カニンヘン領の秘密
四十七、カニンヘン領の秘密
社交パーティーから帰って来たマニは自室の木製の椅子に座って考え事をしていた。
以前、レオから習った内容ではメネラウス辺境伯の治めるカニンヘン領は帝国の最南端に位置し、広大な土地らしい。
カニンヘン家は強い力を持つ、伝統のある大貴族だ。
そして、天使の国から落ちてくる堕天した悪魔になったものたちからこの世界を守護しているという。
というのも、天使たちの中で問題を起こしたとされる物が時々追放されてくるらしいからだ。
その包囲網から抜け出してた悪魔たちが少数この世界に住んでいる。
また、魔力に満ちた北の湖から一番遠いため、魔力の濃度も薄い地域という。
神殿にはキャスが保護した悪魔がいるので、詳しい話を聞きに行くことにした。
事前に約束をしていたので、神殿から少し離れた場所にある、人通りの少ない緑に囲まれた森の遊歩道にある石造りのベンチでサンサと悪魔が待ってくれていた。
今では破壊された石像や神殿の壁はすっかり元通りに修復されているそうだ。
「辺境伯は特別な魔術を使って、落ちて来た悪魔たちを操ったり、抹殺したりしているんです。僕が逃げ出した時はまだ包囲網の隙間をぬって逃げ出すこともできたんですが、最近は全く新しく悪魔が領地内から逃げ延びてないみたいです」
悪魔が話している最中、サンサは必死に耳を塞いでいた。
「どうしたの?」
マニがサンサの顔を覗きこむ。
「だって、カニンヘン領は私が予言を外した地なのよ。トラウマが刺激されるう」
「じゃあ、無理しないで席を外したらいいのに」
「だって、久しぶりに可愛いマニ君に会えるのだもの」
「また、今度時間がある時に遊びに来るよ」
「本当?」
サンサは目を輝かせて喜んだ。
盛り上がる二人に思い出したように悪魔がつぶやく。
「サンサ様の予言って、南の地に大魔王が降臨するってやつでしたよね?」
「あーーーー。聞こえなーい」
サンサは慌てて再び耳を塞いだ。
「でも、予言した時期からカニンヘン領外に悪魔が出現しなくなったのは、何か関係があるかもしれません。相変わらず空からは星が落ちて来ているのは見えるのに」
「そうだね……」
「いやいや魔王が降臨していたら、今頃カニンヘン領は滅んでいるでしょう……滅んでなくても大騒ぎのはずよぉ」
サンサはすっかり落ち込んでしまった。
「僕、招待されたカニンヘン領に行ってみるよ。やっぱり、竜の角から作った剣が気になるし」
「マニ君は爪の剣を実体化する能力があるから、角がマニ君の物だとして、もしも戻れば力は増すかもしれないけど、危険だわ」
「それでも行くよ。色々教えてくれてありがとう」
「南のカニンヘン領はここから遠くて私も行ったことがないの。十分に気を付けてね」
「うん!」
マニはお礼のお菓子の入った箱を二人に渡した。
ドレイク領に戻って、今日聞いた話をするとココアも絶対にカニンヘン領について行きたいと言い出した。
自分の所属している流派の予言の真相を調べたいそうだ。
さらに南で発祥した回復魔法にも興味があるらしい。
レオは広大なカニンヘン領には儲かる話があるに違いないと燃えていた。
妻の治療費の心配は無くなったのだが、元々お金に興味があるらしい。
生きて帰れるかわからないと説明したが、二人はついて来ると即答してくれた。
留守は町長や自警団の人に任せることにした。
北寄りのドレイク領から南のカニンヘン領は遠いし、レオは飛べないため、荷馬車にお金を払って乗せてもらい移動した。
夜は野宿することもあれば、安い宿屋に泊まることもあった。
田舎の小さな領地の貴族なので節約を心掛けている。
お忍びなので正体を隠し、ココアとマニのダンスやレオの超人的な身体能力を活かした大道芸でお金を集めたり、サバイバル技術で自然界の恵をいただいたりして旅費を節約していた。




