突入戦略 仮装
七十三、突入戦略 仮装
マニとステファノはディーモンクラブのアジトへと急いだ。
距離があるのでアジトから山を挟んだところにある小さな村の礼拝堂で二人は再び休憩していた。
小さな村なのもあり、人気がないので詮索されることもなくゆっくり長椅子の上で休めた。
礼拝堂の木製の扉がきしんだ音を立てて開いた。
二人が慌てて振り向くと満面の笑みのマリーが立っていた。
「見つけた」
「何でマリーさんがここに?」
マニはカルカッシの町の前で別れたマリーがここにいることに驚いた。
「私、今この村で農作業を手伝って暮らしているの。それであなたたちが来たのを見たわけ」
マリーはニヤニヤしながら答えた。
マニはその笑顔の裏にどんな考えがあるのか少し怖くなった。
「あんたたち、だいたいさ、勝算はあるの?」
マリーは椅子にこしかけ足を組みながら二人に問いかけた。
「ほぼないだろう」
ステファノは短く返した。
「いくら正面から完全に制圧するわけでないからって大勢相手に本拠地に
乗り込むなんて無謀すぎるわ。私が戦略を考えてあげる。準備に時間がかかるから待ってちょうだい」
「……わかった」
ステファノはマリーの提案に応じた。
準備が終わるまで、マニとステファノはマリーの紹介で村の農作業の手伝いをすることになった。
数日後、マリーは服を抱えて農作業の合間に日陰で休憩しているマニとステファノの所に来た。
「お待たせ。衣装を友達に縫ってもらうのに時間かかっちゃった」
「「服?」」
二人は声をそろえて驚いた。
マニたちは間借りしている部屋に戻った。
マリーは持ってきた服を並べた。
バニー服、ナース服、ピエロの衣装とカツラだった。
マニそれらの服を見て絶句した。
ステファノは恐る恐るマリーに聞いた。
「これ、もしかして着るのか」
「そうよ、私たちは変装して油断させるの」
「いや、鎧を着た方がまだいいのでは?」
ステファノは真面目に首をかしげている。
マニは内心変装の意味は全く無いような気がした。
「マリーさん、急にアジトにバニー、ナース、ピエロが現れたら不審ですよ」
「そう?」
マリーからいつもより低い声が飛んで来てマニは黙ってしまう。
「山越えはせめてブーツでないと足がもたない」
ステファノは相変わらず冷静に分析をしていた。
「確かに着替えの場所は問題ね!村で着替えて上着を羽織ってブーツで行って近くで靴を履き替えましょう」
服が3着あるってことは戦闘能力が高いマリーさんも参戦してくれるのか。
マニは最大のメリットを取って変装作戦に従うことにした。
隣の部屋で着替えて来たマリーのバニーガールは決まっていた。
キレイ系が似合うなあ。
というか、マリーさん、自分がバニー服着たいだけじゃ……。
マニは疑いを心の中だけとどめた
ピエロの衣装を着たステファノはマリーに化粧をしてもらっている。
「背中のファスナーが閉まらないよー」
マニはナース服と格闘していた。
ステファノとじゃんけんで負けてナース服を着ることになってしまったが、男性が着るとはマリーの友達も想定していなかったのだろう。
変装している間中、マリーは終始上機嫌だった。
何とか着替えた三人は山を越え、ディーモンクラブのアジトが見える所まで来た。
「さあ、ぱっと侵入して、さっとサイラスを救出しましょう!」
マリーは肩を回して準備運動しているようだが、実質作戦は変装だけのようだった。
「サイラスのいそうな場所はわかるか」
ステファノがカツラを被ったピエロの姿で真剣にマリーに尋ねた。
「そうね、いそうな場所はアジトの東側の部屋だわ」
「じゃあ、東側から突入するか」
三人は目立つ格好で足早にアジトの方へ向かった。




