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異世界送魂師ヒルメ 〜葬儀社勤務だった私の送魂は、誰にも救えなかった魂を救っていく〜  作者: ケンボー


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三人で挑む対抗戦

◇ ◇ ◇



そして――


対抗戦当日。


学院は朝から、いつもとはまるで違う空気に包まれていた。


廊下を行き交う生徒たちも、どこか落ち着かない。


今日の対戦相手について話す者。


最後まで詠唱を確認している者。


緊張した顔で杖を握り締めている者。


そのほとんどが。


学院中央にある巨大なコロシアムへと向かっていた。



「すごい人……。」


ヒルメも、その流れの中にいた。


右にはリナ。


左にはミア。


そして足元には――


「ワン!」


当然のようにシロ。


「シロ。」


「ワン!」


「今日は絶対に戦っちゃ駄目だからね。」


「ワン!」


「本当に分かってる?」


「ワン!」


「……。」


ヒルメがシロをじっと見る。


「多分分かってる。」


「多分じゃ困るのよ。」


リナが呆れたように言った。


「今日は三人一組の対抗戦なんだから。」


「分かってるよ。」


「迷宮の時みたいに、危なくなったからってシロに助けてもらうのもなし。」


「うん。」


ヒルメがしゃがみ。


シロの頭を撫でる。


「だから今日は応援係ね。」


「ワウ!」


「よし。」


「……本当に大丈夫かしら。」


「大丈夫だって。」


「あなたが言うと不安なのよ。」


「なんで!?」


ミアが笑う。


「まあ、シロなら分かってるんじゃない?」


「ほら!」


「ヒルメより空気読む時あるし。」


「どういう意味!?」


そんな話をしているうちに。


三人の前に。


巨大な建造物が姿を現した。



◇ ◇ ◇



学院大闘技場。


巨大な円形のコロシアム。


中央には。


何人もの魔法使いが同時に戦えるほど広い石造りの舞台。


その周囲を。


何段にも連なる観客席が取り囲んでいる。


すでに多くの生徒が集まっていた。


「わぁ……。」


ヒルメが思わず声を漏らす。


「こんなに大きかったんだ。」


「私も中に入るのは初めて。」


ミアも辺りを見回す。


一般クラス。


貴族クラス。


上級生。


下級生。


さらに。


教師たちの姿まである。


「対抗戦って人気なんだね。」


「学院でも大きな行事だから。」


リナが答える。


「それに、実戦形式で他の生徒と本気で戦える機会なんて滅多にないもの。」


「本気で……。」


ヒルメが呟く。


「まだ何も言ってないわよ。」


「何が?」


「嫌な予感がしただけ。」


「失礼だなぁ。」


その時。


「ヒルメ。」


聞き慣れた声がした。


「あ。」


振り返る。


そこには。


アリシアが立っていた。


ただし。


今日は一人ではない。


その左右には。


見覚えのない貴族クラスの生徒が一人ずつ。


「アリシア。」


ヒルメが近寄る。


「その二人が今日のチーム?」


「ええ。」


アリシアが頷いた。


「私は王族ですから。さすがに好きな相手と自由に組むというわけにはいきません。」


「そうなの?」


「家柄や成績、護衛としての適性なども考慮されます。」


「大変だね。」


「慣れています。」


