ファイア・ボール》!」


炎。


セレスティアへ。


「《アクア・ショット》。」


バシュッ!!


消える。


「……。」


そのまま。


セレスティアの杖が。


再び。


ミアへ。


「《ライトニング・ボルト》。」


「!」


「《ガーディアン・プリズン》!」


ヒルメ。


遠くから。


ミアを守る。


ガァン!!


「……っ。」


ヒルメの身体が。


揺れる。


「ヒルメ!」


「大丈夫!」


「……。」


セレスティア。


また。


ヒルメへ。


炎。


「《ファイア・ボール》。」


「!」


ガァン!!


防ぐ。


「っ……。」


「やめろ!!」


リナの声が。


コロシアムへ響いた。


「……。」


セレスティアが。


初めて。


攻撃を止める。


リナ。


肩で。


息をしている。


「私と戦いなさいよ。」


「……。」


「二人じゃなくて。」


「私を狙いなさいよ!」


「……。」


セレスティアが。


薄く。


笑った。


それだけ。


「……っ。」


リナが。


杖を握り締める。


「ふざけるな……。」



◇ ◇ ◇



「リナ!」


ヒルメが叫ぶ。


「大丈夫!」


「……。」


「私。」


息を切らしながら。


それでも。


笑う。


「まだ守れるから!」


「そういうことじゃない!」


「でも。」


ヒルメが。


杖を構える。


「三人で勝つんでしょ?」


「……。」


「だったら。」


「まだ終わってないよ。」


「……。」


リナが。


何も言えない。


「リナ!」


反対。


ミア。


肩を押さえながら。


笑う。


「私もまだいける!」


「……。」


二人。


傷ついている。


それでも。


笑っている。


「……馬鹿。」


リナが。


小さく呟く。


「二人とも……。」


その時。


セレスティアの魔力が。


再び。


膨れ上がった。


「!」


三人。


前を見る。


セレスティア。


杖。


リナへ。


「……。」


初めて。


明確に。


リナを狙っている。


「来る!」


ヒルメ。


リナが。


杖を構える。


「やっと……。」


「私に来るなら――」


「《ライトニング・ジャベリン》。」


バチィィィィィィッ!!


「……!」


これまでとは。


違う。


巨大な雷槍。


「リナ!!」


「っ!」


速い。


避けられない。


防御。


間に合わない。


「リナ!!」


ヒルメが。


走る。


「ヒルメ!?」


反対。


ミアも。


走る。


「ミア!?」


二人。


同時。


リナの前へ。


「どいて!!」


リナが叫ぶ。


「二人ともどいて!!」


「《ガーディアン・プリズン》!!」


ヒルメ。


残った魔力。


結界。


ガァァァン!!


その横。


ミア。


杖を。


両手で握る。


「《エア・バースト》!!」


風。


雷槍へ。


激突。



ドォォォォォォォォン!!!!



「――っ!!」


光壁。


軋む。


風。


弾ける。


「ヒルメ!!」


「ミア!!」


雷。


止まらない。


「っ……!」


ヒルメの腕が。


震える。


結界。


亀裂。


「駄目!!」


リナが。


二人へ手を伸ばす。


「もういい!!」


「どいてよ!!」


「……リナ。」


ヒルメが。


振り返った。


「……え?」


笑っていた。


苦しそうに。


それでも。


いつものように。


「リナは。」


「落ちこぼれなんかじゃないよ。」


「……。」


リナの目が。


見開かれる。


「何……。」


「急に……。」


「だって。」


ヒルメが。


杖を握る。


「リナには。」


「ちゃんと。」


「力があるから。」


「……。」


ミアも。


横で。


笑った。


「うん。」


「私も。」


「そう思う。」


「……やめて。」


リナの声が。


震える。


「だから。」


ヒルメが。


前を見る。


「大丈夫。」


「やめて……。」


「リナなら――」


パキン。



光壁に。


亀裂。



「駄目!!」



パァァァァン!!



結界。


砕けた。



ドォォォォン!!



