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             異世界送魂師ヒルメ  ~涙は地に還り、想いは空へ還る~  作者: ケンボー


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魔獣にも魂はある



村を出たヒルメとシロは帝国へ向かう。


「シロー、こっちだよー」


「ワウ」


「なんか寂しいねぇ、シロ」


「ウゥ」


帝国までは距離があり、森を抜けていかなくてはならない。


「あっ、川だ! 疲れちゃったから休憩しようか、シロ」


「ワウ」


「はー、涼しくて気持ち良いねー」


「ワウワウ」


「あれ? シロって泳げるの?」


「ワウワウ!」


「きゃっ。バシャバシャやってるだけじゃんかぁ。よーし、こっちもそれ!」


「ワウウ」


「あー楽しいね、シロ」


「ワウ」


シロと遊んでいると、時間を忘れてしまうぐらい楽しいので、つい遊んでしまう私。


「ねーシロ、帝国ってどんなところだろうね。友達とか出来るかなぁ?」


「ワウ」


「大丈夫だって? ありがとうシロ」


「初めて村から出て別な場所に行くから心配だよぉ。大丈夫かなぁ」


「ワウワウ!」


「どうしたのシロ?」


「あれは……魔獣!」


「ワウ!」


「わっ、こっちに来るよぉ!」


「わわわわわわ」


「ぐぉおおおおおお」


「とりあえず、離れないでシロ! 清浄の光よ……盾となりてかの者包み込め!」


《ガーディアン・プリズン》


光の球体がヒルメとシロを包み込む。


「うぅ、沢山いるよぉ魔獣さん」


「凄い攻撃してくるよぉ、シロ」


「バリアしたけど諦めてくれないかなぁ。ねぇシロ」


「ワフゥ」


「そんな呆れないでよう」


「ぐぁあああああああ」


「わわわわわわ」


※ ※ ※


「ん? あれは……」


「誰か襲われているな……」


「Bランク魔獣のスケイルゴブリンだと!?」


「風を司る精霊よ、刃になりて敵を打て――ウインドカッター!」


「ぐぉ」


「はぁっ!」


「ぐぉおおおお」


「わー、かっこいいねシロ! ジジに聞いた事ある。あの人エルフのお姉さんだ」


「大丈夫か、そこの娘」


「はーい! ありがとうございます」


「ふぅ、ちょっと数が多いな。はっ!」


「ねぇシロ、お姉さんのお手伝いしよう」


「ワウ」


「あっ、お姉さんも危ない!」


「シロお願い!」


「ワウ」


シロの口元に炎が集まる。


「シロ!」


《ファイアストーム》


火の竜巻がスケイルゴブリンを蹂躙する。


「わっ、シロ凄いよ! よしよししてあげる」


「ワウ♪」


「やったねシロ!」


(な、犬が魔法だと……防御魔法といい、なんだこいつらは)


「ふー、これで魔獣さんもいなくなったかな」


「ワウ」


「まだだ! はっ!」


「わー危なかった。ありがとうございます」


「いや、礼を言うのはこちらだ。私はエルフのアリアナという。君たちは?」


「私はヒルメ! こっちの犬がシロだよ! えへへ、よろしくね!」


「ワウ」


「改めてありがとう。えっと、シロちゃんだったかな? 犬なんだよな? 火吹いてなかったか?」


「うん!」


「え?」


「え?」


「いや、普通は犬は火を吐かないぞ」


「えっ、そうなの……シロがそうだからみんなそうなのかと思った」


「でもシロ! 普通じゃないって事は特別って事だよ! 良かったねシロ!」


「ワウウ♪」


(なんだこの子達は……不思議な魔法を使う子と火を吐く犬……犬可愛いなちくしょう……でも火吐く……)


「で、君たちはここで何をしているんだ?」


「帝国に向かう途中なのです」


「帝国か……私と同じだな」


「そうなんですか!? じゃあ一緒にいきましょう」


「いや私は……」


「ワウ♪」


アリアナにスリスリするシロ。


「くっ」


「シロも行きたいって! 改めまして私はヒルメ! こっちがシロだよ! よろしくね!」


「私はアリアナだ。見てのとおりエルフだ」


「エルフさんって綺麗だねー、シロ」


「ワウ♪」


「世辞はやめろ。は、恥ずかしいだろ……ほら、もう行くぞ」


「待って下さい。まだやらないといけない事が」


「なんだ? 何かあるか?」


魔獣の前に石段で段差を作り、そこに花を添えるヒルメ。


「な、なんだこれは」


「これから弔いをします」

「これから弔いをします」


「弔いだと? もう死んでいるんだ。ましてや魔獣など放っておけばよい」


「でも……魔獣さんからしたら私たちが悪いのかもしれない……分かり合えずにこのような結果となってしまったので、弔いはしないと」


「弔いとはなんだ? 魔獣などそのままにしておけばいい。魔獣など人類の敵だ」


さっきと違い、殺気立つアリアナ。


「見てて下さい」


「何をする気だ! 放っておけばいいと言っているだろう」


アリアナがヒルメの腕を掴もうとした、その時――


「涙は地に還り……想いは空へ還る……」


「我が祈りを導とし……魂のあるべき場所へ導かん……」


《ソウル・アセンション》


これからは永久とこしえにお休みなさい……


浄化の光が周りを包み込む。


「なっ! 失われた神聖魔法だと」


「あぁ……暖かい……これが弔い……私はさっきひどい事を言って……」


「体が軽く……」


(なんだというのだ。私も浄化されたというのか)


「ありがとう」


「ごめんなさい……ゆっくり休んでね」


「魔獣が……礼を言った……?」


「そんな馬鹿な……」


光が晴れ、静寂に包まれた。


※ ※ ※


「うん! これでゴブリンさんも寂しくないからね」


「ワウ」


「ありがとシロ」


「なぜ魔獣まで弔う?」


「だって悲しいじゃないですか」


「え?」


「誰だって一人で行くのは寂しいもん」


(寂しいか……今までに無い感情だな……死んだら終わりではないのか……失われた神聖魔法を使い、火を吹く犬を連れている。何者だ……)


「なぁヒルメ、お前何者だ。どこから来た」


「サンクチュアリって村からシロと来て、えっとジジとみんなで暮らしてたよ」


(話は理解できるが話が通じないだとぉ)


「ワウウ♪」


(くっ、可愛い)


シロは尻尾を振りながらアリアナにすり寄る。


(まぁ良いか。そのうちわかる)


シロをモフモフしながら。


「これからよろしくな」


「はい!」


「良かったねぇシロ。アリアナさんにモフモフされて」


「ワウ♪」


(くっ、可愛すぎる)


(しかし見間違いでなければ、古代に存在した神聖魔法のはず……帝国に知れ渡れば……)

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