アリシアはそう言ってから。


ヒルメの後ろにいる二人を見る。


「リナ、ミア。」


「一か月の修行はどうでしたか?」


「かなり仕上がったと思います。」


リナが答える。


「ミアも安定して魔法を使えるようになりましたし。」


「リナもすごいよ。」


ミアが続ける。


「動きながらでもほとんど外さなくなったし。」


「ほう。」


アリシアの視線が。


最後にヒルメへ向く。


「ヒルメは?」


「私?」


「もちろん。」


ヒルメが胸を張る。


「新しい攻撃魔法覚えた。」


「……攻撃魔法?」


アリシアが僅かに驚く。


「ええ。」


リナが。


何とも言えない顔になる。


「覚えました。」


「強いのですか?」


「……。」


リナとミアが。


顔を見合わせた。


「何?」


ヒルメが聞く。


「別に。」


リナが答える。


アリシアが首を傾げる。


「何かあるのですか?」


「最初に撃った時。」


ミアが答えた。


「的が三つ消えました。」


「……。」


アリシアがヒルメを見る。


「消えた?」


「うん。」


「壊れた、ではなく?」


「消えた。」


「……。」


「でも今はちゃんと弱く撃てるよ。」


「弱くする練習を一か月してたのよ。」


リナが補足する。


「なるほど……。」


アリシアは少し考え。


「それは。」


「見てみたいですね。」


「でしょ?」


「殿下。」


リナが言う。


「煽らないでください。」


「煽ってなどいませんよ。」


アリシアは楽しそうに笑った。


「それより。」


ヒルメが聞く。


「アリシアと当たったら戦うの?」


「当然です。」


即答。


「ええ……。」


「何ですか、その顔は。」


「やりにくい。」


「私は手加減しませんよ?」


「私も……。」


ヒルメが少し考える。


「多分。」


「そこは言い切ってください。」


アリシアが苦笑する。


「お互い勝ち進めば。」


「戦うことになるでしょう。」


「……。」


ヒルメは。


少しだけ考えてから。


笑った。


「じゃあ。」


「そこまで勝とう。」


「ええ。」


アリシアも微笑む。


「楽しみにしています。」



◇ ◇ ◇



ゴォォォン――


その時。


大きな鐘の音が。


コロシアム全体へ響き渡った。


ざわついていた生徒たちが。


一斉に中央へ目を向ける。


舞台の中央。


そこへ。


学院長が姿を現した。


学院長が杖を。


石床へ軽く打ち付ける。


コン――


小さな音。


だが。


次に発せられた声は。


魔法によって。


コロシアムの隅々まで響き渡った。


「諸君。」


観客席が。


静まり返る。


「本日は、学院恒例の実戦対抗戦を行う。」


直後。


大きな歓声が上がった。


学院長が片手を上げる。


再び。


静寂。


「今年度も例年通り。」


「三人一組。」


「トーナメント方式で行う。」


学院長の背後。


巨大な石板へ。


光が走った。


何本もの線が伸び。


枝分かれしていく。


巨大なトーナメント表。


「勝者は次戦へ進出。」


「最後まで勝ち残った一組を、本年度の優勝チームとする。」


ヒルメが。


目を輝かせて見上げる。


「おお……。」


「そして。」


学院長の声が。


僅かに低くなった。


「試合の勝敗について説明する。」


「勝利条件は三つ。」


