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第25話 まさかの再会

「……うん、聞きたい」


「じゃあ、教えてあげないわけにはいかないよね〜」


 わざわざ俺たち二人を巻き込んだのは、何か意図があってのことだろう。そしてそれは、暖愛さんだけじゃなくこの二人、大村凛と大野麻耶に関係がある……はず?



「ほら、凛、喋りなよ」


 予想通り、話が振られたのは二人のうちの一人、大村さんだった。


「えー、でも……」


 なかなか話し始めない大村さん。そんなに重い話なのだろうか。


「ねぇ、一条君」


「はい、何でしょう」


「私、多分君に会ったことあるんだよね」


 え?


 俺にあったことがある? そんな訳ない。だって俺は中学まで都内にいて……


「やっぱり覚えてないよね。あっ、別に責める訳じゃないんだけど。一昨年の夏、私はお父さんに連れられて東京の資産家さんのパーティーに出させてもらったの」


 一昨年の夏、か。


 確かにパーティーなら、父に連れられて何回も出たことがある。丁度その時期も二、三個出席したはずだ。


「本当は私たちが行けるようなとかじゃなかったんだけど、資産家さんの奥さんとお父さんが高校の同級生だったらしくて。それでお呼ばれしたの」


 淡々と話し続ける大村さん。ただ、同じパーティーに出席しただけで、俺のことを覚えているわけはない。何か関わりがあったということか……?


「私、その時、あんな豪華な場所慣れてなくてさ、お父さんは知らない人とずっと話してるし、つまらなくて」


「へぇ、私は一回でいいから、そういうパーティー出てみたいなぁ」


 暖愛さんが呑気に口を挟む。


「ちょっと、暖愛、今は凛の話を聞こ!」


「あぁ、確かに。失敬、失敬」


 大野さんの指摘に、反省しているのか分からない返事を返す。


「あはは、まぁ、暖愛の言う通り、私も憧れはあったんだけど、いざ行ってみたらあんまりだったの。その時に丁度同じくらいの年の子がいてさ。私、その子に話しかけたの」


「へぇ、勇気あるね」


「まぁ、そん時は完全に雰囲気に飲まれちゃって、誰でもいいから頼りたい!って感じだったからね」


「そういうものか」


「そう、その時に話しかけた相手が……」


 四人の視線が俺に集まる。まぁ、話の流れからして――


「俺だった、と」


「まぁ、ざっと言えばそんな感じかな」


 話を聞いてみて、うっすらと記憶が蘇ってきた。そんな人がいた気もしなくもなくはないかもしれない。


 まぁ、こんな回りくどい表現をしたくらいには、記憶が怪しいのだが。


「正直、その時どんなこと話したのかは覚えてないんだけど、一条君がすごく大人びてたのは覚えてて」


「あぁー、なんとなく想像つくわ」


 暖愛さんの想像通りの姿だったと思う。当時の俺は一条家の後継として、相当な仮面を被っていた。父の名に傷がつかないように、何事にも慎重に行動していた。


 まぁ、今となってはいい思い出か。



「とまぁ、この話を聞いた私たちは、真相を探るべく君たちに接近したというわけです」


 大村さんが一通りの説明を終えると、話の主導権が暖愛さんに戻ってきたようだ。


 始めに咲良に声をかけていたのも、俺に直接聞くよりも、彼女の咲良が何か知ってたら、そっちの方がことがスムーズに進むからという理由だったらしい。


 まぁ、大村さんも今のエピソードを直接俺に言うのは、結構な体力が必要だろう。結果そうなってしまったわけだが。


「で、気になってたんだけどさ」


「まだ何かあるの?」


「何でそんな大きなパーティーに出てたあんたが、今この学校にいるわけ?」


 一番突かれたくない所をピンポイントで突いてくる暖愛さん。さすがです。


「そう、私も気になってた。何でこんな所で再会できたんだろうって」


 もうこうなってしまったら隠しておくことはできない。


「……他の人には話さないって約束できる?」



「――とまぁ、こんな感じです……」


 俺は自分の今までの遍歴をかいつまんで説明した。この学校に来た理由も正直に。


「え、じゃあ、あんたはあの『ICHIJO』の御曹司ってこと!?」


「まぁ、そうだった、って感じかな」


「咲良ちゃんは? このこと知ってたの?」


「いや、初耳です……」


「彼女にも漏らしてないとは、一条新、恐るべし……」


 四人の好奇の目線が送られているが、これ以上話せることはない。


 せっかく誰にも自分の立場を知られずに過ごせると思ってた高校生活も思わぬ方向から壊されてしまった。


「ていうか、私、そんなにすごい人と話してたんだ……」


「いや、すごいのは父だよ。俺もパーティーには付いてっただけだし」


 実際、大村さんとの会話を覚えてない時点で、俺もなかなか余裕がなかったのだろう。所詮はただの中学生だ。周りを見ると大人ばかりの場所で、大村さんに話しかけられて俺も少し安心したのかもしれないな。


「まぁ、これを機にみんなで仲良くしようよ。時々遊びに行ったりさ。それくらいならいいでしょ、御曹司さん?」


「別に今はもう自由の身だからね。遊びに行ったりはできるけど」


「じゃあ、そゆことで。これでみんな『友達』だね」


 『友達』という暖愛さんの言葉にみんなで目を合わせる。どうやら友達が増えたみたいです。はい。

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