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第33話 二度目の買い出し

 一日中ゴロゴロしただけの土曜日はもうすぐ終わりを迎えようとしていた。


「明日は暖愛さんと買い出しでしたよね?」


「うん、そうだね」


 月曜日に迫った遠足に向けて、俺と暖愛さんの買い出し班は明日一日で食材を中心に揃える必要がある。皿とか紙コップとかは先週揃えたので、そこまで時間がかからないと思うが。


「明日もこないだと同じくらいかかると思うから、別に外出てても良いけど、どうする?」


 暖愛さんから買い出し後に相談があると言われていたし、正樹君に頼まれてた例の件も聞かなくてはいけない。


「うーん、家で待ってます。特に行きたいところもないので」


「分かった。多分お昼までには帰って来れると思うから」


 多分、ね……


「出来るだけ早く帰ってきてくださいね。お利口にして待ってますから」


 そう言いながら、咲良は俺の隣でちょこんと座って、目を瞑っている。


 これは、どういう……


 とりあえず頭を撫でてあげたら、そっちじゃないっていう顔をされしまった。


「おやすみのキスですよ!」


「おやすみの……って、もう今日何回したと思ってんの?」


「んー! 良いじゃないですか、減るもんじゃないし」


「しょうがないなぁ……」


 結局最後は押し切られてしまうのは、俺も満更でもないからなんだろうなぁ。


 俺たちは布団に入って、咲良の望みを叶えてから眠りについた。



「おはよ、って、まだ寝てるか……」


 さすがに二日連続の早起きはできなかったらしく、咲良はいつも通りの爆睡をかましていた。


「よし、準備するか」


 約束の時間は9時と、休日の高校生にしてはなかなか早い時間な気がするが、俺も暖愛さんも朝は強いらしく、早速スマホを連絡が入っていた。


「まずは朝ごはん、と」


 自分の準備を進めながら、咲良の分の朝ごはんも準備する。さすがに9時前には起きるだろうけど……


 今は8時過ぎか。あと30分くらいしたら出よう。


「咲良、起きれそう?」


「ん、おきるぅ」


「うわ! ちょっと……」


 まだ半分寝ぼけているようだったが、朝イチで抱きついてくるくらいには元気みたいだ。


「朝ごはん準備してあるよ」


「ありがとぉ」


 なかなか離れてくれない咲良を何とかテーブルまで抱えていきながら、俺も最後の準備を進める。


「やばっ、そろそろ出なきゃ!」


「いってらっしゃーい」


「うん、いってきます!」


 眠い目を擦っている咲良に見送られながら、俺は待ち合わせ場所に向かった。


 今回の待ち合わせ場所は、学校を少し過ぎたところにあるデッカいスーパーだった。最近できたところらしく、『品揃えも抜群!』とのことだった。


「もう、暖愛さん着いてるかな……」


 8時55分。ギリギリになってしまったが、何とかスーパーには着けた。


「おーい、新!」


 涼しげなTシャツに、ショートパンツを合わせて、もう夏本番かと錯覚してしまうような格好で大きく手を振っている女子。


 間違いなく暖愛さんだ。


「ごめん、遅くなった」


「ううん、私も今来たとこだし。しかも新ん家結構遠いでしょ?」


「まぁ、そうだね」


 全く気にしてないよと手をヒラヒラさせて、俺たちは早速買い出しに取り掛かった。


「よーし、まずは肉っしょ!」


 一目散にお肉コーナーに向かう暖愛さん。朝から元気いっぱいだなぁ。


「新、あとどれが良いかなー?」


「って、もうカゴの中入れてるし」


 真剣な顔で悩んでいる暖愛さんのカゴの中には、既にバーベキュー用と書かれたお肉が2パック入れられていた。


「みんなどれくらい食べるのかな?」


「うーん、新はあんま食べなそうだし、咲良ちゃんもそうでしょ? 正樹もいっぱい食べるイメージはないなぁ。じゃあ、もしかして私が一番食べる可能性が……?」


「ありえる、のかな?」


「まぁ、何とかなるっしょ!」


 何がどうなって何とかなるという結論に至ったのかは全く分からないが、暖愛さんのカゴにもうひとパックお肉が追加された。


 その後、申し訳程度のお野菜たちもゲットした。但し暖愛さん曰く、バーベキューで野菜を食うようなやつは外道らしい。少々思想が強い気がするが、バーベキューの楽しみ方は人それぞれなので強くはツッコまないでおいたが。


「よし、大体揃ったかな」


「そうだね。食材は多分バッチリだし」


 ものの20分ほどで俺たちの買い出しは終わった。さすが暖愛さん、仕事が早い。ていうか、俺必要でしたかね?



「無事に買い出し終わって良かったねー」


「この後は?」


「うーん、こないだのカフェに行こうかと思ったんだけど、買ったやつ置いちゃいたいからさ、一旦ウチ寄ってもいい?」


「全然いいよ!」


「おけ、じゃあ、こっちね」


 暖愛さんの後ろをついて細い路地をクネクネと入っていくと、5分くらいで暖愛さんのお家についた。


「こんなに近いんだね」


「そーなの。ほら、中入って」


 暖愛さんのお言葉に甘えて、お家の中に入らせてもらった。よくある一戸建てと言った感じだったが、玄関は綺麗に物が整理され、清潔感がある。ウチもそろそろ掃除しなきゃな……


「よし、しまってきたから、行こっか」


 家の奥に消えていった暖愛さんがドタドタと戻って来た。


「こないだのカフェでいいよね?」


「うん、いいよ」


「よし、じゃあ今日のメインイベントスタート!」


 あっ、こっちがメインだったんだ……


 いつも通りハイテンションな暖愛さんと暑い日差しを浴びながら、俺と暖愛さんはカフェ目指して歩みを進めた。


 日曜日はまだ始まったばかりだ。

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