「相手チーム三名全員を戦闘不能とする。」


「相手チームが降参を宣言する。」


「あるいは、制限時間終了時に戦闘可能な人数が相手を上回っていること。」


「戦闘可能人数が同数の場合は。」


「審判を務める教師陣が、戦闘内容をもって勝敗を判定する。」


参加者たちが。


真剣な顔で聞いている。


「場外については。」


「自ら舞台外へ出た場合も戦闘不能とする。」


「ただし。」


「攻撃によって吹き飛ばされた場合。」


「保護術式が危険と判断した時点で介入するため。」


「術式による強制転移が発生した場合も同様に戦闘不能とする。」


ヒルメが。


小声でリナに聞く。


「落とせば勝ち?」


「一人はね。」


「なるほど。」


「変なこと考えない。」


「考えてないよ。」


学院長が続ける。


「そして。」


「本大会は。」


「実戦を想定した訓練である。」


一拍。


「故に。」


「諸君に魔法の威力を抑えることは求めない。」


「……え?」


ヒルメの目が。


僅かに大きくなる。


隣で。


リナが嫌そうな顔をした。


学院長が。


杖を掲げる。


瞬間。


ブゥン――


低い音。


コロシアムの石床。


壁。


舞台の外周。


そこに。


巨大な魔法陣が次々と浮かび上がった。


一つではない。


何重にも。


幾重にも重なった魔法陣。


その光が。


舞台全体を包み込んでいく。


「この大闘技場には。」


「学院創設時より、特殊な保護術式が組み込まれている。」


「試合中。」


「術式は参加者全員の状態を常に監視する。」


「攻撃が致命傷に至ると判断された場合――」


「術式が自動的に介入。」


「その損傷を防ぐ。」


ざわっ。


参加者たちがざわめく。


「ただし。」


「痛みまで消えるわけではない。」


「軽度の負傷も起こり得る。」


「また。」


「術式がこれ以上の戦闘続行は危険と判断した場合。」


「その者は戦闘不能。」


「即座に舞台外へ転送される。」


舞台上に立っていた教師が。


片手を上げる。


次の瞬間。


その身体が。


光に包まれた。


シュン!


一瞬で。


舞台外へ転送される。


「わっ。」


ヒルメが身を乗り出す。


「すごい。」


「転移術式まで……。」


リナも。


驚いた様子で見ている。


「なお。」


学院長が続ける。


「戦闘不能となった者への追撃は禁止。」


「降参後の攻撃も同様。」


「禁止指定された魔法。」


「教師が明確に危険と判断した行為。」


「これらは即座に失格とする。」


そして。


学院長の表情が。


厳しいものへ変わる。


「もう一つ。」


「覚えておけ。」


「この保護術式も。」


「万能ではない。」


静まり返る。


「学院生が使用することを想定した術式ではあるが。」


「その許容量を著しく超える魔法まで防げるわけではない。」


「己の力量を見誤るな。」


「それもまた。」


「魔法使いに必要な能力である。」


教師たちも。


真剣な表情で舞台を見ていた。


そして。


学院長が。


再び参加者たちを見渡す。


「だが。」


「恐れる必要はない。」


「今日まで学んできたもの。」


「鍛えてきたもの。」


「仲間と積み重ねてきたもの。」


「その全てを。」


「この場で示せ。」


一拍。


「遠慮はいらん。」


「全力で戦え。」


瞬間。


ワァァァァァァァ!!