「ヒルメ!!」


「ミア!!」


二人の身体が。


吹き飛ぶ。


「――っ!」


リナの左右。


地面へ。


叩きつけられる。


ブゥゥゥン!!


保護術式。


激しく。


輝く。


「……。」


一瞬。


静寂。


「……ヒルメ?」


返事。


ない。


「……ミア?」


動かない。


「ねえ。」


リナが。


一歩。


「ヒルメ。」


もう一歩。


「ミア。」


二人。


倒れている。


「……。」


リナの杖が。


手から。


僅かに下がる。



◇ ◇ ◇



「……。」


セレスティアが。


倒れた二人を見る。


そして。


小さく息を吐いた。


「その程度ですのね。」


「……。」


リナが。


止まる。


「……何?」


「随分と。」


「必死でしたけれど。」


冷たい目。


「結局。」


「あなたを庇って倒れただけ。」


「……。」


「無駄なことを。」


「……。」


リナの肩が。


震える。


「無駄……?」


「ええ。」


セレスティアが。


二人を見る。


「弱い者が。」


「弱い者を守ったところで。」


「結果など。」


「変わりませんわ。」


「……。」


ぽたり。


石床。


何かが。


落ちる。


「……。」


リナ。


泣いていた。


「……弱くない。」


「?」


「二人は。」


声。


震える。


「弱くない。」


「……。」


「私なんかのために。」


「ずっと。」


「戦って。」


「守って。」


「……。」


涙。


止まらない。


「それを……。」


杖。


握る。


「無駄って……。」


「……。」


セレスティアが。


リナを見る。


「事実でしょう?」


その瞬間。



――ブツン。



何かが。


切れた。



「……ふざけるな。」



小さな声。



「……。」


セレスティアの眉が。


僅かに動く。


「何ですって?」


「ふざけるなって。」


リナが。


顔を上げた。


涙。


流れたまま。


「言ってんのよ!!」



ドォン!!



「!?」


魔力。


爆発。


風が。


舞台を駆け抜ける。


「なっ……!」


セレスティアの髪が。


大きく揺れる。


観客席。


ざわめき。


「何だ!?」


「魔力が……!」


「リナ?」


ヒルメが。


僅かに。


目を開く。


「……。」


リナ。


杖を。


強く握る。


「絶対に。」


炎。


生まれる。


赤。


いつもの。


炎。


だが。


「……?」


リナ自身が。


目を見開く。


炎の中心。


一点。


黒。


「……。」


それが。


広がる。


赤を。


呑み込む。


ゆっくり。


確実に。


「何……。」


ミアが。


薄く目を開ける。


「……あれ。」


黒。


さらに。


広がる。


そして。


次の瞬間。



ゴォォォォォォォッ!!



炎が。


完全に。


黒へ染まった。



「……!」


セレスティアが。


初めて。


息を呑む。


「何ですの……。」


黒炎。


リナの周囲で。


燃え上がる。


「それは……。」


「……。」


リナは。


答えない。


知らない。


自分でも。


何なのか。


分からない。


ただ。


一つだけ。


分かる。


「……許さない。」


涙を。


拭うこともしない。


「二人を。」


一歩。


「馬鹿にしたこと。」


もう一歩。


「絶対に。」


黒炎。


大きく。


燃え上がる。


「許さない!!」



ゴォォォォォォォォッ!!



黒い炎が。


コロシアムを。


照らした。



◇ ◇ ◇



観客席。


誰も。


声を出せない。


赤でもない。


青でもない。


見たことのない。


黒い炎。


「……。」


アリシアが。


立ち上がる。


教師席。


エルドも。


目を見開いていた。


「……これは。」


舞台。


セレスティアが。


初めて。


一歩。


後ろへ下がる。


その正面。


泣きながら。


杖を構える。


リナ。


そして。


その周囲。


黒炎。


それまで。


ほんの僅かに。


魔力へ混じるだけだったもの。


誰にも。


はっきりとは見えなかったもの。


それが。


今。


初めて。


形を得た。


リナ自身の。


力として。


黒い炎が。


目を覚ました。

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