社交パーティー
四十六、社交パーティー
月日は流れ、マニは青年へと成長していた。
マニは思い切ってサンサに再び愛の告白をするも親心が入りすぎて、甥みたいな存在にしか見ることができないと言われてしまった。
その場にいたキャスもマニに対して、育ての親の一人だと思っていると言い始めた。
残念な気持ちもありながら、納得のいく結果に終わったと思う。
カールはあれ以来、全然姿を現さなかったので、サンサは再び西へ行き、ものづくりの技術を学んだ。
今では神殿に戻り、新しい魔法道具の開発に取り組んでいた。
レオの妻は病院での治療の結果、歩けるまでに回復し、退院した。
二人でフラッタスの町に住み、レオは今ではドレイク家の使用人として働いていた。
今日は都で開かれる皇帝主催のパーティーにココアと共に参加していた。
大広間に弦楽器の演奏が流れ、たくさんの男女が踊っている。
さっそくマニは近くにいた令嬢に声をかける。
自己紹介と挨拶を済ませるとココアに呼ばれ、その場を離れた。
「お兄様、あの方にはもう婚約者がいる」
「そうなんだ。知らなかった」
泥沼な三角関係に発展するのはごめんだ。
ココアは貴族内にいつの間にか知り合いが増えたらしく、情報通であった。
「じゃあ、あの人は?」
「あの人は大丈夫。フリー」
マニは凛とした感じの美女に声をかけるが、あまり相手にされずシアンの方に行ってしまった。
「そんな」
しかし、先ほどとは違う令嬢に声をかけたことにより、泥棒猫の疑いは晴れたはずだ。
シアンはもてているようで、いつもたくさんの女性に囲まれている。
こちらと目が合うとからかうような笑みでウインクをし、女性が歓声を上げた。
「なぜ、シアンはあんなにモテるんだー」
「容姿がいいからかな。さらに伯爵家だし」
「見た目は大事なんだね。僕はどうかな?」
「……」
黙ってココアは目をそらしてしまう。
お世辞は言わない性格だが、人を傷つけることも言わない子だ。
ただ彼女の審美眼が厳しいことにマニは気づいていなかった。
その後、ココアはアイスを食べるのに夢中で、マニは誰もダンスに誘うことができず壁際で立って瞑想していた。
そこへ一人の燕尾服を来た男性が声をかけて来た。
「やあ、はじめまして。私はメネラウス・カニンヘンと申します。よろしくお願いします」
「私はマニ・ドレイクと申します。こちらこそよろしくお願いします」
マニは慌てて挨拶をした。
「君がかの有名な竜のドレイク子爵ですか。ぜひ、一度私の屋敷に遊びにいらしてください」
彼は胸ポケットから手紙を出し、差し出してきた。
「こちらが招待状です」
「ありがとうございます」
急に誘われたマニはとりあえず、失礼のないよう招待状を受け取った。
「我が家の宝物殿には竜の角から作った装飾剣があるのですよ。ぜひ見に来ていただきたいところです」
「竜の角から作った剣……」
マニは小さい時にハンターに片方の角を折られ持ってかれたことを思い出した。
詳しい話を聞こうとしたが、男は会釈をして、人ごみの中に消えてしまった。
テーブルの上のビスケットをかじっていたココアが異変に気付いて戻って来た。
「さっきの方は確か、カニンヘン辺境伯だったはず」
「そんなに身分が高い人だったんだ。一度、遊びに来てほしいと招待状を渡されたよ」
二人で話をしていると、一人の令嬢が近づいて声をかけてきた。
「すみません。マニ様、カニンヘン領の宝物殿には来てはなりません。これは罠ですわ」
「何だって!」
「私はヘレン・カニンヘンと申します。メネラウスの娘です。父は貴方を狙っているのです」
必死に訴える彼女を見て、この招待状はメネラウスのはかりごとかもしれないと思った。
しかし、もしかして自分のまたは仲間の角があるかもしれないので、このまま引き下がるわけには行かなった。
「ヘレンさん。テラスで詳しい話を聞かせてくれないかな」
マニは女性に優しいキャスを思い浮かべながら、彼女に話を持ち掛けた。