コロシアムが。


大歓声に包まれた。



◇ ◇ ◇



「……。」


ヒルメは。


自分の杖を見ていた。


「……全力。」


「ヒルメ。」


「何?」


リナが。


ものすごく嫌そうな顔をしている。


「何で嬉しそうなの?」


「だって。」


ヒルメが学院長を見る。


「全力でいいって。」


「言ってたけど。」


「じゃあ。」


「駄目。」


「なんで!?」


「あなたの場合は話が違う!」


「同じだよ!」


「同じじゃない!」


ミアも。


途中で気付いた。


「あ。」


「何?」


「そういえば。」


ミアがヒルメを見る。


「ヒルメって一か月。」


「ずっと《セイクリッド・レイ》を弱くする練習してたんだよね。」


「うん。」


「……。」


ミアがリナを見る。


リナも。


ミアを見る。


「何?」


ヒルメだけが分かっていない。


「つまり。」


リナが恐る恐る聞く。


「最初に的を三つ消した時より。」


「今の方が魔力の扱いが上手いのよね?」


「うん!」


ヒルメが嬉しそうに頷く。


「最初はとにかく魔力を流してただけだったけど。」


杖を握る。


「今は分かるよ。」


「どれくらい流せばいいのか。」


「どこで止めればいいのか。」


「どうやって杖まで持っていけばいいのか。」


一か月。


何度も。


何度も。


失敗した。


強すぎる。


もっと弱く。


まだ強い。


もう少しだけ。


繰り返すうちに。


ヒルメは。


自然と覚えていた。


魔力を。


ただ放つのではなく。


自分の意思で。


動かすことを。


「だから。」


ヒルメが笑う。


「今なら。」


「ちゃんと全力で撃てると思う。」


「それが怖いって言ってるのよ!!」


「ええ!?」


「最初より強いってことでしょ!?」


「多分。」


「じゃあ最初から撃たない!」


「学院長がいいって言った!」


「相手を見てから!」


「ぶー。」


「ぶーじゃない!」


ミアが笑う。


「まあ。」


「保護術式があるんだし。」


「どうしても必要になったら、ね?」


「……。」


ヒルメが。


少し考える。


「分かった。」


「本当に?」


「うん。」


「じゃあ最初は?」


「弱いの撃つ。」


「よろしい。」


「リナお母さん。」


「誰がお母さんよ!」


三人が。


笑う。


その少し離れた場所。


アリシアは。


その様子を見ながら。


小さく笑っていた。



◇ ◇ ◇



やがて。


巨大な石板に。


参加チームの名前が。


次々と浮かび上がった。


「出た!」


ミアが立ち上がる。


「どこ?」


ヒルメも。


トーナメント表を見上げる。


「待って。」


リナが。


目を走らせる。


「……あった。」


「どこ?」


「ここ。」


一回戦。


ヒルメ。


リナ。


ミア。


その三人の名前。


対するは。


同じ一般クラスの三人組。


「知ってる?」


ヒルメが聞く。


「顔は。」


リナが答える。


「でも実力までは分からない。」


「同じクラスじゃないの?」


「一般クラスだって一組だけじゃないのよ。」


「そっか。」


「だから油断しない。」


「分かってる。」


「本当に?」


「分かってるって!」


そして。


ヒルメの視線が。


トーナメント表を移動していく。


「あ。」


「アリシア。」


いた。


ヒルメたちとは。


かなり離れた位置。


「遠いね。」


「この位置なら。」


リナが表を見る。


「当たるとしてもかなり後ね。」


「じゃあ。」


ヒルメが笑う。


「そこまで勝てばいいんだ。」


「簡単に言うわね。」


「勝つために修行したんでしょ?」


「……。」


リナが。


少し笑う。


「そうね。」


さらに。


ヒルメが名前を探す。


そして――


その表情が。


僅かに変わった。


「……。」


「どうしたの?」


ミアが聞く。


ヒルメが。


一つの名前を指差す。


「セレスティア。」


空気が。


少しだけ変わった。


リナも。


その名前を見る。


貴族クラス。


セレスティア。


その横には。


同じ貴族クラスの二人。


「……いるね。」


ミアが呟く。


「うん。」


ヒルメは。


参加者席の反対側を見る。


そして。


見つけた。


セレスティア。


向こうも。


こちらを見ている。


「……。」


「……。」


視線がぶつかる。


セレスティアの口元が。


僅かに吊り上がった。


ヒルメは。


何も言わない。


ただ。


その目を。


真っ直ぐ見返した。


迷宮。


本来。


あの階層にはいるはずのなかった魔物。


三人を。


死の寸前まで追い詰めたオーガ。


まだ。


ヒルメたちは知らない。


あの魔物が。


なぜ。


あそこにいたのか。


けれど。


ヒルメは。


セレスティアの笑みを見て。


何となく。


