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竜のマニ  作者: ぼんにゃん
3章
62/64

変装

五十九、変装




マニたちは数時間後、カルカッシの町へたどり着いた。

空には分厚い雲が立ち込めていた。

たくさんの建物がある大きな町だった。

荷馬車の御者と馬に別れを告げて、ジャックの案内で町の中を進んだ。

観光客は珍しくないのか、一行はよそ者として不審な目で町の住民に見られることもなかった。




20分ほど歩き、1階がガレージとバーのような店になっている4階建てだろう建物についた。

ガレージにはシャッターが下りている。


「ここです」


手短に説明された後、ガレージと店舗部分の間の通路の奥にある階段を登っていった。

2階に着いてジャックがドアをノックすると、中から若い女性が出て来た。


「待ってたわ」


四人が部屋の中に入ると中は広い食堂になっていた。

奥の方に厨房があるようだ。

出迎えてくれた女性の他に二人の男性がいた。


「はじめまして。私はアリサよ」


マニはアリサと握手をした。

お互いに軽く自己紹介をした。

がっしりした体形の男性はラクーン、細身の男性はフォクシーというらしい。

二人の男性は西の国の者で魔王降臨を阻止するために動いているらしい。

食堂のテーブルについてみんなで今の状況について詳しい説明を聞いた。


「私が聞いて回った話では、魔王信者たちが若い女性を集めて魔王降臨のための人体実験をしているらしいの」


アリサが真剣な表情で話し始めた。

どうやら彼女は諜報員らしい。


「それは人権侵害ですね」


ジャックが答えた。


「その信者集団がどの町に潜んでいるかまではわからないの。だから、貴方たちに囮になってほしいのよ」

「いやいや、若い娘って言われても」


マニが隣に座っているラムダに目を向ける。

今日も首回りを隠す服を着て、性別不明である。

沈黙の中、ジャックが話を切り出した。


「戦闘要員のマニ様とシアン様に変装して囮になってもらいます。ラムダさんにはヒーラーとして待機してもらいます」

「ええー!」

「まじか?俺はできれば着ぐるみが来たかったんだが」

「変装しても絶対すぐにバレますよ」


マニは必死に抗議した。


「大丈夫です。ここにいるラクーン氏、フォクシー氏は変装のスペシャリストで自分だけでなく、他人の見た目すら変化させることができるのです。しかしお二人は戦闘能力に不安があるので囮にするわけにはいけないのです」


実験の資金集めの違法薬物の製造拠点を探し出して潰すためとマニは決心を決めた。




マニとシアンはそれぞれ、ラクーンとフォクシーの能力で子どもの頃の姿に変えられた。

煙が晴れてみると昔見たことのある子どもの頃のシアンの姿が隣にあった。

それから用意してあった女児用の服に着替えた。

ラクーンとフォクシーは他人の場合は見た目年齢を変えることはできても、性別の見た目は変化させることができないので、そこからは変装を加えるらしい。


「若い娘って、この姿だとあまりにも若過ぎなんじゃ……」


マニがつぶやいた一言を聞きつけたアリサが飛んできた。


「いえ、試してみないとわかりませんよ」


きっぱり言われて言い返せなくなったマニは折れて指示に従うことにした。

衣装合わせも終わり、その日は三階の休憩室にマニたちは泊まることになった。


次の日、打ち合わせ通りラムダが各地を有料で治療して回る医者として町の中を練り歩いた。

その助手として女装したマニがついて回った。

目立って信者をおびき出すためである。

シアンは町の公園で女装したままバク転を連続して披露し、大道芸で目立つ予定である。

そちらにはジャックは遠くから見守る計画だ。

順調に怪我を治療しては代金を回収し、人気の少ない街はずれの路地裏にたどり着いた。

信者が襲ってきやすくするための罠だ。


突然仮面をつけた人影が現れた。

片手には大きなガラスケースを軽々と持っている。

細腕に似合わぬ怪力にマニは違和感を覚えた。

仮面の人物は話始めた。


「ウフフ♡これは悪魔を封じ込める箱なの」


そう言って、仮面の女はガラスケースの蓋を開けてラムダの方へ向かって来た。

実験体狙いの他に悪魔を狙っている連中もいたのか!

爪の剣を出して女を攻撃しようとした瞬間、後ろから押され、マニはガラスケースの中に納まってしまった。

蓋は閉じられて悪魔では無いマニでもすぐには出ることができない。

ラムダの奴、僕を盾にしたな……。

恨めしく心の中で罵っても、盾にした張本人はすでに飛び去っていた。


「まあ、この子でもいいわ」


女はそう言ってガラスケースごとマニを担いで屋根と屋根の間を跳んでいった。


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