嫌な感じがした。



◇ ◇ ◇



『第一試合の参加者は、舞台へ!』


教師の声が響く。


歓声。


六人の生徒が。


舞台へ上がっていく。


「私たちは?」


ヒルメが聞く。


「三試合目。」


リナが答える。


「少し時間がある。」


「じゃあ見よう。」


ミアが舞台へ視線を向ける。


六人が。


それぞれ杖を構えた。


そして。


審判を務める教師が。


中央で手を上げる。


「双方。」


「準備はいいな?」


六人が頷く。


「それでは――」


教師の手が。


振り下ろされた。


「始め!」


瞬間。


六人の魔力が。


一斉に弾けた。



◇ ◇ ◇



第一試合。


第二試合。


戦いは。


想像していた以上に激しかった。


「《ストーン・バレット》!」


石の弾丸が。


舞台を駆け抜ける。


「《ウィンド・ウォール》!」


風の壁が。


それを弾く。


「右!」


「分かってる!」


「《アクア・ショット》!」


水の塊が。


別方向から飛ぶ。


魔法。


魔法。


魔法。


一対一ではない。


三人対三人。


一人へ集中すれば。


別の誰かが狙ってくる。


味方を守れば。


その一瞬。


自分が無防備になる。


「……。」


ヒルメが。


真剣な顔で見ていた。


「迷宮とは全然違う。」


「そうね。」


リナが答える。


「魔物は基本的に自分の本能で動く。」


「でも人は。」


「考えて動く。」


ミアが続ける。


「こっちが何をしようとしてるかも考える。」


「……。」


ヒルメが頷く。


その時。


ドォン!


一人の生徒が。


炎の魔法をまともに受けた。


「!」


身体が。


大きく吹き飛ぶ。


だが。


石床へ叩きつけられる直前。


魔法陣が輝いた。


パァン!


生徒の身体が。


光に包まれる。


そして。


舞台の外へ。


「……本当に守った。」


ヒルメが呟く。


「戦闘不能ね。」


リナが言う。


その生徒は。


教師に支えられながら立ち上がっている。


痛そうにはしている。


だが。


大きな怪我はない。


「……。」


ヒルメが。


杖を見る。


「ヒルメ。」


「何?」


「まだ駄目。」


「何も言ってない!」


「考えてたでしょ。」


「ちょっとだけ。」


「駄目。」


「はい。」


やがて。


第二試合も終了した。



◇ ◇ ◇



『第三試合!』


教師の声が響く。


『参加チームは舞台へ!』


「……。」


三人が。


顔を見合わせる。


「来た。」


ミアが。


小さく息を吐く。


「緊張してる?」


ヒルメが聞く。


「してる。」


「私も。」


「嘘。」


「本当だよ!」


リナが立ち上がる。


「ほら。」


「行くわよ。」


「うん。」


「うん!」


ヒルメも立ち上がる。


そして。


シロを見る。


「シロ。」


「ワン!」


「ここで待ってて。」


「ワウ。」


「絶対入ってきちゃ駄目だからね。」


「ワン!」


「応援してて。」


「ワン!」


ヒルメが。


シロの頭を一度撫でる。


そして。


三人で。


舞台へ続く階段を降りていく。


一歩。


また一歩。


歓声が。


近くなる。


「……。」


ヒルメが。


自分の杖を握る。


その隣。


ミアも。


杖を握っている。


そして。


リナ。


三人。


一か月。


ずっと一緒に修行してきた。


「ねえ。」


ヒルメが。


前を向いたまま言う。


「何?」


リナが答える。


「勝とうね。」


「……。」


リナが。


僅かに笑う。


「当たり前でしょ。」


ミアも。


笑った。


「三人でね。」


「うん。」


舞台へ。


三人が上がる。


向かい側。


すでに。


対戦相手の三人が待っていた。


同じ一般クラス。


男子二人。


女子一人。


全員が。


杖を構えている。


「……。」


ヒルメたちも。


横一列に並ぶ。


リナが。


小さな声で言った。


「最初は予定通り。」


「ヒルメが守る。」


「ミアが右。」


「私は左。」


「分かった。」


「うん。」


ヒルメが。


杖を構える。


「双方。」


教師が。


六人を確認する。


「準備は?」


ヒルメが。


息を吸う。


緊張。


でも。


それ以上に。


胸が高鳴っている。


「準備できてます!」


教師が。


片手を上げる。


「それでは――」


観客席。


アリシアが。


静かに舞台を見つめる。


少し離れた場所では。


セレスティアも。


冷たい目で。


ヒルメたちを見ていた。


そして。


教師の手が。


振り下ろされる。


「始め!」


三人にとって。


初めての対抗戦が――


始まった。

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